まずはローンをボーナスで返すのが先決だと思いますが……

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回は、5本のローンの返済に苦しんでいるシングルマザーの女性。今後のローンの返済を考えると眠れなくなってしまうこともあるといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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貯蓄は後に回してとにかくローンをなくすか、養育費があるうちは多少貯蓄しつつローンを返した方がいいのか

貯蓄は後に回して先にローンを返済するか、養育費があるうちに貯蓄しておいた方がいいのか?




■相談者
くまくまさん(仮名)
女性/会社員/48歳
東京都/借家
 
■家族構成
子ども2人(大学3年生・大学1年生)
 
■相談内容(原文まま)  
いつも記事を拝見しています。他の方の悩みなど見ていて、いつか相談したいと思いつつも、これだけローンが多く貯蓄もないのが恥ずかしくて相談できずにいました。でも自分の考えだけではどうにもできないので、思いきって連絡しました。親も年金だけで暮らしていて借家のため、実家に戻るとかはできません。今後どうしたらいいかアドバイスお願いします。

シングルマザーで大学生の子どもが2人います。記入できなかった分として、元夫より養育費が8万円あります。大学費用は、2年分は元夫が負担し、残りの2年分は子どもが奨学金を借りているので負担はありません。

第2子が高校生になったタイミングで親戚の家から独立し、パートから正社員になりました。親戚から高校生になったら出てほしいと急に言われたので、家を借りたり、家財道具を買ったりなど、ローンがあります。第1子が公立落ちて私立になり、学費工面や制服代、部活動や被服費など、パート時代のローンもあります。

先日、仕事でも使っていた車が車検が通らなくなり、急遽買い替えで頭金を入れてローンを組みました。借入額:A社85万円、B社55万円、C社45万円、銀行ローン50万円、車のローン40万円。借金はおまとめローンなどは考えておらず、なんとか返していきたいと思っています。

これに急な出費や皮膚科の病院や薬代、美容院代が発生する月もあるので、貯蓄ができていません。年1回ボーナス100万円が年初に出るのですが、ずっと続くのか不安もあります。退職金はないと言われました。

まずはローンをボーナスで返すのが先決だと思いますが、来年の車保険、車税金、車検、家賃更新費、第2子の成人式の費用など30万円は確保したいと思っています。残りをどれか1社でもローンを完済するか、A社30万円、他社10万円ずつぐらい返して返済額を下げていくか、貯蓄分を少し残してからローン返済に充てたらいいのか考えると、眠れなくなってしまうこともあります。

アパレル勤務なので被服費は他の人よりはかかってしまいます。白髪も多く、白髪染めを自分でしたり、美容院に行く月もあります。養育費も大学卒業までと決まっているので、元夫からの収入も今後なくなります。

貯蓄は後に回してとにかくローンをなくすか、養育費があるうちは多少貯蓄しつつローンを返した方がいいのか、またローンを返した後老後資金をどう貯めていったらいいのか、アドバイスお願いします。老後資金なんて全くないので、仕事がなくなったら子どもたちに迷惑かけたくないし、資産もないので自殺しようかと考えてしまいます。

■家計収支データ
相談者「くまくま」さんの家計収支データ

相談者「くまくま」さんの家計収支データ



 
■家計収支データ補足
(1)車両費について
内訳:ローン返済9500円/月(借入額:均等払40万円 48回払い 実質年率7% 手数料5万9767円)、ガソリン代8000円
 
(2)加入保険について
♢本人/生命保険=毎月の保険料2670円
♢本人/終身医療保険=毎月の保険料7367円
 
(3)教育費について
♢奨学金について
・第1子:借入額240万円 
・第2子:借入額240万円
 
(4)ボーナスの主な使い道について
ボーナスの使い道は来年1月支給分(100万円)から予定しているのは、来年秋に第2子の成人式の写真を撮る予定で、その他に成人式用の資金含めて15万円ぐらいは確保予定、3月に車の保険約6万円ぐらい、5月に車税3万5000円ぐらい、家の保険1万円、6月に車検で15万円ぐらいの予定で計40万5000円程度かかりそうです。
 
