新型コロナウイルスワクチン接種体験談…実際の副反応と対策ポイント

【薬剤師が解説】本記事は私自身の新型コロナウイルスのワクチン接種の体験から、実際に感じた接種時の痛みや副反応についてご紹介します。接種したのはファイザー社とビオンテック社が共同開発したmRNAワクチン「コミナティ」です。接種で得られた教訓、これから接種する方へのアドバイスもまとめました。皆様の接種の判断材料になれば幸いです。

吉田 健吾

執筆者:吉田 健吾

薬剤師 / 薬・漢方・医療ニュースガイド

新型コロナウイルス感染症、ワクチン接種は収束の切り札になるか

新型コロナウイルス感染症のワクチン予防接種

新型コロナウイルス感染症対策の切り札ともいえるワクチン。医療従事者として接種してきました

未だに収束が見えない新型コロナウイルス感染症。その切り札ともいうべきものが同ウイルスに対するワクチン接種です。私も先日、薬局のスタッフとともに医療従事者枠でワクチン接種を受けてきました。本記事では実際の接種の体験と、体験から得られた教訓を中心にまとめてご紹介します。今後、皆様のワクチン接種の判断材料になれば幸いです。
 

そもそもワクチンとは? なぜ病気を予防できるのか

既に多くのメディアでワクチンについての解説がなされていますが、改めてワクチンとは何かを簡単に解説します。一言で「ワクチン」といっても、不活化ワクチン、生ワクチン、mRNAワクチンなどさまざまな種類があります。一例を挙げると、インフルエンザの予防接種などを始めとする多くのワクチンでは、あらかじめ無毒化したウイルスの断片などを接種し、そのウイルスに対する抗体を身体に作り出させます。
 
抗体とはウイルスを攻撃する人体内の警察や軍隊のイメージです。つまりワクチン接種とは事前に敵(ウイルス)の特徴を身体に覚えさせ、本物のウイルスが侵入する前に抗体を用意させる手段といえます。いわばウイルスに対する迎撃態勢の構築ですね。
 

接種したのはファイザー社などが開発したmRNAワクチン「コミナティ」

新型コロナウイルス

ファイザー社のワクチンには新型コロナウイルス表面にある、凸状のタンパク質の「設計図」が含まれる

今回、私が接種したのは米国の大手製薬会社ファイザー社とドイツのビオンテック社が共同開発したワクチン「コミナティ」です。このワクチンには「mRNA」という物質が含まれています。「mRNA」と書いて「メッセンジャーアールエヌエー」と呼びます。
 
mRNAは新型コロナウイルスを形づくっている部品の「設計図」といえる存在です。設計図をワクチンとして接種することによって、身体の中でウイルスの部品の一部が作られます。続いてその部品に対しての抗体が作られるという流れです。生み出された抗体は本物の新型コロナウイルスが侵入した際にはその部品を目標に攻撃を行い、ウイルスを撃退することになります。
 
なお、設計図から作られるのはウイルスの「一部」であり、接種によって身体の内側からウイルス本体が生まれることはありません。大規模接種センターで使用される米社モデルナ製ワクチンも同じ仕組みであり、mRNAを用いたものになります。
 

1回目のワクチン接種当日……心配していた筋肉注射の痛みはなし

ここからは具体的なワクチン接種までの流れを中心に説明します。接種当日は事前に郵送されていた健康状態などを確認する問診票を記入の上、午前中に病院へ。
 
病院でも簡単に服用している薬の有無などを確認後、接種となりました。接種部位は利き腕と反対の腕、私の場合は左腕の上部でした。このワクチンはインフルエンザワクチンのような皮下注射ではなく、筋肉注射なのでこの位置となります。当日は腕~肩を露出しやすい服装で行くのが良いでしょう。
 
医師から「力を抜いて腕をリラックスして」と指示され注射へ。ここで驚いたのが、注射の際にほとんど痛みを感じなかった点です。薬液を注入した際はややピリッとした感覚があるくらい。個人的には痛みが無さ過ぎて、逆に不安になるレベルでした。
 
テレビで腕にブスッと注射するシーンを見ていたので「きっと痛いんだろうな……」と予想していましたが、良い意味で裏切られました。一緒に受けたスタッフも「毎年受けているインフルエンザワクチンや採血よりも痛くない」とのこと。私も痛みの強さとしては、「採血>インフルエンザワクチン>新型コロナワクチン」の順で、採血が一番痛いように感じました。
 
接種後はそのまま病院で15分ほど待機になりました。これは頻度は極めて低いものの、接種直後に急激な血圧低下や失神などが起こるアナフィラキシーショックが副反応として報告されているためです。待機はもしもの際に病院スタッフから素早く治療を受けられるようにするための予防的処置といえます。私たちは特に異常は起こらず、待機解除後に帰宅となりました。
 

1回目接種から2回目までの経過……軽い痛みと弱いほてり感

ワクチン接種初日は夕方から夜にかけて注射部位に軽い痛みと弱いほてり感がありました。痛みは服が擦れたりすると気になるレベル。接種中にほとんど痛みなどがなかった分、「カラではなくしっかりと接種されたんだな……」と、当たり前なのですが妙に安心しました。
 
2日目はやや痛みが増しましたが、ほてり感は消失。痛みの強さは棚のものを取ろうとして腕を上げたり、左肩に娘が急に寄りかかってきた時に「いたっ」と声が出るくらいです。3~4日目になると痛みも消え、それ以降は全く副反応らしいものは起こりませんでした

