年末調整/2021年・年末調整の書類の記入方法

【2021年・年末調整】2020年の年末調整から大きく変わった書類とは?どう書けばいい?

会社員、パート・アルバイトの皆さんはこの時期になると会社から年末調整書類の提出を求められるかと思います。2020年(令和2年)より配偶者控除を申請する書類が大きく変更されています。記入にとまどう人もいると思いますので、モデルケースを用いた記載手順を解説します。

川手 康義

執筆者:川手 康義

ファイナンシャルプランナー / サラリーマン家庭を守るお金術ガイド

  • Comment Page Icon
《目次》
2020年・令和2年から配偶者控除等申告書が新様式になっています
配偶者控除・配偶者特別控除の額はどのように決まるのか
申告書記入時の注意点
本人欄を記載してみましょう
配偶者欄の記入をしてみましょう
控除額を計算してみましょう
所得金額調整控除を記載してみましょう
まとめ
 

2020年・令和2年から配偶者控除等申告書が新様式になっています

2020年(令和2年)より「配偶者控除等申告書」が「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の新様式となっており、2021年の年末調整も新様式での提出となります。

この書類は1枚で「基礎控除」「配偶者控除・配偶者特別控除」「所得金額調整控除」が申請できるようになっています。
配偶者控除等申告書,基礎控除申告書,所得金額調整申告書,令和3年,2021年

配偶者控除等申告書は2020年・令和2年から新様式となってます

 

配偶者控除・配偶者特別控除の額はどのように決まるのか

記載の前に「配偶者控除・配偶者特別控除」の金額はどのように決められているか知っておくと記載がスムーズになります。

「配偶者控除・配偶者特別控除」は「本人(申告者)の年間所得)」と「配偶者の年間所得」によって決まります。本人と配偶者の所得による控除額のイメージ図は以下の通りです。
配偶者控除,配偶者特別控除,年間所得,48万,38万

配偶者・配偶者控除算出には本人と配偶者の所得で決まります

各人の年間所得は給与以外も含む所得であることに注意が必要です。具体的には会社員、パート・アルバイトでも本業以外に副業や株による所得がある場合、それを含めた合計所得額が年間所得となりますのでご注意ください。
 

申告書記入時の注意点

今回は国税庁の記載例に取り上げられている以下のモデル家族について、記入方法を解説していきます。

山川太郎(申告者):給与収入897万円、その他の収入なし
山川明子:パート(給与)収入95万円のみ、70歳未満
山川次郎:現在16歳の高校生(平成17年5月17日生まれ)

前述したように本人(申告者)および配偶者それぞれの年間所得によって「配偶者控除」「配偶者特別控除」の額は決まりますので、本人欄、配偶者欄は分けて記入していきます。
配偶者控除,配偶者特別控除,基礎控除

配偶者・配偶者控除算出は本人と配偶者それぞれの所得計算から始めます

 

本人欄を記載してみましょう

本人(申告者)欄は、あなたの基礎控除額の申請をするための欄ですが、ここに記入した所得金額の区分が配偶者・配偶者特別控除を算出する際にも使われます。

給与収入を給与所得に換算するには「給与所得の金額の計算」表を使います。
山川太郎さんは給与収入が897万円ですので「給与の収入金額(a)8,500,000円以上(所得金額調整控除(*)がある場合)」の計算式を使用します。

所得金額調整控除を記載してみましょうを参照ください

給与収入897万円-195万円-所得金額調整控除=給与所得697万3000円
 
給与所得,給与収入,所得金額調整控除

給与所得は計算表を使い計算します

「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」欄には697万3000円と記入した上で控除額の計算表内の「900万円以下(A)」欄にチェックを入れ「区分I」にはAと記入します。

なお控除額の計算表より太郎さんの基礎控除の額は48万円と記入します。
 
基礎控除,2021年,令和3年,配偶者控除,配偶者特別控除

基礎控除申告欄は配偶者・配偶者控除算出にも使用します

 

配偶者欄の記入をしてみましょう

配偶者欄は配偶者の所得金額を計算する欄です。給与(パート)収入を給与所得に換算するには申告書の裏にある「給与所得の金額の計算方法」を使って計算します。

山川明子さんの給与(パート)収入は95万円ですので「給与の収入金額(a)551,000円以上1,618,999円以下」の計算式を使用します。

給与(パート)収入95万円−55万円=給与所得40万円
 
給与所得,給与収入,パート収入,2021年,令和3年

給与所得計算表はパート収入を所得に換算する際にも使用します

(1)給与所得「収入金額」欄に95万円、「所得金額」欄には40万円と記入します。また明子さんには他に所得がないため(2)給与以外の所得の合計欄は0円です。

「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」欄には40万円と記入した上で控除額の計算表内の「48万円以下かつ70歳未満(2)」欄にチェックを入れ「区分II」には(2)と記入します
配偶者控除,年間所得,配偶者特別控除

配偶者の年間所得も配偶者・配偶者特別控除額に関係します
 

控除額を計算してみましょう

控除額の計算は簡単です。「区分I」がA、「区分II」が(2)ですのでそれぞれを「控除額の計算」の表に当てはめると「配偶者控除」の38万円が受けられることが分かります。右の「配偶者控除」欄には38万円と記入しましょう。
配偶者控除,配偶者特別控除

区分Ⅰ、区分Ⅱをもとに配偶者控除・配偶者特別控除額を導きます

 

所得金額調整控除を記載してみましょう

所得金額調整控除について簡単に説明しますと、2020年(令和2年)から給与所得控除の上限額が引き下げられたことにより給与収入850万円超えの方は通常は増税となりました。しかしながら子どもや特別障害者等がいる方には配慮が必要との考えから所得金額調整控除を新設することで、税負担を軽減する措置がとられました。
 
所得金額調整控除,給与収入850万円,障碍者,23歳未満,扶養親族

所得金額調整控除は給与収入850万円超えの人の税負担軽減が目的です

山川家には16歳の高校生、次郎さんがいますので「扶養親族が年齢23歳未満(平11.1.2以後生)」にチェックを入れ次郎さんの名前と生年月日を記入します。なお控除額等の計算は必要ありません。
 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は2020年(令和2年)から様式が新しくなった「給与所得者の基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」について国税庁ホームページ記載例のモデル家族を用いた記載方法を解説してみました。

一見すると分かりにくい申請書ですが順を追って記載すれば難なく記入できるかと思います。
 
【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/11/30まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます