夫は明日にでも辞めたいくらい精神的に追い詰められています

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回は夫が激務のためセミリタイアを考えているという、30歳のパート女性からの相談です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。
夫は激務で疲弊しています

夫は激務で疲弊しています


■相談者
ぽんたさん
女性/パート・アルバイト/30歳
東京都/親の家で同居
 
■家族構成
夫(会社員・37歳)、子ども(1歳)
 
■相談内容
いつセミリタイアもしくは、完全リタイアできるか教えてください。また、セミリタイアの場合は毎月いくら稼げばよいのでしょうか。夫が激務で疲弊しており、何度も退職についての家族会議をしています。本当ならば明日にでも辞めたいくらい精神的に追い詰められていますが、子どもが幼いため、私が扶養範囲内のパートしかできず、生活を考えるとなかなか退職に踏み切れないようです。今は精神科に通院しながら毎日耐えてくれている状況です。
 
私たちは家を持っておらず、子どもが巣立ってから手頃な家を購入するか、いずれかの親の家を引き継ぎたいと考えています(それぞれのきょうだいには持ち家があるため、相続の際は、家は不要かと勝手に思っているのですが……)。家を持っていないことも夫の不安材料の一つのようです。
 
いつ夫が仕事を辞めても大丈夫なように今は私の両親の家に同居しており、家賃・食費・雑費で3万7000円を負担しています。家計収支データには家族3人で同居解消後の家計を記載しています。家賃10万円を含めて月30万円の予算があれば十分に暮らしていけます。ただ子どもにはやりたいことをやらせてあげたいので、教育費は2000万円ほどを想定しています。
 
私としては、貯金も十分にあると思うので、夫婦2人でお互いにパートやアルバイトで緩く働き、月20万~30万円を目指すのもよいと思うのですが、そうなると将来の年金額が減ること、教育費、また住宅購入ができていないことなど、夫は不安なようで、収入を下げることにも不安があるようです。さらに、今の収入が多いため、国保や税金が高くなるのも不安なようです。
 
また、もともと夫はFIRE(早期リタイヤ)に興味があり貯金と投資にいそしんできました。今は早期に完全リタイアすることが人生の目標の一つになっているようです。彼の夢はすぐに叶うのか、それが無理ならば目標としてどの程度の資産を築けば可能になるのかも気になります。具体的な数字を示して、安心して次の人生の選択をさせてあげたいと思っています。
 
完全リタイアなら何歳で資産がいくらあれば可能か、今すぐセミリタイアをするならば月いくら稼げばよいか、ご教示願います。
 
■家計収支データ
相談者「ぽんた」さんの家計収支データ

相談者「ぽんた」さんの家計収支データ


■家計収支データ補足
(1)ボーナスの使い道
今後、もしあるとすれば引っ越し費用・新規賃貸契約などで50万円ほどと考えています。また帰省・旅行などで年間20万円ほど予算があると、うれしいと考えています。
 
(2)家計収支について
給料のほとんどを貯金もしくは、投資してきました。家計以外の毎月の貯金額や投資に使うお金については、すべて夫に任せているため、毎月の細かい金額は不明です。また、記載しておりませんでしたが、夫が通信教育を受けており、費用が合計200万円ほどかかったようです(全額支払い済み)。
 
親と同居前、共働きの際の家計のやりくりとしては、私の給料28万円ほどから、住居費や食費など合計24万円で予算を組み、その範囲内で生活し、夫の給与はすべて夫小遣い(金額不明)&貯金&投資に回していました。子どもができたことで今後、どのように出費が変わるのか不透明なため、支出については食費と雑費を少し多く計上しております。
 
今の生活でかかっているお金は、基本、生活費や保険料の他に、iDeCo2万3000円、NISA等の投資25万円で合計約36万円です。
 
ただし、退職後は、社会保険料4万3000円、国民年金保険料3万3220円がかかります(国民健康保険料は精神科受診による減免が利いても、3名で8万円/月かかるため、前年の収入の影響がなくなるまでは任意継続の予定です)。
 
(3)加入保険について
夫/
・個人年金保険(60歳まで払い込み。60歳から10年確定、年額60万円)=毎月の保険料1万3000円
・共済(病気死亡450万円、入院1万円、がん特約、通院特約付き)=毎月の保険料2000円
 
本人/
・個人年金保険(60歳まで払い込み。60歳から10年確定、年額60万円)=毎月の保険料1万2200円
・共済(病気死亡450万円、入院1万円、がん特約、通院特約付き)=毎月の保険料3400円
 
(4)住まいについて
同居解消については特にプランはありません。とても恵まれた環境だと思うので(夫も特に不満はないようです)、許されるのであれば、このまま同居を続けたいと私は思っています。ただ、両親ともに高齢であることを考えると、いつまでこの生活が続けられるのかという心配があります。
 
もし近い将来に解消するとしたら夫の転職が決まった時に、通勤が難しいという理由で同居解消となる可能性が高いです。ただ、この場合は子どもの預け先が難しくなり、私の仕事がどうなるのかという別の心配があります。私の両親の家から出て近くに居を構える予定はありません。
 
