昔から当たり前のように使われていた子育ての声かけ、今こそ見直しを

「男の子なんだから泣かないの」は、親が言うべきでない代表的な言葉の一つです

「男の子なんだから泣かないの」は、親が言うべきでない代表的な声かけの一つ

「男の子は泣かないの」「女の子なんだからお行儀よくしなさい」―― これらは、少し前、たとえば今の祖父母世代ではごく普通に、そして現在もまだ使われることが多い子どもへの声かけです。けれど、社会が少しずつ変わってきている今、これらは直すべきタイミングなのかもしれません。

大人でも「男なんだからしっかり稼がないと」「女の人はお酌してね」などと言われたらモヤモヤしませんか? 子どもたちには、そういう考え方からは自由になってほしいですよね。

そこで、ジェンダーやルッキズム、多様性などの観点から、今見直したい子どもへの声かけについて考えていきます。差別的な価値観は、気を付けていてもあらゆる場面ですり込まれてしまいますから、親の考え方そのものをアップデートしながら、家族での日々のコミュニケーションで修正していきましょう。
 

「男の子は○○な方がいい」――強さに必要以上のこだわりを持つことば

男の子に対してよく使われる「男の子なんだから、スポーツはできないと」「男の子はやんちゃな方がいい」など、優位性や強さを称賛することば。

このような声かけばかりを聞かされているうちに、子どもは「男らしさ」というステレオタイプにとらわれ、勝ち負けにこだわったり、弱さを見せられなくなったりしてしまいます。強さを示すために、誰かを攻撃してしまうこともあるでしょう。

本当に大切なのは、その子らしさを認めてほめることです。もちろん、性別は関係ありません。また、競争したり攻撃したりしてしまう子には、日ごろのやりとりで、お互い協力するという関わり方があるということにも気づかせてあげたいですね。
 

「女の子なのに勉強してどうするの?」――女の子の成長の妨げになることば

女の子は、学力やスポーツの能力、活発さ・意志の強さが、男の子のようには評価されづらいというのが現状です。また、「女らしくしなさい」「女のくせに」などと、枠にはめられたり下に見られたりすることも少なくありません。

「ジェンダー・ギャップ再考」(2016)には、親は女の子の将来について、仕事と家庭の両方を視野に入れつつも、主な家庭の収入源は男性というジェンダー役割を依然として意識している、と示されています。逆に息子の将来について語るときには、子どもや子育ての話はほぼ出てこなかったそうです(※1)。

きょうだいを性別によって区別していなくても、子どもの将来については、なんとなくこのように思い浮かべるという人もいるのではないでしょうか。

2021年、内閣府は「女子は数学や理科ができない」という無意識の思い込みや偏見を取り払うため、教員向けの啓発冊子を作りました。こちらの冊子では、環境による女子の理数離れや、「女の子なのに数学ができるなんてすごいね」といった「好意的性差別発言」についても紹介されています。

親のジェンダー・バイアスを取り払い、女の子が、その子らしく自由に生きることを応援してあげてください。
 

「それは女の子のおもちゃだよ」――性別で役割や行動を固定することば

「青は男の子の色だよ」「女の子なんだからお手伝いしなさい」なども、ジェンダー・バイアスに基づくことばです。

「女子力」「弁当男子」「お父さん座り」なども同様です。本来性別とは無関係の行動や役割を性別と結びつけることは、それらを固定してしまいますから、他のことばで表現できないか考えてみましょう。

また、男女両方のきょうだいがいる場合、娘には家事の手伝いをさせるものの、息子には頼まないといったことも耳にしますが、そういった経験は相当なストレスが溜まるでしょうし、そういうものだとすり込まれてしまいます。

子どもたちを性差別の加害者・被害者にしないためにも、家庭内でジェンダー・バイアスを強化しないよう、意識したいもの。むしろ「こうでなくてはならない」という規範からは自由でいていいのだということを、積極的に伝えていきたいですね。
 

「太ってるね」「男の子(女の子)だったらよかったのに」――本人を否定することば

「一重で残念だったね」だったり、ほめているようでも「痩せたね」「髪がきれいだね」などというのはルッキズムに当たります。特に、親子・きょうだい・友だちなど、誰かとの比較は自尊心を大きく傷つけてしまいます。

