亀山早苗の恋愛コラム

非モテ「ハイスペック」には共通点がある?高学歴・イケメン・性格もいいのに縁遠い男の名言

人は恋の相手のどこに惹かれるものなのだろうか。一般的にはハイスペックならモテるに決まっているといわれているが、実際にはそうではない人もいるようだ。

亀山 早苗

執筆者:亀山 早苗

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人は恋の相手のどこに惹かれるものなのだろうか。一般的にはハイスペックならモテるに決まっているといわれているが、実際にはそうではない人もいるようだ。
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高学歴でイケメン、性格もいい義弟

「夫の弟、高学歴だしさっぱりした顔立ちのイケメンだし、一応名前の通った会社に勤めているし、性格も穏やかで優しいんです。でもここ5年くらい女性と縁がないらしく、しょっちゅう実家に戻ってぼやいているそうです」

笑いながらそう話してくれたのは、タエコさん(43歳)だ。夫は同い年、結婚して13年がたつ。夫の弟は39歳。

「私たちが結婚するとき、義弟もそろそろかもという話を聞いたんですよ。でもその後、どうやら破局したらしくて。その数年後、『今度こそみたい』と言っていたのに、それも立ち消え。本人は恋もしたいし、その延長線上に結婚もあると思っているそうですが」

タエコさん夫妻には11歳と8歳の女の子がいる。ふたりは「叔父さん」が大好きだ。義弟は子どもにはモテる。

「次女を妊娠しているとわかってすぐ、夫が長期で出張に出ることになったんです。妊娠初期って不安定でしょう。義弟は早めに仕事が終わると、よくうちに寄ってくれました。会社からうちを経由して義弟のマンションに帰るには遠回りなんですが、それでも『なんか力仕事とかない?』と顔を出してくれて。ウォーターサーバーの水などは、必ず義弟が取り替えてくれました。重いから自分でやっちゃダメだよって」

週末はよくやってきて、子どもと遊んでくれたり、ときには食事を作ってくれたりもした。夫よりよほど「使えるタイプ」だと、のちのちタエコさんは義弟と夫を前にして冗談交じりに言ったそうだ。

「夫も弟には全幅の信頼を寄せているし、兄弟仲がとてもいいんです。あのふたりを見ていると、お互いに相手を尊重しているのがわかってとても気持ちがいい」

それなのに、義弟は「モテない」のだ。なんとも釈然としないとタエコさんは首をかしげる。
 

いろいろ話を聞いてみると

「今年のお正月、義弟が遊びに来たんですよ。夫の家は実家の両親が鷹揚というか形にこだわらない人で、『正月だからって来なくていいから。ふだん共働きなんだから、自宅でゆっくりしたり旅行に行ったほうがいい』と言ってくれる。義両親もいつもなら年末年始は旅行に出ちゃうんですが、ここ2年はどこにも行けない。でも密になるから今年も来なくていいと言われていました。元日の昼頃だったか、義弟がふらりとやってきて。子どもたちが寝てから3人でいろいろ話しました」

話題はやはり義弟の恋愛になった。会社での彼の言動、趣味のことなどを聞きながら、タエコさんは「ああ、いい人すぎてモテないんだ」とよくわかったという。

「女友だちはそれなりにいるみたいなんですが、義弟は相談相手になりすぎちゃう。親身になって話を聞いて、解決策を求められれば答える。だからといってその女性に自ら恋をしてしまうことはないみたい。『だって彼氏のことで悩んでいるのに、僕とどう、なんて言えないでしょう』と。いや、あなたに相談してくるということはあなたに興味があるからでしょと言っても、そんなことはないと言い切るんです」

自分から好きになった人がいたとしても、なかなか告白ができず、そのうち友だちとして関係が固定化してしまうこともあるとわかった。

「告白できないのはフラれたら嫌だということではなく、『好きでもない男に告白されたら、不快だろうから』というのが原因。相手の気持ちをそこまで考えたら、告白などできないでしょう。もうひとつは色気がないというんですかね。

頭もいいし穏やかだから、相手をまず受け止める。それは人間関係を築く上で大事だと思うけど、ときにはガッと行くべきときもあるじゃないですか。たとえば前につきあっていた女性は、転職か留学かで悩んでいたらしいんです。好きなら『留学に行ってほしくない、僕のそばにいてほしい』くらいのことは言ってもいいはず。

でも彼は『彼女の人生を考えたら、オレがとやかく言えない』と考える。そして彼女の思いを聞いていたら、留学しないと後悔するんじゃないのと言ってしまった。結局、彼女は留学した。最初は遠距離でつきあっていこうと思っていたけど、彼女にはあちらで恋人ができて自然消滅。決めるべきときに決められないんですよ。彼は『オレのエゴで人の人生を決定させたくない』というけど、そこで引き止めてくれたら行くのをやめようと思ったかもしれない。愛が試されていたんじゃないのと言いました」

すると義弟は「試してわかる愛なんていらないよ」とぽつりと言った。名言である。ある種のステレオタイプの「男らしさ」を見せつけないところに、逆に男としての色気を感じる女性が出てくればいいのだが、世の中そううまくはいかないようだ。
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