上の子の中学受験期、下の子への関わり方とは
上の子が中学受験をする場合、下の子はまだ親に甘えたかったり、お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒に遊びたい気持ちも強く、不安感や孤独を抱えていることもあるでしょう。また、受験をきっかけに今まで一緒に遊んでいたきょうだいの間に距離ができるかもしれません。どのようなことに注意して家族で受験を乗り越えればよいのでしょうか。<目次>
上の子の中学受験にかかりきりで下の子を「かまってあげられない」
中学受験をするご家庭では、親は塾への送り迎えやお弁当づくりなど、日常のお世話から勉強のサポートまで、受験生を中心に生活が回っていくと思います。特に最後の1年は、心身ともに受験のサポートでめいっぱいになるでしょう。そんな中、妹や弟に関わる時間が気付かないうちに減っていることもよくあり、疎外感や孤独感など寂しさを感じることも懸念されます。受験生の勉強に対する不安や重圧をサポートすることも大切ですが、まだ親に甘えたかったり、きょうだいで一緒に遊びたい気持ちが強い下の子の不安や寂しさに意識して寄り添うことも忘れずに接してください。
例えば、上の子が勉強しているとき、下の子の宿題や勉強を一緒に見てあげる時間をとる、上の子が塾に行っている間、時間を決めて一緒に遊ぶなどというように関わるといいでしょう。
また、難しい問題が解けたり模試の成績が良かったりして上の子を褒めるとき、「学校から帰ってきたら、すぐに宿題に取り掛かっていてえらいね」など下の子の良いところを何かひとつでも見つけてあげられるよう心がけましょう。上の子の成長やサポートに気持ちがいきがちですが、下の子が「自分のことも、きちんと認めてくれている」と、感じられるように意識してあげることがポイントです。
家族の連帯意識やきょうだいを応援する気持ちを育む
中学受験は特に子どもが勉強に集中できる環境を”周囲”から作っていくことが大切です。しかしその時、下の子に対して家族みんなでのレジャーを我慢させたり、上の子の勉強中は静かにすることを強要したりと抑圧することばかりではなく、言葉がけに工夫をすることも必要になってきます。
- 「お姉ちゃんの勉強中は静かにしなさい」ではなく、
「お姉ちゃん、頑張っているから、勉強中は静かにして協力してあげようね」
- 「お兄ちゃんが受験だから、今年の夏休みは旅行に行きません」ではなく、
「お兄ちゃんの受験が終わったら、家族みんなで旅行にいこうね」
そのためには、「連帯意識」を日頃から育んでおくことも考えておきましょう。
日々できることとして具体的には、
- 食事の準備を手伝ってもらい、でき上がった時、親子で味わって食べる
- 家族で大掃除をし、全て終わった時、達成感を共有する
- 花の水やり当番を決め、咲いた時に喜びを分かち合う
- 家族が風邪をひいた時、快復するようそれぞれができることを考える
そうした日常の関わりの積み重ねの上に「頑張っているお兄ちゃんを応援しよう!」「一緒に、お姉ちゃんが合格するように短冊にお願い事を書きましょう」などと話しかけ、実際に成績が上がれば「あなたが応援してくれたおかげね、ありがとう」と、上の子の受験生活に下の子も参加するような言葉がけをしてください。そうすると、自然に家族の一体感が生まれてくるでしょう。
また、上の子の勉強部屋を個室にしたり、子どもだけで参加可能なキャンプに下の子を参加させるなどして、「勉強に集中したい」「遊びたい」というそれぞれの気持ちに沿いながら、中学受験期間のきょうだい子育てを乗り切っていきましょう。
親自身の心のケアにも目を向ける
「中学受験は親の受験」といわれるほど、親へのプレッシャーも大きいものです。気付かないうちに親自身も疲弊し、大きな不安を抱えていることが多いでしょう。また、完璧を目指す親ほど、「中学受験を成功させなくては」と同時に「下の子に寂しい思いをさせてはいけない」というように両方の気持ちが意識下で対立し、自分自身を責め立てることもあると思います。ですが、子どもは親の気持ちを敏感に感じ取るものです。親が不安になったり、反対に苛立ったりしていると、「自分のせいで、お母さんが不安そうにしている」「お父さんがイライラしている」と、子どもの心や行動にネガティブな影響を及ぼし、その結果、受験にもマイナスに働くことが考えられます。
親は、受験する子ども、他のきょうだい、そして自分自身の心のケアにも目を向けましょう。どうしても不安を感じるときは、自分の頑張っていること、できていることに目を向け、それらを言葉にして確認していくこともいいと思います。
「今日は下の子の話を30分も聴いた」「上の子に、栄養を考えたお弁当を作った」など、自分に自信ができ、笑顔になれるようなことを考えるといいですね。
きょうだい「公平」より、時には「あなたは特別」
親は「きょうだいは、公平に扱わねばならない」と思うものですが、少し「ねばならない」の意識の縛りを外してみることも、時には必要です。もちろん根底の愛情は平等であるべきですが、状況によっては、関わりの比重が偏ることもあって当然です。それは上の子が受験を控えている時だけではなく、下に赤ちゃんが誕生した時もそうだったでしょう。
子どもはみな「大好きなお母さんにより多く愛されたい」という気持ちをもっているものです。「お姉ちゃんだけずるい」「弟ばっかり」という言葉が出るのは、その表れでしょう。
その場合、少し我慢が多い方のきょうだいに「あなただけのお母さん」を味わわせてあげることがうまくいくコツです。「あなたがいつも協力してくれるからお母さん、助かるのよ」と話したり、何か二人だけの秘密を共有するのもよいでしょう。時には、感謝の気持ちを伝えるとともに「今日は、○○ちゃんの大好きなケーキをお母さんと食べに行こうか」など、独り占めさせてあげることもよいですね。
中学受験を家族の絆がより深まるきっかけに
下の子も中学受験することになった場合、上の子も中学受験を経験していたならば、高学年になるに連れて、忙しくなる状況はよく理解しているはずです。親は「あなたも6年生の時は毎日、勉強で大変だったね。弟を励ましてあげてね」と上の子に言葉をかけたり、時には勉強を教えることをお願いするのもいいでしょう。上の子は中学生ともなると部活動や友達と過ごす時間を大切にしたいと思うようになります。やがて高校受験も控えていますので、妹、弟の受験への理解もでき、きょうだい間の関わりも比較的スムーズにいくと思います。
中学受験をする本人だけでなく、他のきょうだいへの気持の配慮も忘れず、家族みんなで協力し、中学受験を乗り切れるといいですね。そしてそのことが、家族、きょうだいの絆を強めるきっかけになることを願っています。
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