あなたの「空間認識力」は大丈夫?
この問題は以前に解説した「注意力」以外にもわたしたちの脳に備わっている「空間認識力」をチェックしています。空間認識力とは、主に頭頂葉で担っており、目に入った情報をすばやく位置や形を把握する能力のことで、視力の良し悪しとは異なります。空間認識力が低下すると、バットにボールを当てたり、サッカーボールをヘディングしたり、地図を読むことが苦手になります。
空間認識力の低下はアルツハイマー型認知症の初期症状としても注目されており、自宅までの道に迷うようになったり、車の車庫入れが下手になったり、今までできていた家電操作ができなくなることがあります。
2022年に北京で行われた冬季五輪でスノーボードハーフパイプの平野歩夢選手が、縦に3回転、横に4回転する「トリプルコーク1440」という大技を見事に決め、金メダルを獲得しました。
空中でぐるぐる回転しても無事に着地できる、これも高度な空間認識力がなせる事例の一つです。
頭の中で対象物と空間の位置関係を素早く把握できる空間認識力の高い人は、理系分野で活躍する傾向が高いと言われており、これからの社会で更に必要とされる能力かもしれません。
元気脳へのレシピ「ドラクエも有効」
空間認識力は幼少期に大きく伸びることは分かっていますが、大人でも改善する可能性はありますので、次の2つを試してみてください。・運動をする
サッカーやテニスなどボールを使ったスポーツは、ボールの位置関係を把握しなければならないだけではなく、相手のいる場所を把握する必要があります。
また、アップダウンのある場所を歩くだけでもいいでしょう。少し遠出して、ハイキングをしたり、ハイキングする場所を地図で確認することも有効です。
東京五輪で競技として採用されたボルダリングやトランポリン、水中を自由自在に動くスキューバダイビングもいいかもしれません。
・ゲームをする
子どもの頃に遊んだ積み木やレゴブロック、ジグソーパズルは空間認識力を必要とします。
将棋の藤井聡太氏が幼少期に楽しんでいたスイス製の木製玩具「キュボロ」もおすすめです。キュボロは穴の開いたブロックを自由につなぎ合わせて、そこにビー玉を走らせる玩具で大人でも楽しむことができます。
実はテレビゲームも空間認識力を高めることができます。ブロックを積み上げて自由に世界を構築するマインクラフトや、フォートナイトなどの一人称シューティングゲーム(FPS)がおすすめです。
またドラゴンクエストやファイナルファンタジーなどのダンジョンで、宝箱を隅々まで探したりするのもいいでしょう。