年金・老後のお金クリニック/遺族年金についてのQA

妻の収入で生活を賄っています。妻にもしものことがあったら、夫は遺族年金をもらえますか?

難しい年金制度について皆さんからの疑問に専門家が回答します。今回は、妻が大黒柱として一家の生計を支えている場合、夫が遺族年金をもらえるのかについてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。

執筆者:All About 編集部

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難しい年金制度について皆さんからの疑問に専門家が回答します。今回は、妻が大黒柱として一家の生計を支えている場合、夫が遺族年金をもらえるのかについてです。年金についての質問がある人はコメント欄に書き込みをお願いします。
 

Q:妻の収入で暮らしています。妻に何かあったら、夫は遺族年金をもらえますか?

「私は現在、アルバイトとして働いている45歳の男性です。47歳の妻は会社員として高給で働き、ローン返済や15歳の子どもの教育費など、生活費はほぼ妻の収入によって賄われています。妻に何かあったら、私は遺族年金をもらえるのでしょうか?」(45歳・アルバイト・男性)
 

A:遺族厚生年金と子どもが18歳未満の間は遺族基礎年金がもらえます

遺族年金とは、家計の大黒柱となっている働き手で、年金保険料を支払っている人が亡くなった時に遺族に給付される年金です。遺族年金を受給するには、亡くなった人の年金保険料の納付済期間が、全期間の3分の2以上あること等が要件となっています。

遺族年金には、「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」があり、加入状況や遺族年金を受け取る人の年齢の条件、優先順位などが決められています。

「遺族基礎年金」は、国民年金に加入していた場合、子がいる配偶者や、子どもに支給される年金です。対象となる子どもには要件があり、【1】18歳到達年度の末日(3月末)を経過していない子【2】20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子です。この要件から外れると遺族基礎年金の支給は停止されます。遺族基礎年金は、配偶者が受け取ることができ、子ども本人は受け取れません。亡くなった人に配偶者がいない場合は、子どもに支給されます。

子ども一人がいる配偶者の遺族基礎年金の支給額は、年間79万5000円+22万8700円(子の加算額)=102万3700円(令和5年度)となります。

また、亡くなった人が会社員(厚生年金加入者)である場合、遺族は遺族厚生年金を受け取れます。遺族厚生年金の支給対象者は、亡くなった人に生計を維持されていた人が該当し、次のように優先順位があります。【1】配偶者(夫の場合は55歳以上)【2】子【3】父母【4】孫【5】祖父母……の順です。優先順位の高い人、一人のみに支給され、複数人が受け取れるわけではありません。夫、父母、祖父母が遺族年金の支給対象になる場合は、60歳になってから受け取ることができます。

相談者は現在45歳とのことですので、55歳になる前に妻が死亡した場合は、子どもの年齢が、18歳到達年度の末日(3月末)までであれば、遺族基礎年金と同様に遺族厚生年金を受け取ることができます。この場合、子どもは未成年ですので相談者が代わりに受け取ることになります。子どもの年齢が要件から外れてしまった場合、それ以降は支給停止となります。

しかし、相談者が56歳の時に、妻が亡くなったと仮定した場合を考えてみると、この時に子どもは26歳となっていて年齢の要件には該当しません。ただし相談者が55歳以上となっていますので、相談者が60歳以降に遺族厚生年金を一生涯受け取ることができることになります(相談者が56歳から59歳の間は、遺族厚生年金は受給できません)。

支給される遺族厚生年金の金額は、妻の厚生年金の報酬比例部分(給料や加入期間により異なります)の3/4となります。

※年金プチ相談コーナーに取り上げてほしい質問がある人はこちらから応募するか、コメント欄への書き込みをお願いします。

監修・文/深川弘恵(ファイナンシャルプランナー)

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