今回、オールアバウトでは「60歳までの老後に向けた貯蓄目標」について525人にアンケート、その結果を発表します。また、調査結果とあわせて、All Aboutのマネーガイドでファイナンシャル・プランナーの坂口猛さんから、老後の貯蓄目標額を考えるためのアドバイスもいただきました。
(1)実施したアンケートの回答者属性
今回、インターネット上での調査を実施し、525人の方に回答をいただきました。回答者の年代別人数については以下の通りです。(2)1位は目標なし、2位は2000万円という結果に
まずは、60歳時点での老後に向けた貯蓄目標額を聞いた結果が以下になります。ご覧いただくと分かる通り、全年代で35~50%の方が目標はないと答えるという結果になりました。
また、この結果に対して坂口さんは、「55歳以上で目標はない方が約48%であったことは興味深い結果です。この年代は、そろそろ将来的な生活設計を具体的にイメージされる年代と思っておりましたが、約2人に1人が目標がない点を考えると、『将来いくら年金がもらえそうか』であったり、『将来の生活費に対して、受け取る年金でどの程度賄えるのか』など、将来の収入計画を立て切れていないため、どの程度の老後資産が必要になるのか、の判断は難しいと感じられているのではないでしょうか」と分析されています。
(3)設定した背景には老後2000万円の話題が根強く……
次は、目標金額をどのように設定したかについての質問に対する回答結果です。ご覧いただくと分かる通り、最も多いのは目標無しなのですが、次いで「老後2000万円問題が話題になったから」と「なんとなく」が僅差で並んでいます。
FPに相談したり、実際に発生するであろう収支を計算して決めたという方は合計しても20%もいないという結果になりました。
これらの結果を踏まえ、坂口さんは次のようにアドバイスします。
「老後2000万円問題が話題になったことが、この結果に影響したように思いますが、当時の金融庁の資料にもありましたとおり、すべての方が2000万円必要なわけではなく、逆に2000万円では足りない方もいらっしゃると思います。
大切なことは、個々人の生活スタイルに必要な資金を把握し、その資金を賄うために、どの程度の老後資産を蓄えておくべきか(目標)、をイメージしておくことです。そして、その目標に向かって、資産運用を検討したり、定年後も働き続けたり、といった計画を立て、それでも足りない場合には、生活スタイルを修正してみたり、とシミュレーションしておくことではないでしょうか。」
いかがでしたでしょうか。アンケートの調査結果や坂口さんのアドバイスを参考に、60歳までの老後資産目標が明確にないという方は、将来の収支計画を立てることから始めてみてください。
コメントをくれたのは……
坂口 猛さん
企業内外におけるお金に関する実務経験30年を活かしたアドバイスには、説得力があり、実務的であると定評があるFPの1人。また、正確な言葉の定義よりも、わかりやすさを重視しているため、初心者でもわかりやすい説明が特徴です。税金や相続・事業承継、副業・開業者への支援やクラウドを活用した働き方改革のための効率的なスキームづくりなどの支援を得意としており、All Aboutのガイドやセミナー講師としても精力的に活動中。