Q:年金を月14万円もらうには、現役時代の年収はいくらなのですか?
「会社員が将来年金を月14万円もらうには、現役時代にどのぐらいの収入が必要ですか? 自分は一人暮らしで、若いころから今までそんなに収入は多くなかったです」(会社員・独身・50歳)そんなに年収が高くなくても、月14万円の年金はもらえる?
A:22歳以降32歳未満までの年収は300万円(月額25万円)、32歳以降60歳未満の平均年収は、417万8700円(月額34万8228円)が目安です
会社員は、受給要件を満たすことで原則65歳から老齢基礎年金と、老齢厚生年金を受け取れます。老齢基礎年金は、未納期間・免除期間が全くない人は、月額6万5075円(令和3年度満額)が受け取れます。老齢厚生年金は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数によって、次の計算式で計算されます。
平成15年(2003年)3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年(2003年)3月までの加入期間
平成15年(2003年)4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年(2003年)4月以後の加入期間(スライド率等については省略。*乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用)
相談者は、令和3年で50歳。つまり1971年(昭和46年)生まれで、22歳以降60歳未満(38年間)、厚生年金に加入したと仮定します。国民年金は20歳から加入し、相談者が会社に入社した年(22歳)は、平成5年(1993年)となります。
仮に年金加入歴は以下の通りとします。
20歳(1991年)以降22歳(1993年)未満:国民年金加入(2年間:24カ月)
22歳(1993年)以降32歳(2003年)未満:厚生年金加入(10年間:120カ月)
32歳(2003年)以降60歳(2031年)未満:厚生年金加入(28年間:336カ月)
会社に入社した22歳から32歳までの10年間は、年収300万円(ボーナスなし)とします。32歳以降60歳未満の年収は、ボーナス込み、28年間の年収の変更は考慮しません。老齢基礎年金は令和3年度で満額を受給できるとします。
将来、毎月14万円の年金を受け取るためには、老齢厚生年金は月額7万5000円(14万円-6万5000円。年額では90万円)を受け取る必要があります。
22歳(1993年)以降32歳(2003年)未満の10年間(120カ月)、年収300万円(平均標準報酬月額25万円)で厚生年金に加入すると、以下の計算式により年額22万5000円(月額1万8750円)が受け取れます。
25万円×7.5/1000×120カ月=年額22万5000円(月額1万8750円)
老齢基礎年金を月額6万5000円と10年間分の老齢厚生年金を月額1万8750円受け取れますので、毎月14万円受け取るには、あと月額5万6250円(14万円-6万5000円-1万8750円)受け取る必要があります。
32歳(2003年)以降60歳(2031年)未満の336カ月で、あと月額5万6250円(年額67万5000円)が受け取れる年収とはいくらでしょうか?
●計算式
平均標準報酬額×5.769/1000×336カ月=67万5000円(受け取る必要がある厚生年金受給額)
平均標準報酬額=67万5000円/(5.769/1000×336カ月)≒月34万8228円
34万8228円×12カ月≒417万8700円(年収)
以上のように、22歳からの10年間は年収300万円、32歳から60歳までの年収は420万円ほどあれば、将来、月14万円の年金は受け取れるということになります。
監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)
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