中途採用,人気企業,応募条件,応募資格,キャリア形成

応募条件を満たさずして人気企業に採用される人は少なくない

世の中には人気企業といわれる会社がある。企業イメージのいい会社(例:各種コマーシャルやスポンサーシップの影響など)、業績のいい業界大手(例:決算時の新聞発表の影響など)、そして待遇のいい会社(例:給料の高い会社を発表する雑誌記事の影響など)が人気企業となる傾向が高い。

新卒の大学生が選ぶ就職人気企業、中途採用の社会人が選ぶ転職人気企業などがランキングで毎年発表されているが、企業の顔触れはほぼ変わることがない。それだけ人気企業とは圧倒的な存在なのか、もしくは社会人が企業に求めることが不変であるということだろうか。どちらにしても、人気企業は新卒の就活市場をはじめ、転職市場でも注目を集めていることに変わりはない。
 

人気企業の採用には、どのような特徴があるのか

人気企業があるなら、その逆の不人気企業もあってしかるべきだが、前者と後者の決定的な違いは、新しい求人案件が出た際の応募者数である。人気企業には、多くの応募者が集まる。主要メディアに求人広告を出したならば、募集要件を満たした人から全くマッチしない人まで、大量の履歴書が送られてくる。

また、自分が応募できる求人案件がなくても応募したいという人から、企業の採用ホームページのお問い合わせに一年を通して履歴書が送られてくるほどだ。人材紹介会社の中にも人気企業の求人案件を扱いたいと考える会社は多いため、人気企業には毎日のように営業コールが寄せられる。人気者は辛いよ、というところだろうが、応募者多数の状態が常に続くため、一つひとつの求人案件を見れば競争倍率が高いことは間違いない。

一方、人気企業だから他の企業と比べて特別に選考基準を高くしようという考えを、当の人気企業が持っていることは少ない。応募者が多いため、当初設定していた選考基準より高いレベルの経験や実績、能力のある応募者が複数集まる可能性はあるが、人気企業の採用事情を知る限り、そのような状況は稀である。応募者数が多いからといって、特別に優秀な人がたくさん応募してくることはなく、人気企業だからといって、選考基準が高まることも滅多にないのである。

採用企業にとって大切なのは、求める経験やスキルを持ち合わせているかを確認すること、応募者と企業の相性がマッチするかを測ることであり、応募者多数という状態に一喜一憂することはなく、むしろ冷静に適合するいい人材を見極めようと対処しているのだ。

多数の応募者が押し寄せる人気企業と不人気企業の採用で明らかに異なる状況はなにか。不人気企業は応募者数も人気企業と比べると圧倒的に少ないが、それだけでなく、求める経験や実績、スキルを持ち合わせた応募者が、一人もいないということも起きうるのである。応募者には即戦力として会社に貢献してもらう必要があることから、不人気企業だからといって選考基準そのものを低く設定することはない。

つまり、人気企業であれば、選考基準を満たす応募者がある程度確保できることが多いが、不人気企業の場合、選考基準を満たさない応募者の中から採用を進めるか、募集期限を延長して、再募集をかけることになる。ここに人気企業と不人気企業の、採用事情の大きな違いがある。

もしあなたが転職活動において、経験や実績、修得したスキルなどを活かせる適切な業界・職種を選択し、選考基準を満たしているならば、人気企業であっても十分選考に残れるということである。特別に高い能力を持ち合わせている必要はないということだ。
 

即戦力であることを証明できれば、人気企業からでも採用される

では人気企業に入ることは難しいのだろうか。特に、不人気企業から人気企業に転職するなら、飛び切り優秀でないと勝ち抜くことはできないように思うかもしれないが、実はそうではない。大切なことは、「募集要件とのマッチング」、「即戦力となれるか」、「会社にとって魅力に感じる特別な事情はないか(詳しく後述)」。つまり、「会社に貢献できる具体的な理由」を筋道立てて説明できるかどうか、そこがポイントになる。

例えば、どの業界にも会社規模はそれほど大きくなくても、何かひとつ、高い技術を持つ企業、または、ある商品の取引量では突出した存在感を有するニッチな企業が存在する。

ビジネスパーソンに人気の大手総合商社A社と、エンジニアリングプラスチックスを専門に取り扱う専門商社B社では、後者の方が営業パーソンの知識や顧客開拓力などの技量が高いことがある。B社は業界では有名で、顧客からの信頼も厚い専門商社である。

このような場合、本人が望めば、中途採用では待遇面で劣る専門商社B社で働く人が、待遇の良さで人気が高い大手総合商社A社の化学品部門への転職が実現する合理的な理由がある。少なくとも、大手総合商社A社から見れば、専門商社B社で活躍している人材は、A社の事業計画や販売成績に大きな変化を起こせる可能性があるかもしれない。これが前述した「会社にとって魅力に感じる特別な事情」の一例である。

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