私は体質的にインフルエンザワクチンを打つと接種部位が赤く腫れたり強いかゆみが出るのですが、新型コロナワクチンではそういったものは一切ありませんでした。この点は意外であり、とても助かりました。
 

2回目のワクチン接種……1回目よりもやや強い痛み・翌日は微熱に倦怠感も

1回目の接種からちょうど3週間の間隔を空けて、同じ病院で午前中に2回目の接種へ。メディアなどの情報から、2回目の方が副反応が顕著と聞いていたので少しドキドキしながら接種日を迎えました。
 
接種は1回目と同様にスムーズに進み、15分間の待機時も異常は起こりませんでした。しかしながら、夕方になると1回目よりも注射部位にやや強い痛みが起こり、夜には発熱が始まり37.5℃になりました。発熱によるほてり感にくわえて肌の感覚が過敏になるような違和感も覚えました。翌日は仕事があったので解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を服用して就寝へ。
 
翌日、熱は37.0℃ほどになりましたが強い倦怠感あり。接種部位の痛みも打撲したような、より強い痛みに変っていました。倦怠感のためか、勤務時間はいつもより2~3倍も長く感じました。嘔吐や下痢のような激しい消化器系症状はありませんでしたが、食欲は大きく減退。

同じタイミングで接種した30代の女性スタッフは高熱(最高で38.6℃)や強い頭痛で完全にダウンし、欠勤してしまいました。70代の女性スタッフも発熱やだるさはありましたが、強い頭痛などはなく前者よりはやや軽い反応でした。
 
恐る恐る迎えた3日目になると、一気に症状は軽快して接種部位と脇に軽い痛みが残るのみでした。前出のスタッフ達も同様におおよその症状は改善し、勤務にも復帰できるまでになりました。風邪の症状などと違い、スパッと不快症状が軽減したのが印象的でした。接種部位の痛みも5日目頃には改善・消失しました。
 

私自身が新型コロナウイルスワクチンの接種を決めた理由

以上が2回の接種を終えてから数日経過までの流れになります。ここからは私個人がワクチンの接種を決めた理由を挙げてみたいと思います。接種するか迷っている方の判断材料になれば幸いです。
 
まず第一はワクチンの有効性の高さです。ファイザー社のワクチンは臨床試験で90%を超える有効率を達成しています。インフルエンザワクチンは50~60%といわれていますので、この成績は接種への大きな動機となりました。接種が進んでいるイスラエルで感染者が激減しているという事実も後押ししました。
 
第二には副反応情報が挙げられます。日本ではワクチン接種が欧米諸国に比べて遅れましたが、結果的に先に接種を開始した地域で起こった副反応の情報(2回目の方が副反応が出やすいなど)を接種前に幅広く得ることができました。接種についての具体的なイメージができることで不安感は和らぎました。
 
そして最後はメリットとデメリットのバランスです。変異を繰り返す悪性ウイルスに対抗できるすべは現状、ワクチンに限定されます。たしかに副反応への心配もありましたが、集まっている副反応情報と天秤にかけるとワクチンのメリットが個人的には上回りました。
 

接種を受けて得られた教訓……特に2回目接種時は予定・体調に注意を

しかしながら、想定していたとは言っても接種後の副反応はやはり不快なものでした。接種したことに後悔はありませんが、副反応に対してはより良い対応方法もあったと感じています。下記では皆様にぜひ覚えておいていただきたい副反応対策をご紹介いたします。

■接種予定日の後に大切な予定を入れない
副反応は特に2回目の接種後に強く出る傾向があります。多くは発熱、頭痛、倦怠感、接種部位の痛みなどです。したがって、特に2回目の接種後には大切な予定を入れないことを強く、本当に強く勧めます。

■女性の場合は生理などの体調不良時を避ける
女性の場合、生理前や生理中に体調を崩してしまうことはしばしば起こります。そこに副反応が重なっては大変です。特に生理痛が重い方は、接種と生理のタイミングが外れるように計画するのが良いでしょう。

■腕を動かすお仕事は注意が必要
お仕事などで腕を頻繁に動かす場合、接種後に起こりやすい腕の痛みが問題になるかもしれません。私の場合は自転車のハンドル操作時でも痛みを覚えましたので、人によっては自動車の運転(ハンドル操作)にも支障が出るかもしれませんので注意が必要です。

■家族で接種タイミングを分散する
家族間で接種するタイミングを分散すると副反応が起こった場合でもフォローが可能になります。多くの場合、2~3日ほどで軽快するので、1週間程度ずらすと安心です。

■事前に食料などを準備
接種後の体調不良に備えて調理不要なインスタント食品や飲料などを用意しておくと良いでしょう。食欲が下がっているかもしれないので簡単に摂れるゼリーや栄養補助食品なども便利です。ご家族と相談して事前に各々で外食やデリバリーを計画しても良いかもしれません。
 

おわりに……接種後もマスクとソーシャルディスタンスの継続を

接種が行われているワクチンは高い有効率を誇りますが、感染を完全に防ぐものではありません。現に海外だけではなく国内でも2回目の接種後に感染したという報告が上がっています。
 
接種を受けた方も、まだ受けていない方も、そして受けない方も改めてマスク着用、ソーシャルディスタンスの確保、そして3密回避といった予防策を徹底していきましょう。最後にワクチンに関する情報を下記にまとめてみました。一般の方でも読みやすいものですので、これらも含めて皆様の判断材料になれば幸いです。
 
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