予防接種・ワクチン

新型コロナワクチン接種後、お風呂は入っていい?素朴な疑問Q&A

【医師が解説】「ワクチン接種後にお風呂に入っていい?」「お酒や運動は?」「副反応予防で薬を飲んでもいい?」等、新型コロナワクチン接種後は、普段の生活のままで大丈夫か気になるもの。日常生活から、食事・薬・飲酒、マッサージ、健診などの可否を解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

新型コロナワクチン接種の進捗……人口の約17%が2回目接種まで完了

新型コロナワクチン接種後の女性

新型コロナワクチン接種後、注意すべきことは?

自治体の集団接種、自衛隊大規模接種センター、個別接種、職域接種によってワクチン接種率が上がっております。令和3年9月14日の発表によると、1回以上接種者は63.6%、そのうち2回接種まで完了した人は51.5%です。予約受付が停止され接種が受けられないケースがあるなど、状況が不安定な面もありますが、人口の約半数はワクチン接種が完了したことになります。

これから受ける方、接種したばかりの方のために、新型コロナワクチン接種後のよくある疑問に一問一答形式で回答します。
 

新型コロナワクチン接種後、お風呂・運動・マッサージは問題なし?

新型コロナワクチン接種後も、基本的には日常生活への制限はありません。

Q. 接種後のお風呂は入ってもよい?
A. 接種日も含めて、入浴もいつも通りして構いません。ただし体を洗う時に、接種部位を強くこすらないように注意しましょう。

Q. 接種後、ランニングやジム、プールなどの運動はしても大丈夫?
A. 適度な運動であればこちらも問題ありません。激しい運動は接種当日は避けるようにしましょう。特に腕を鍛えることは接種部位の筋肉への負担から控えたほうがよいでしょう。

Q. 接種後にマッサージを受けてもいい?
A. マッサージ自体には問題ありませんが、接種部位に触れないようにしましょう。

Q. 接種後にお酒を飲んでもいい?
A. 過度の飲酒は控えましょう。アルコールは主要な免疫系細胞である白血球(Bリンパ球やTリンパ球、ナチュラル・キラー細胞、ヒト単球・マクロファージなど)の動きや機能、そして免疫系が重要な物質(サイトカインなど)を産生する能力を低下させる可能性があるとされています。そのため、ワクチンの効果が弱くなる可能性があります。

国民健康づくり運動「健康日本21」によると、「節度ある適度な飲酒」は1日平均純アルコールにして約20g程度です。5%のビールなら400ml程度です。アルコールの適量・過度の量には個人差がありますし、飲むとつい……という人は特に、接種した日は飲酒を控えた方がよいでしょう。
 

新型コロナワクチンの接種後の薬・鎮痛薬は? サプリメント、食品は注意不要?

Q. 接種後の食事は普段通りでいい?
A. 食材によってワクチンの効果がなくなったり低くなったりするという報告はありませんので、いつも通りで構いません。

Q. 接種後にいつものサプリを飲んでもいい?
A. サプリメントでワクチンの効果がなくなったり低くなったりするという報告はありませんので、いつも通りで構いません。

Q. 接種後も普段通り薬を飲んでいい?
A. ワクチン接種後に控えるべき薬もありません。特に基礎疾患の薬などがある場合、自己判断で中止したりせず、継続するようにしましょう。

Q. ワクチンの副反応が起きた場合、解熱剤や鎮痛薬を飲んでもいい?
A. ワクチン副反応による発熱や頭痛時には、解熱剤、鎮痛薬を使用しても構いません。しかし副反応は免疫反応の結果ですので、発熱や頭痛などの症状があっても我慢できる許容範囲であれば、なるべく使用しないほうがよいでしょう。

Q. 副反応が心配なので、症状が出る前に服薬していい?
A. 症状が出る前の服薬は控えましょう。発熱や頭痛が副反応として起きるのが心配だからと、予防的に解熱・鎮痛薬を服用すると、上記の免疫反応を先回りして抑えることになってしまいますし、副反応が出るとも限りません。薬にも副作用が無いわけではないので、症状もないのに薬を飲むのは控えた方がよいです。
 

新型コロナワクチンの接種後の健診・献血・手術などは問題なし?

Q. 接種後の健診・人間ドックは問題なし?
A. ワクチンによって病気に感染したり、診断結果が変わってしまったりすることはないので問題ありません。ただしワクチン接種後、特にモデルナ製で見られますが、接種した側の脇や首などのリンパ節が腫れることがあります。そのため、他の疾患との鑑別が難しくなるかもしれません。日本乳癌検診学会は「検診としてのマンモグラフィや乳房超音波検査はワクチン接種前に施行するか、2回目のワクチン接種後少なくとも6~10週間の間隔をおいてから施行することが望ましい」、米国のブレスト・イメージング学会は「可能であれば乳がん検診は、1回目接種の前か、2回目接種から4~6週間の間隔をあけることを考慮する」としています。従って、どうしても健診・人間ドックを受ける場合は、ワクチンの接種時期を伝えるようにしましょう。

Q. 接種後に献血に行ってもいい?
A. ワクチンで何かに感染するわけではないので、献血は理論的には問題ないと思われますが、現状の決まりとしては、ファイザー製やモデルナ製では48時間は控えることになっています。接種後48時間経てば可能です。その他の種類のワクチンでは、現時点ではアストラゼネカ製ですが現時点では採血制限期間が決まっていないので、献血できないことになっております。今後、決まってくると思われます。

Q. 接種後に予定している手術は受けていい?
A. 手術によりますので、主治医に接種の予定を伝えて相談してください。接種後1週間以内は、副反応による発熱の可能性もあります。緊急手術の場合はやむをえませんが、体調が万全ではない可能性を考えると、不急の手術は控えた方が良いように思います。ケースバイケースですので主治医と相談しましょう。
 

これからワクチン接種を控えている方に

現時点では、コロナワクチンの2週間前にワクチンの接種歴があると接種できませんので、スケジュールについて注意しておきましょう。当日、37.5℃以上の発熱があれば接種できません。また、

接種後に副反応で発熱したとしても、コロナワクチンは生ワクチンではありませんから、家族など周りの人に感染することはありません。副反応の発熱であれば外出も問題ありませんが、本当に副反応によるものか、実は他の感染症によるものかは見極められないため、今のご時世で考えると自宅で安静にするのがよいでしょう。

一人暮らしの場合、発熱が治まるまでは家から出るのもつらいかもしれませんので、数日過ごせるぐらいの水と食料を用意しておいてもよいと思います。あわせて解熱剤のストックの確認などもしておくと安心です。

基本的にはいつも通り、落ち着いて日常生活を過ごされるのがよいかと思います。
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