退職後に収入を増やす方法とは
退職後の収支は、理想をいえば、毎月の生活費は年金で支払う、医療・介護、特別なイベントなどの費用は預貯金で準備しておく……ということになります。【関連記事をチェック!】
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ただ、年金だけで生活費すべてをカバーすることは難しいでしょう。特に、自営業やフリーランスの人は、国民年金のみ。2022年度の国民年金受給額は満額で月額6万4816円です。
生活費が年金を大きく上回りそうであれば、以下の対策を検討してください。
・年金の繰り下げ受給で受給額アップ
・iDeCoへ加入して年金を上乗せ
・生活費を見直す・徐々にダウンサイジングする
・年金を受け取りながら働く
公的年金:受給開始を1カ月遅らせるごとに0.7%増える
具体的にみていきましょう。まずは「繰り下げ受給」です。年金は、本来65歳から受け取り始めますが、繰り下げ受給を選択すれば、66歳以降の希望する時点に受給開始を遅らせることができます。
【井戸さんが動画で年金の繰り上げ・繰り下げについて解説】
受給開始を1カ月遅らせるごとに金額は0.7%増えます。70歳まで遅らせると42%の増額です。増額された支給額は一生続きます。
額面での比較ですと、受給開始を66歳に繰り下げた場合、受取総額は77歳10カ月で65歳受給開始の受取総額と同額になります。70歳まで繰り下げると、65歳受給開始の受取総額と同額になるのは81歳10カ月。それ以降は差が広がっていきます。また2022年4月から75歳まで繰り下げができるようになりました。(昭和27年4月2日以降生まれの人、受給権発生日が平成29年4月1日以降の人が該当)
2020年の日本人の平均寿命は、女性が87.74歳、男性が81.64歳でした。公的年金は保険です。長生きをした時に増額された年金を受け取れるということは安心につながります。特に女性は厚生年金額が少ないことや長生きをする可能性が高いので、繰り下げることを考えておきたいところです。
65歳以降も収入がある、あるいは当面の生活費に余裕があれば、受給開始を遅らせるとよいでしょう。
iDeCo:税制優遇がメリット
続いて「iDeCoへの加入」です。iDeCoは、国民年金や厚生年金に上乗せする形で、自分で運用して作る個人年金制度です。積み立てたお金は原則60歳まで引き出せませんが、掛金が全額所得控除、運用益が非課税(通常は20.315%の税金がかかります)、受け取り時に控除あり……といったメリットがあります。支払う税金が減るため、効率的に退職後のお金を準備することができます。
iDeCoで運用できる商品には「投資信託」も含まれます。「投資信託」は、個人から少しずつお金を集め、まとまった資金で運用する商品のこと。投資先は、国内の株式をはじめ、先進国や新興国の株式、国内外の債券、REIT(不動産投資信託)などさまざまです。先述したとおり、iDeCoの運用益は非課税。投資信託を長期的に運用したい人は、有利に退職後の資金を準備することができます。
また、現在、勤め先の企業年金によってiDeCoに加入できない会社員もいらっしゃいますが、2022年10月からは、ほとんどの会社員がiDeCoに加入できるようになります。掛金の上限などの条件も含めて、チェックしておきましょう。
退職後を見据えて:家計のダウンサイジングを
ここまで年金を増やす方法をご紹介してきましたが、支出を減らすこともあわせて行いましょう。退職後あるいは退職する前に、車にかかる費用、通信費、保険料など、本当に必要かどうかを見直してみます。支出を減らす場合は、まずは自分の価値観を確認し、優先順位の低いものから見直しましょう。自分が大切だと思う支出には予算を残し、そうでもない支出は思い切って減らしてみる。削りどころにメリハリをつけることで、暮らしの満足度をあまり下げずに、支出を減らせるかもしれません。
たとえば、車。こだわりがなく、使用頻度も低い場合は、所有することをやめてカーシェアなどを利用するのもひとつの手です。
車を保有する場合も、車の保険料をチェックしましょう。外せる補償をできるだけ外すことで、安く抑えることができます。なかでも効果が大きいのは「車両保険」です。
車両保険は、相手がいない事故や自然災害などで車が傷ついた場合の修理などを補償する保険ですが、補償される金額は年々減っていきます。車種などによっても変わりますが、新車で購入時には100万円の補償があっても、5年、10年経つと、20万円程度になることもあります。あわせて保険料も安くなっていきますが、補償金額と保険料を比べて、再検討する価値はありそうです。
その他、スマホやインターネット代などの「通信費」は余分なプランに加入していないか、生命保険などの「保険料」は必要以上の保障をつけていないか、クレジットカードなどの「年会費」は本当にお得か……など、毎月必ず出ていくお金から見直していくとよいでしょう。
赤字分だけでもOK:年金を受け取りながら働く
最後の対策は「年金を受け取りながら働く」です。健康であれば、寿命が延びた分だけ長く働くことが、もっとも手堅い対策といえます。とはいっても、年金を受給できれば、現役時代のようにフルタイムでバリバリ働く必要はありません。毎月の生活費の赤字分を埋められれば十分です。自分の好きなこと、負荷の少ない仕事を選べる可能性もあります。
政府も労働人口が減少する中、高齢者に働いてほしい、そして税金や保険料を納めてほしいはず。高齢者が働くことを後押しするような改正が続いています。
とはいえ、そもそも仕事はあるのかという問題もあります。人によっては難しいかもしれませんし、そもそも健康でないと働けません。年金の繰り下げやiDeCoに加入するなどして、あまり深刻にならず、長く働けるような仕事を頭の片隅で考えておくとよいでしょう。
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