(5)ご主人の状況について
退職金は200万円ほど支給されるようですが、次年度の住民税に備えて手を付けないつもりです。通院先の医師は休職についても軽く言及はありましたが、基本的にはこちらの意向を優先するとのことです。なお、職場環境が変われば問題なく働ける状態であるとの診断は受けており、転職については問題ないとの回答を得ています。
 
(6)年金について
リタイアorセミリタイア後は国民年金加入の可能性があります。年金額が少ない場合は70歳まで支給開始を遅らせて割り増しすることも考えております。直近のねんきん定期便によると、夫の老齢基礎年金と厚生年金を合計すると70万円弱、私が老齢基礎年金と厚生年金を合計すると50万円程度となっていました。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 一刻も早く会社を辞めて、しばらく静養することが先決
アドバイス2 4000万~5000万円の家をキャッシュで購入しても問題なし
アドバイス3 細かく金銭的なことは口にしない。穏やかな生活を心がけること
 

アドバイス1 一刻も早く会社を辞めて、しばらく静養することが先決

率直に申し上げるとしたら、ご主人は、一刻も早く会社を辞めて静養することが何よりも優先してください。お金のことより心身の健康を取り戻すことが大切です。ご主人は激務に耐えて、これだけの金融資産を作られてきたのです。会社に義理立てする必要もなければ、我慢して働き続ける必要もありません。
 
完全リタイア、セミリタイアの時期を考えたり、FIREを考えたりするのも、今ではありません。今は、どんなことよりご主人のことを優先し、のんびり生活してもらうことです。ご主人を家族が支えることです。
 
精神的に追い詰められているというのは、尋常ではありません。このような時には、なにもかも不安になるものです。持ち家ではないこと、収入がなくなること、税金、社会保険料が高くなること、すべて考える必要はありません。妻であるご相談者が不安になっておられるのではありませんか?
 
本来、会社員であれば、休職している間(最長1年半)は傷病手当金を受け取ることができます。しかし、そうした手続きを会社に申請するのが難しいのであれば、即刻退職し、失業給付(基本手当)を受けることにすればいいのです。自己都合になりますので待期期間はありますが、その後は、失業給付(基本手当)がありますから収入がゼロになることはありません。国の制度をしっかり活用して、1年程度はゆっくりされることを、家族全員で後押ししてください。
 
確かに、退職後は社会保険料、税金、国民年金の支払いがありますが、その翌年からは所得に見合った社会保険料、税金に減額されますから、そこにこだわる意味はまったくありません。
 

アドバイス2 4000万~5000万円の家をキャッシュで購入しても問題なし

現在、金融資産が1億500万円あります。ここから子どもの教育費として2000万円を取り置きしても8000万円ほど残ります。さらに4000万~5000万円の家をキャッシュで購入しても、3000万~4000万円は老後資金として残ります。個人年金も1200万円あります。
 
今後、ご主人が収入を得られるまで回復されれば、家計が収支プラスマイナスゼロであれば、老後資金はそのまま残ることになります。こう考えれば、ご主人が静養している間は少なくとも、現状維持で同居を続けて、貯蓄の取り崩しを抑えておくことも大切です。
 
iDeCoとNISAなどの投資はいったんストップ。生活にかかる支出は9万円程度に収まっています。ご相談者の収入だけでも生活できますし、ご主人の失業給付があれば生活にゆとりもでてきます。
 

アドバイス3 細かく金銭的なことは口にしない。穏やかな生活を心がけること

公的年金の心配もされていますが、あと20年以上あります。現時点での見込み額から増えることは明確で、今後の働き方次第で、いくらでも増やすことができます。
 
将来の漠然とした不安は理解できますが、今の状況で、ご主人の前では細かな金銭的な数字は口になさらないほうがいいと思います。ご主人の状態が悪くなれば、仕事の復帰も遅くなってしまいます。金銭的な心配はありませんから、仕事のことは忘れて穏やかな生活が送れるよう、環境を整えてほしいと思います。
 
ご相談文では、金銭的なことは詳しく書かれていますが、趣味娯楽費が月5000円というのも気になります。ご主人やご相談者が楽しめることは何でしょう。旅行がしづらい状況ではありますが、これまでボーナスから旅行・帰省費で20万円を計上されていましたが、このぐらいは貯蓄から出しても、まったく問題ありません。ご家族で楽しめること、ご主人が楽しめることに、もっとお金を使ってもいいのではありませんか?
 
何度も述べますが、お金より大事なことがあります。ご主人の健康を取り戻すことを最優先に、日々の生活を大切になさってください。
 

相談者「ぽんた」さんから寄せられた感想

節約が趣味に近いため、常に心がけて生活しているものの、今後の生活については心配もありました。まわりに頼りながら貯金を減らさないことを目標に、まずは夫の体調を第一に考えて過ごしたいと思います。ありがとうございました。

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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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