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A型は要注意?血液型で異なる病気のリスク・気を付けるべきポイント

日本人の血液の40%を占めるA型。血液型別の性格診断には医学的根拠がありませんが、実は血液型によって病気のリスクが異なるという研究報告があります。今回は、A型の人がかかりやすいと言われている病気とリスクについて解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

血液型によって異なる、なりやすい病気の傾向

血液型のイメージ

一部の病気は、血液型によってリスクが異なるという研究報告があります。A型がなりやすい病気とは?

日本人の血液の40%を占めるA型。血液型別の性格診断には医学的根拠がありませんが、実は血液型によって病気のリスクが異なるという研究報告があります。

今回は、A型の人がかかりやすいと報告されている病気とそのリスクについて解説します。
 

A型の人がかかりやすい病気…糖尿病、血栓、水痘など

A型の人がかかりやすい傾向がある病気として、下記のような研究があります。

まず挙げられるのが「糖尿病」です。A型の人は、O型の人に比べて1.10倍糖尿病になるリスクが高いという報告があります(※1)。糖尿病は、肥満、食生活によってインスリンの分泌が低下し、高血糖を起こす病気です。糖尿病になるとさまざまな血管に障害が起こり、失明につながる網膜症、腎不全に至る腎障害、傷が治りにくくなる末梢血管障害などのリスクがあがります。

血栓のリスクも、O型の人と比べて、1.95倍高くなっています(※2)。血栓は、赤血球が何らかの原因で集合してできた血の塊で、動脈硬化、糖尿病、凝固異常などにより起こります。

また、水痘、緑膿菌感染症になりやすいという報告もあります(※3)。水痘は水疱瘡とも言われますが、空気感染するヘルペスウイルス感染症です。発熱と水をもった湿疹が特徴的です。水痘は空気感染で感染が拡大し、感染するとほぼ症状はでますので、感染力が強いと言えます。ワクチンによって予防でき、症状を軽減する抗ウイルス薬があります。

緑膿菌は、人の腸管や自然界に広く存在し、栄養分の少ないところでも増殖でき、薬剤耐性が多い菌です。免疫力の低下した人に感染し、肺炎、尿路感染症などの感染症を起こします(日和見感染)。緑膿菌の感染を防ぐには、免疫を低下させない、安易な抗菌薬の使用を避けることが重要になっています。

COVID-19(コロナウイルス感染症2019)について、AB型と同様感染しやすいという報告もあります。

こうした傾向はありますが、人種や環境によっても変わってきますので、あくまで参考と考えてください。
 

A型に多いがん…胃がん、卵巣がん、唾液腺がんなど

O型との比較ですが、A型の方が発生率が高いがんについての報告もあります。胃がん(22%)、卵巣がん(28%)、唾液腺がん(64%)、子宮頚がん(13%)、子宮体がん(15%)、大腸・直腸がん(11%)は高くなると報告されています(※3、4)。

肝がんでの血管からの治療後の生存率についても、A型の人は、O型の人と比較して、短いという報告もあります(※5)。

こうしたがんのリスク傾向については、免疫が関連している可能性があります。がんは自分の細胞から発生しますので、免疫で監視され、早期に排除されている可能性がありますが、その免疫の監視が悪い「免疫低下」の状態では、がん細胞が増えてしまい、結果としてがんになってしまうことが考えられます。

がんの早期発見は、定期的な健康診断が重要です。また、免疫を下げないような規則正しい生活、バランスの取れた食生活が重要です。喫煙はさまざまながんの危険因子になっていますので、避けた方が良いかもしれません。
 

そもそも血液型とは?「A型は几帳面」などの性格診断は根拠なし

そもそも血液型は、赤血球の表面にあるA抗原とB抗原の有無によって決まります。A型は、赤血球の表面にA抗原があります。

少し専門的な話になりますが、O型、B型の血清には抗A抗体がありますので、O型、B型の人にA型の赤血球を輸血すると溶血を起こしてしまいます。基本的にA型からの輸血はできません。AB型の人にA型の赤血球を輸血することは理論的に可能です。A型の人に輸血できるのは、O型かA型の赤血球です。

また、「A型は几帳面」といった血液型別の性格診断がありますが、血液型と性格との関連性については医学的根拠がありません。性格は、あくまでも遺伝要因と環境によって形成されるものです。血液型への一般的な思い込みのほか、同じ血液型も多い両親の性格や生活環境の影響を受けることによって、性格と血液型が関連があるように思われているのかもしれません。

■参考文献
※1:Fagherazzi G et al:ABO and Rhesus blood groups and risk of type 2 diabetes: evidence from the large E3N cohort study. Diabetologia 2015;58(3):519-522.
※2:Jukic I et al:ABO blood groups and genetic risk factors for thrombosis in Croatian population. Croat Med J. 2009;50(6):550-8.
※3:G. Garratty :Blood groups and disease: a historical perspective. Transfusion
Medicine Reviews. 2000;14(4):291–301.
※4:R. Ewald et al :Blood type biochemistry and human disease. Wiley Interdisciplinary Reviews. Systems Biology and Medicine. 2016;8(6):517–535.
※5:Bannangkoon K, et al:ABO Blood Group Differentials on Survival in Hepatocellular Carcinoma Patients Treated with Chemoembolization. Asian Pac J Cancer Prev. 2021 ;22(11):3685-3692.


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