ヘルスケアベンチャー大賞受賞者の活動報告(後編)
日本抗加齢医学会イノベーション委員会による
「イノベーション委員会シンポジウム」が開催
2021年6月25日(金)~27日(日)国立京都国際会館で開催された「第21回日本抗加齢医学会総会」において、日本抗加齢医学会イノベーション委員会による「イノベーション委員会シンポジウム」が開催された。日本抗加齢医学会イノベーション委員会は、アンチエイジング、ヘルスケアや予防医療の分野でも製品やサービス・新技術において海外発のものが多く、もっと日本独自のものを増やしていきたいという想いから、学会としてこれを後押ししていくための活動を行っている。
今回のシンポジウムでは国内外ヘルステックベンチャー企業の概況について、弊社(株式会社オールアバウト)代表取締役社長 江幡哲也が基調講演を行い、アンチエイジングを取り巻く環境の現状と今後について語った。
江幡哲也(株式会社オールアバウト代表取締役社長 )
まずはGoogle、amazon、facebook、Appleといったテックジャイアントがヘルスケア参入を続けている現状に触れ、「いずれも医療システムやウェアラブルデバイスを通じて消費者自身から医療記録を直接収集し、収集したデータを評価し、新しい市場と収益機会を見つけたいという動きだが、現状ではこういった巨大なインフラやプラットフォームに対して日本は真っ向から戦うのではなく、データを持つ部分、使う部分で競争していかないといけない」と語った。
現在、米国においては数多のベンチャー企業が「デジタルヘルスケア」の分野に参入しているが、「分野だけでも業務効率化、健康管理、治療サポート、治験など多岐にわたっている。もちろん日本と環境は異なり、米国では皆保険制度がなくレギュレーションも違うが、一回の投資で100億円規模の大きな資金が集まり続けている世界だ」と語り、これらベンチャーと競争していかなければいけないのが現在の日本であるという認識を強く持つことの重要性を訴えた。
日本におけるデータ活用・デジタル化については、「レセプトデータだけでも128億件(H21年~)、特定健診・保健指導データは2億件(H20年~)。これらは研究・政策用に使われており個人レベルとしては実用的ではない。日本においてデータを定期的に継続して取るキーはやはり健康診断であると思う。予防・医療改善のためには、健診データも含め利用価値があり継続性が担保されたデータの蓄積、DB連携、活用環境が必要だ」と語った。
国内のヘルスケアベンチャーの状況については特徴的な事例を紹介しながら、「直近12ヶ月で60社以上がヘルスケア領域において資金調達を行っている。額でみると海外との差は大きいとはいえ、治療アプリ、デバイス、オンラインフィットネス、フェムテックなどさまざまな分野で注目の企業やサービスが登場してきている」と述べた。
オールアバウトにおいても、ライフアセットマネジメント(ウェルネス、マネー、キャリアなど個人の自立基盤となる分野)領域での事業化に注力しており、健康経営、シニア(認知症)、女性の健康といったテーマにフォーカスし、ヘルスケアプラットフォームの開発やヘルステックベンチャーへの投資、グロースサポートに取り組んでいる。
講演の様子
「ヘルステックベンチャーのチャンスはますます拡大していくと思っている。治療にプラスして予防・健康・ヘルスケアという考え方が浸透し、いわゆる生活習慣病についても治療に加えて治療アプリなどを活用した日常のケアが重要となっていくだろう。保険診療と自由診療を効果的に組み合わせていくこともできるし、地域包括ケアやかかりつけ医制度なども、今後の超高齢化社会の日本において世界に先んじて出来るようなチャンスがかなりあると思っている。テクノロジーと人的資源、既存の社会システムを組み合わせることで、日本が抱えている課題を乗り越えていければ」と語った。
第3回ヘルスケアベンチャー大賞 アイデア募集中!
応募締切:2021年8月6日(金)まで開催概要はこちらから
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