東日本大震災後、エネルギー問題解決に貢献する家づくりが住宅業界の重要なテーマの一つとなり、「スマートハウス」を謳う商品が2011年後半から競いあうように登場しました。そして今年2012年は、「スマートハウス」のまちづくり版ともいえる「スマートシティ」へと、点から面へ広がりつつあります。

スマートハウス(点)からスマートシティ(面)へ

島

環境意識の高い海外では日本に先駆けてスマートシティに取り組んできた

日本的なスマートシティの実例に入る前にまず、海外と日本のスマートシティ観は若干考え方が異なるようなので整理しておきたいと思います。

海外では2009年頃から積極的にスマートシティ構想に取り組み、家単位でなく街単位の社会インフラ整備(水道、電力、通信網)と併せて進んできたようです。一方、日本では海外ほど早くからスマートグリッドの必要性は叫ばれてきませんでした。理由の一つは、日本は早くから社会インフラ整備が進んでおり、電力網は高度な通信機能も備えており、停電など障害が発生した場合の回復時間も圧倒的に早いとされてきたことが背景にあったようです。

海外でのスマートシティ定義は、自然の力を最大限に利用した街の設計という面が前面に出されています。先日行われたプレハブ建築協会主宰シンポで紹介された欧米スマートシティでは、街の真ん中に大きな緑地公園をつくってそこで家族もビジネスマンもくつろげる街になっていたり、道路と同幅で緑地テラスが続き、そこで家族がオープンカフェさながらくつろいでいる事例などが紹介されていましたが、日本に比べると、先進技術面よりもスローライフ・コミュニティ的な要素が強いように感じます。

海外と日本のスマートシティ観

シンポ

シンポジウムで紹介された、街の緑地公園の森の中に住民のくつろぎスペースがある欧米のスマートシティ

一方の日本では、2010年頃からスマートシティ(スマートコミュニティ)実証実験が始まりました。横浜市、けいはんな学園都市、豊田市、北九州市の4都市で行われ、例えば北九州市では、水素や工場廃熱など隣接する産業のエネルギーを地域で有効に活用することが試みられてきました。

2012年の執筆現在時点、スマートシティに明確な定義はなく、住宅各社独自で定義している傾向にあります。「パッシブを主とした自然寄り添い型」から「創・蓄・調エネ技術をつないだ最新インフラ型」まで、その内容は企業によって様々ですが、それら最大公約数的に解釈すると、“新しい開発技術やITを使ってエネルギー効率を高め、CO2削減を目指す街”といった解釈になりそうです。

特に日本では震災を機に、自然の力を使った欧米型パッシブスタイルから、蓄電池・HEMSを搭載した日本独自の最新アクティブ型に、住宅業界のスマートシティ軸が大きく触れたのではないかと思います。

以上が現時点の日本のスマートシティイメージと前置きしたうえで、次ページでは現在開発・計画が進められている最新のスマートグリッドについて紹介します。