残りの60万円は少しでも借金返済のためにC社の45万円を全額返済しようかと考えています。ただA社の借入額が大きいのでA社に30万円、B社に15万円ぐらいに分けて返済するべきか悩んでいます。残りの15万円は生活費として医療費とか、お祝いとか、何かあった時の予備に残しておきたいと思っています。
 
(5)今後について
現在の会社は60歳定年で、ボーナスを他の人より多くもらっているためその分退職金はないと言われています。65歳まで働けて、退職金も出るところに転職するか悩んでいます。今から転職したところで、月28万円(手取り23万円)、ボーナス100万円出るところを見つけるのは、この歳では難しいのではと躊躇しています。
 
子ども2人が独立したら、両親のところに行くか考えています。実家も借家のため相続はありません。母から300万円の資金を出すから、中古マンションを買って一緒に住まないかと言われましたが、現在の借金があるので難しいと思いますし、4年後目標に借金を返したところで、ローンが組めるのか心配です。マンションの維持費が将来払えるのかも不安です。
 
(6)年金について
加入実績に応じた年額が34万540円でした。このあとも厚生年金を払い続けているので、今はもう少し上がっていると思いますが、現在の金額はわかりません。

(7)借金の総額と毎月の返済額について
A社85万円→毎月の返済額3万円、B社55万円→毎月の返済額2万3000円、C社45万円→毎月の返済額1万3000円、銀行ローン50万円→毎月の返済額1万円
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 この先3年が勝負。ここを乗り切れば先が見えてくる
アドバイス2 3年後からは年間100万円貯められるようになる
アドバイス3 1000万円の住宅ローンなら家賃と同じ程度に抑えられる
 

アドバイス1 この先3年が勝負。ここを乗り切れば先が見えてくる

お子さん2人を大学まで進学させ、よく頑張ってこられたと思います。借金を重ねてしまったのは残念ですが、今後、収入をキープし、できる範囲で貯蓄をしていけば、借金返済も3年後には終了すると考えられます。どうか思い悩むことなく、この先、3年間、頑張ってください。
 
第1子の方はあと1年で大学を卒業、第2子の方もあと3年。お子さんが独立すれば、生活費を抑えることができます。貯蓄もきちんとできるようになりますから、今から老後を悲観することはありませんよ。万一の時には、生活保護を受けることも、国民の権利としてあるわけですし、くまくまさんの場合はそこまでしなくても大丈夫ですから、とにかく落ち着いて、今後の返済計画を考えていきましょう。
 

アドバイス2 3年後からは年間100万円貯められるようになる

借金の返済は3年計画で考えていきましょう。借金返済で大事なのは、返済と同時に、預貯金を貯めることです。預貯金がないと、結局、また借金を重ねてしまうことになりますので、返済と貯蓄は同時に行う必要があります。
 
本来は金利が高いものから返済していきたいところですが、キャッシュフローの改善を優先してまず、来年1月のボーナス100万円から、C社の45万円を完済させましょう。残りの55万円は貯蓄。いろいろ使い道があるようなので、結果的には、使い切ってしまうかもしれませんが、それでもいいです。
 
C社の返済分の1万3000円、家計の見直しで1万2000円捻出し、毎月2万5000円は確実に貯蓄するようにしてください。家計の見直しとしては、現状でも1万2000円の使途不明金があります。これは確認してください。このほか、携帯代はお子さんとも相談して、格安のプラン、スマホに替えるなどして、削減してください。通信費程度は、お子さんがアルバイトなどで払ってくれるといいのですが。加えて、終身医療保険を共済に変更すれば、5000円程度削減できます。使途不明金、通信費、医療保険の見直しで、最低でも1万2000円削減できれば、毎月2万5000円の貯蓄が可能です。年間で30万円貯蓄できますから、今ある20万円と合わせて50万円です。
 