また、後継ぎ意識の強い人は、子どもが女の子であるだけで否定したり、長男と次男以下の男の子や女の子とで差をつけたりするということもあります。

外見・人種・性別・年齢など、本人にはどうすることもできないことで否定され、不利益を受けるのは差別です。また、自らの性に悩んでいる子どもには、プレッシャーを与えてしまうことにもなるでしょう。

子どもには、そういった考え方に縛られなくていいこと、その子がとても大切な存在であることを伝えてあげてください。「かわいい」にもいろいろな意味がありますから、外見にとらわれない、愛おしさを表現した「かわいい」はどんどん表現するとよいと思います。

なお、子どもに直接言わなくても、家族間・友人間の話は子どもは案外よく聞いています。謙遜であっても、子どもを否定することばは避けた方がいいでしょう。
 

「泣かなくてえらいね」――自分の感情を表現しづらくなることば

「男の子は泣かないんだよ」「女の子なんだから、(言いたいことがあっても)がまんしなさい」などと言われてしまうと、子どもは本心を伝えることができません。

自分を受け入れられないまま成長すると、自分や他の人の気持ちを考えられなくなったり、人に感情があると認識することも難しくなったりしてしまいます。

感情をどう整理するかは人との関わりの中で学んでいきます。成長するにつれ、泣くことをがまんしなければならない場面は当然出てきますが、それは、辛いときには泣いてもいいということを充分に体験してからです。特に幼児期には、さまざまな感情を味わってほしいですね。

ちなみに、子どもと向き合う大人が、「ヤバい」「ムカつく」だけでなく、「うれしい」「腹立たしい」「悔しい」というように細やかな感情を表現することで、子どもも感情のバリエーションに気づきやすくなります。
 

「男の子はばかだから気にしないでね」――ふざけやからかいを受容することば

「男の子だから、乱暴なんだよ」「ごめんね、ちょっとふざけただけなんだよ」などは、場合によっては、軽い謝罪としても使われることばです。

笑いながら、ふざけながらの意地悪や攻撃は、男女間だけでなく、男子間・女子間でも起こりますが、「冗談だった」で済まされ、問題にされにくいものです。特に男の子の場合、挨拶がわりに軽くぶったり引っ張ったりすることもよくありますね。

ここで大人が「男の子はこうだから」「からかっただけだから」と言ってしまうと、嫌な思いをした子の方が、それらをがまんしなくてはならなくなります。

大人でも、同じ経験をしたことがある人もいると思うのですが、本当は嫌なのに、「ちょっとした」ふざけやからかいを受け入れること、そしてそれが普段の生活で当たり前のように求められることは、とてもつらいものです。

まずは大人から、悪いものは悪いと示し、声をあげやすい環境を作っていきましょう。
 

「あの子のうちは、お父さんがいなくて大変だね」――家族の形を否定することば

今は少しずつ意識も変化しているといえるのかもしれませんが、男女の両親と子どもがいることを「普通」とし、そこからはみ出すことを否定することばは、まだしばしば耳にします。

「子どもが帰ったときにお母さんがいなくて大丈夫?」「どうしてパパが授業参観に来るの?」「一人っ子でかわいそう」などもその例でしょう。母親がプレッシャーを感じる「三歳児神話」は、男性は大黒柱であるという考え方と根っこは同じなのです。

まずは親の「普通」という価値観を取り払うことで、多様性を認められるようになるのではないでしょうか。自分と異なるものをネガティブに表現することは、そのような価値観を子どもにすり込むことになってしまいますから、注意したいものです。
 

自分の生きづらさを子どもに伝えないために

子育て中の親が見直すべきことば

親になって、「母親じゃないと」「家事は女のするもの」と言われてモヤモヤしてしまった人もいるのでは?

親世代の無意識の思い込みを、子どもに伝えないためには、まず親の意識を変えることです。

無意識だけに難しいかもしれませんが、まずはそういったものを自分が持っていることを認識することが大切です。もし、今まで、自分が感じたことのある息苦しさがあれば、そこからスタートしてみてもよいと思います。

意識が変われば、子どもにかけることばも必ず変わります。プレッシャーをかけて、今、この瞬間だけを乗り切っていくようなことばではなく、子どもたちがその子らしくのびのび生きていけるような社会につながることばを、選んでいきたいですね。

【参考情報】
※1 「ジェンダー・ギャップ再考:日本の母親は子どもの教育・仕事・将来をどうみているか?」山本洋子・渡辺友季子(2016年10月28日掲載)



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