<目次>
92%以上の人が「家庭でサスティナブルな取り組みが必要」と回答
株式会社LIXIL住宅研究所が全国の既婚女性を対象に実施した「2021年 我が家のサスティナブル調査」(n数=537、2021年11月25日~12月2日)によると、92.2%の人が「家庭においてもサスティナブルを意識した取り組みが必要だ」と答えています。では、具体的にどんな取り組みがあるのでしょうか? 同調査では「実際に取り組んだこと BEST10」も公表されました。そのなかには「明日から自分でもできそう!」と思えることもたくさん含まれています。
●2021年 我が家のサステイナブルへの取り組み BEST10
2021年 我が家のサスティナブル調査(出典:株式会社LIXIL住宅研究所)
●家庭で「サステイナブルを意識した取り組み」を進めている理由 BEST3
取り組んでいることの第1位は「レジ袋をもらわないで、マイバッグを持参することを徹底した」でした。2020(令和2)年7月1日より、全国でプラスチック製買い物袋の有料化がスタート。はじめは戸惑った方も多かったと思いますが、最近では72.3%の方が取り組んでいると回答するなど、だいぶ浸透してきたことがわかります。
第2位に「シャンプーや洗剤などは、ボトルを買わずに詰め替え用を選ぶようにした」がランクイン。詰め替え用は割安になっていることも多く、この取り組みも生活の一部になりつつあると感じます。
第3位には、ごみの分別を徹底し、資源ごみとしてリサイクルできるものはリサイクルに回す、という取り組みがランクインしています。最近ではスーパーなどの店頭にリサイクルボックスを見かけることも多く、都合のよい時に持って行けば回収してくれるので私たちも分別に取り組みやすくなりました。
ごみは焼却するために大きなエネルギーを使い、地球温暖化が進む原因となる二酸化炭素(CO2)を排出します。発がん性のあるダイオキシンの排出も気になります。再利用できるものはなるべくリサイクルに回すと同時に、焼却するごみの量を減らすことが大切です。
「家庭用生ごみ処理機」でごみの量はもっと減る
家庭からでるごみの約30%は野菜くずなどを含む生ごみです。比較的新しいマンションではシンク内で生ごみを粉砕して水と共に排水管に流す「ディスポーザー」という設備が人気ですが、その他多くの住宅では生ごみの水をよく切ってポリ袋に入れ、回収日までためておくスタイルが多いと思います。70~80%と水分を多く含む生ごみを焼却するためには多くのエネルギーが必要で、これもまた大気汚染の元となります。そこで最近では、どんな住宅でも手軽に生ごみを処理できる方法として「家庭用生ごみ処理機」を使う家庭も増えています。
「家庭用生ごみ処理機」の種類と特徴
家庭用生ごみ処理機は、ごみの量を減らし資源化することができる家電です。その多くが電気式で、生ごみを入れてスイッチを入れると自動で処理を行い、生ごみを減量し、堆肥化させます。大きく分けて「温風乾燥式」と「微生物分解式(バイオ式)」があり、性能や大きさは機種によって異なります。・温風乾燥式
4人家族の1日分の生ごみを3~8時間程度で乾燥ごみと水に変えます。乾燥ごみは1/7程度に減量され、肥料としても利用可能です。家庭用生ごみ処理機の多くがこのタイプで、小型でキッチンなどの屋内に設置できます。電気で温風を送って乾燥させるため、乾燥スピードが速い一方で電気代がかかる点はデメリットといえます。
・微生物分解式(バイオ式)
微生物の働きで水と二酸化炭素に分解します。メーカーごとに決まった基材(微生物のチップ)があり、それにごみを混ぜて微生物の働きで分解を促進します。基材(微生物のチップ)を手動でかき混ぜるものと電動でかき混ぜるものがあり、手動タイプなら電気代がかかりません。温風式と比較すると、ややサイズが大きく、ニオイの関係で屋外に設置することが多いため、キッチンからごみを運ぶ手間がかかります。乾燥には時間がかかります。
「家庭用生ごみ処理機」の費用・サイズ・置き場所
家庭用生ごみ処理機の購入に係る費用は1万円~8万円程度です。ごみの減量を促すため、補助金を出している自治体も多くあるのでぜひ活用しましょう。電気を使わない屋外設置型のコンポストに限るなど条件を設けるところもあり、助成金の額や条件などは自治体ごとに異なるため、必ず事前にお住まいの自治体に確認してください。・自治体から補助金が出るケースも
ちなみに筆者が住む自治体では、購入先の販売店・メーカーは問わず、新品の購入後に申請する形でした。本体購入金額の3/4以内、2万円を上限に補助が出ました。仮に2万円の生ごみ処理機を購入すると、1万5千円の補助が出るので自己負担は5千円となります。予算がなくなると補助がもらえなくなるので購入するタイミングも確認が必要です。
・生ごみ処理機のサイズ
筆者が購入した温風乾燥式の生ごみ処理機の大きさは、正面からみてほぼA4用紙サイズとコンパクトなので、キッチンのシンク前の出窓台に置いています。シンクからすぐ生ごみを移動させることができて便利ですが、近くにコンセントが必要です。
「家庭用生ごみ処理機」のメリット・デメリット
家庭用生ごみ処理機の利用の最大のメリットはごみの減量化ですが、それだけではありません。生ごみをいつでも処分することができるため、キッチンを清潔に、衛生的に保つことができます。時間が経つにつれ気になる生ごみのニオイや虫の発生も防ぐことができます。また生ごみの量が減るため、回収に出すごみ袋が軽くなり、かさも一回り小さくなるのでゴミが減ったことを実感できます。処理が終わったあとの野菜くずのニオイはほとんど気になりません。どちらかというと乾燥野菜のあまい匂いを感じる時もあります(個人の感想です)。
電気式の場合は「電気代や運転音が気になる」という意見もあり、電気代が安い深夜に夜通しで稼働させる人が多いようです。キッチンは狭い空間に様々な設備や道具がぎゅっと詰め込まれた場所のため、置き場所の確保も課題のひとつといえます。
より生ごみを減らす、野菜くずの利用法
生ごみ処理機にかける前に、野菜くずを有効活用したり量を減らすアイデアも色々あります。例えばダイコンは、葉は細かく刻んで炒めてふりかけにしたり、皮を刻んできんぴらにするなど、捨てる部分はほとんどありません。その他の野菜、例えば玉ねぎの皮、ネギの青い部分、キャベツの芯など普段捨ててしまう部分を集め、一緒にコトコト煮込むと栄養のあるスープのだしをつくることができます。ベジタブル(野菜)と、だしという意味のブロスを組み合わせてベジブロス(野菜だし)と言います。
人参のヘタや豆苗は水につけておくと再生するので再び食べることができます。リボーンベジタブル(再生野菜)といい、キッチンの目が届くところに置いておくと毎日の成長を見るのが楽しく、また伸びてきたグリーンがいいインテリアになります。
多くのご家庭でコツコツ取り組んでいけば大きな力になり、地球環境を守ることにつながっていきます。ぜひできることから、無理なく、楽しく取り組んでいただければと思います。
【参考】
「2021年 我が家のサステイナブル調査」(株式会社LIXIL住宅研究所)
Copyright(c) 住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所 All rights reserved.