私たちは「思い出す力」が落ちている?
超有名映画に関連するクイズ。宮崎駿監督の『となりのトトロ』は1988年に公開された映画で、一度は見たことがあるという人は多いでしょう。たしか見たことがあるんだけど、思い出せない……。そんな経験が最近増えていませんか?
これは、覚えることができていないのではなく、思い出す力が落ちているからなのです。
現代社会は情報社会ともいわれており、私達はたくさんの情報に触れています。しかし、社会人になるとテストがないため、思い出す機会がめっきり減ります。さらに、手元にはスマホという便利な道具がありますから、自ら思い出そうとするよりも先に検索をしてしまう習慣になっていることでしょう。
これが、思い出す力を低下させている根源です。
情報を取り込んでいるけれど、思い出すことをしない習慣に陥っていることこそが、「あれなんだっけ!?」の原因なのです。
元気脳へのレシピ「アウトプット重視の生活に」
現代社会で活躍するためには、情報をインプットするだけではなく、それを活用したアウトプットを重視した生活を目指していきましょう。学生の時、黙って勉強するよりも、友達と教え合ったほうがより覚えられるということはありませんでしたか? これこそ、情報をアウトプットする良い脳の使い方です。
米パデュー大学のカーピック博士は、ワシントン大学の学生に40のスワヒリ語を記憶してもらう実験を行いました。要領よく間違えたところだけテストを繰り返したグループよりも、正解しても間違っても全てのテストを真面目に行ったグループのほうが、長期に覚えていたという実験結果があります。
すなわち、私達の脳は、テストをしてたくさん思い出す作業をしたほうが、後になっても覚えていられるということなのです。
ですから、本をたくさん読んだり、映画をたくさん見たりするだけではもったいないです。そこで得た知識を使ってアウトプットをしてみましょう。本や映画の感想をブログに書いてみたり、友達と会った時にクイズを出してみたりしてみてはいかがでしょうか?
ただし、あまりにも自慢げに知識をひけらかすのは、友達に嫌われてしまうかもしれないのでほどほどに。
参考文献「The critical importance of retrieval for learning」