お金の悩みを解決!マネープランクリニック/シングルマザー・シングルファザーの方のお金悩み相談

48歳貯金は50万円。高校生の子どもがいますが、これから自宅を購入できるでしょうか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、お子さん2人が自立し、末の娘さんが高校生になったというシングルマザーの方。お孫さんたちも生まれ、家を買いたいと考えています。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 まずは家計を整理して、支出の管理を

住宅購入を希望されていますが、今の状況では、やはり無謀と言わざるを得ません。頭金もなく住宅ローンを組んではいけません。お気持ちはわからなくはないですが、もし購入するとしても、今ではないです。住宅購入の前に、まずは、家計を整理することから始めてください。
 
いただいたデータを拝見すると、毎月2万円の貯蓄とありますが、支出が収入を上回っている状態です。実際は支出をやりくりして、収入の範囲で収まっているのかもしれませんが、確実に毎月2万円の貯蓄ができるように、支出の管理を行ってください。自動車保険が車両費にも、毎月の保険料にも計上されています。また、加入保険のうち、生命保険の死亡保障が2000万円とありますが、保険料から考えると、死亡保障の額はもっと少ないはずです。
 
細かいことかもしれませんが、こうした足元を見つめなおすことは大切です。離婚されてから3人のお子さんを育てあげてこられたのは、大変なことだったと思います。高校生のお子さんもあと2年で卒業。生活スタイルも変化するでしょう。これを機に、しっかりとした貯蓄のペースを作ってください。
 

アドバイス2 住宅を購入するなら、65歳で現金一括

毎月2万円の貯蓄が必ずできるとし、ボーナスも同じように支給されるとなれば、毎月2万円で年間24万円。これにボーナスから40万円を加えて年間の貯蓄額は64万円です。ご相談者が60歳までの12年間で768万円となり、現在の貯蓄50万円を加えて818万円です。
 
この間、車の買い換えが1回あるとして諸費用込みで200万円の支出があります。リース契約を考えておられるようですが、現金で購入して、できるだけ長く乗り続けるようにしてください。200万円の支出で貯蓄は618万円となりますが、あと2年で教育費の3万円はなくなります。これを貯蓄に回せば、10年で360万円になり、結果的に、60歳時点では978万円貯められていることになります。
 
さらに、定年退職が65歳とのことですから、あと5年あります。60歳時点で保険料の払い込みが終わり、2万4000円ほど浮きます。お子さんが独立していれば、家計費も削減できるはずですから、60歳から65歳の5年間は、毎月5万円の貯蓄、ボーナスからは40万円の貯蓄。これで年間100万円、5年で500万円が積み上がります。65歳時点で貯蓄は約1480万円です。これに退職金が本当に500万円出るのであれば、合計して約2000万円となります。
 
この時点でも、住宅購入を希望されるのであれば、住宅ローンは組まずに、諸費用など含め、1000万円で買える物件を探してください。貯蓄1000万円は老後資金として必ず残しておくようにしてください。希望を叶えるのであれば、65歳まで健康で働くこと、貯蓄をきちんとすること、これができなければ、住宅購入は難しいでしょう。
 

アドバイス3 70歳まで働くことも視野に。公的年金を70歳まで繰り下げる

仮に、65歳で住宅購入をしたら、それ以降の住居費はなくなります。すでに教育費もなくなっていますし、保険料の払い込みもありません。毎月の生活費は10万円ほどでしょう。公的年金の金額が不明ではありますが、もし10万円以上あれば、毎月の収支はトントンで、貯蓄の1000万円は生活費に使わなくて済みます。
 
もし公的年金が10万円より少ないようであれば、70歳までは不足分をまかなえるように働くことが必要になります。70歳まで働いて、生活費と同額ぐらいの収入が得られるなら、公的年金受給の繰り下げをして、70歳以降の生活に備えてください。1カ月繰り下げるごとに、0.7%分が上乗せになり、5年繰り下げると42%分増額になります。65歳時点の年金額が10万円なら、5年繰り下げれば70歳から14万2000円になるわけです。
 
まだ先の話ですが、65歳時点で住宅を購入するのか、何歳まで働くのか、公的年金の繰り下げをするのか、その選択をすることは覚えておいてください。住宅購入をしなかった場合は、住居費を抑えるための住み替えも検討してください。
 
すぐに住宅購入できるアドバイスはできませんでしたが、しっかりと貯蓄を継続していけば、将来の不安は少しずつ解消されると思います。まだ若いのですから、これからも長く働けるように健康に気をつけて生活なさってください。
 

相談者「mickey」さんから寄せられた感想

アドバイスありがとうございます。とても、わかりやすくてよかったです。 ただ漠然と、家賃を払うのなら、ローンを払って退職までに払い終わればいいのかと考えておりました。今は何をしなければいけないのかが明確となりましたので、目標は変わらず、マイホームのためにまずは、家計の管理から徹底したいと思います。お忙しい中本当にありがとうございました。これからも、楽しみに拝読します。


教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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