2年目は、ボーナスからA社85万円を完済させます。これでA社返済分の3万円も貯蓄に回すことができ、毎月5万5000円、年間で66万円。2年目には貯蓄額が合計で116万円になります。
 
3年目もボーナスからB社55万円を完済させます。この時点で、B社の残債はなくなっているかもしれませんので、ボーナスは車の車検など、ほかの用途に使えるでしょう。B社が完済できれば、2万3000円も毎月の貯蓄に回すことができます。これで、毎月の貯蓄額は7万8000円。年間で93万6000円。3年目の貯蓄額合計は約210万円となります。
 
3年目には銀行の借金もなくなっているはず。残りは車のローンのみです。これは、このまま返済し続け、できるだけ長く乗るようにしてください。
 
この時点で、養育費の8万円がなくなりますが、A社、B社、C社、銀行の返済がすべて終わっていますので、収支がトントンになるように家計支出を抑えられれば、ひとまず借金生活から脱出です。貯蓄も200万円以上できています。
 

アドバイス3 1000万円の住宅ローンなら家賃と同じ程度に抑えられる

3年後に、くまくまさんは51歳。お子さん2人も社会人になっています。食費や通信費を今より抑えることができると思いますので、もうひと頑張りして毎月2万円の貯蓄をしてください。ボーナスからは80万円。20万円は借金返済ができたお祝いに旅行に使うなど、何か自分のために使ってください。ここから、同じペースで貯蓄できれば、年間104万円、60歳までの9年で900万円以上、貯蓄を残すことができます。1000万円も無理ではないでしょう。
 
その後ですが、貯蓄を取り崩すのを、できるだけ後送りにすることが大事になってきます。65歳までは働き、収入に応じて、支出を抑える。65歳以降もバイトなどで、少しでも収入が得られたら、年金の不足分をカバーすることができます。67歳、68歳まで公的年金の繰り下げをすれば、その後の年金額は、1カ月繰り下げにつき0.7%増額になります。まだまだ先の話ですから、老後のプランは60歳になってから、柔軟に考えればいいでしょう。
 
最後に、お母さまのとの同居ですが、お母さまに300万円頭金を出してもらい、くまくまさんが1000万円の住宅ローンを組む。借金返済が終わったあと、今から4年後であれば、住宅ローンを借りることもできるでしょう。
 
お子さまが独立していれば、住宅購入もいい選択だと思いますよ。1000万円の借り入れであれば現在の家賃と同じぐらいに抑えられますし、生活費をお母さまと折半、もしくはローンはくまくまさんが負担するので、お母さまには生活費を多めに負担してもらう、そんな考え方もできるでしょう。そうなれば、60歳時点での貯蓄額は、もう少し増やすことができ、気持ちにも余裕がでてくるでしょう。老後資金に余裕ができるようであれば、2人のお子さんの奨学金の返済の援助を行ってもいいと思います。ただし、無理はしないでくださいね。
 
まずは、ここからの3年が勝負です。ここを乗り切れば、先が見えてきますから、ネガティブな思いは払拭し、ぜひ、頑張ってほしいと思います。
 

相談者「くまくま」さんから寄せられた感想

アドバイスをいただき、本当にありがとうございました。最初に読んだ時、先生の温かいお言葉に涙が出そうになりました。先が見えてきてなんとかやっていけるかもと希望が湧いてきました。貯蓄をしながらの返済、具体的な数字を教えていただいたのでまだまだ先のことですが、なんとか踏ん張っていける指針になりました。まさか住宅購入まで考えることも可能なのは、将来のさらなる希望になりました。今まで一人で悩んできたので、思い切って相談して本当に良かったです! このアドバイスを一生大切にして、挫けそうになった時に読み返して頑張っていこうと思います。本当に本当にありがとうございました!


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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