お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

36歳貯金700万円。5年前は貯金ゼロ。二人で必死に貯め住宅購入を考えています(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、5年前に貯金がゼロになってしまい、お金を使うのが怖くなってしまったという36歳のパート主婦の方。新築マンション購入を検討しており、教育費や老後のお金など、これからのマネープランについて相談したいといいます。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 老後資金の心配はなく、現在の貯蓄ペース、働き方でOK

事情があったとはいえ、貯蓄ゼロからよくここまで頑張りました。もともと貯蓄力のある家計です。このペースを維持していけば、住宅ローンの返済がはじまっても教育費の心配もなく、夫婦の老後資金も準備することができるでしょう。大丈夫ですよ。
 
まず、毎月の貯蓄は8万円できていますから、年間で96万円。これにボーナスから都合185万円の貯蓄予定ですから、合計で年間281万円です。ご主人の定年退職は65歳とのことですが、60歳になるまでの24年間で貯蓄は6744万円増やすことができます。これに現在の金融資産715万円を加えると7459万円となります。
 
この間の大きな支出はお子さんの教育費です。高校から私立として大学卒業までに1200万円はみておきましょう。このほか車の買い換えが定期的にあります。年齢を考慮するとあと4回。予算300万円を2回、200万円を2回として1000万円です。先の7459万円から教育費と車の買い換え費用を差し引くと5259万円。これがご主人60歳時点で残せる金融資産となります。
 
60歳から定年退職の65歳までの5年間も同じようなペースで貯蓄できれば、さらに上乗せになりますし、少なくとも65歳で退職金が1000万円ありますから、6259万円は残せることになります。
 
まだまだ先は長いので、アクシデントや思いがけない出費もあると思いますが、65歳時点で、約6300万円の金融資産を残せる力がありますから、過剰に心配することもありませんし、現在の貯蓄ペース、働き方で問題はないでしょう。
 

アドバイス2 住宅ローンは繰り上げ返済をして、60歳完済を目指す

65歳以降は、公的年金が主な収入になります。そのころには教育費もなくなっていますから、家計支出は減り、月20万円程度になっていれば公的年金のみで生活は問題ないでしょう。ご主人は独立開業できる職種とのことですから、生活費の不足分を補うぐらいの気持ちで働くということでもいいでしょう。
 
そう考えると、65歳以降も貯蓄の取り崩しはほとんどありませんから、夫婦二人で4000万円を老後資金として確保できれば、残りの2300万円ほどは余剰資金と言えます。
 
たとえば、この先、年間50万円を旅行などで使っても20年で1000万円です。住宅ローンは60歳時点で800~1000万円だと思われますが、定期的に繰り上げ返済をしてもいいですし、60歳、65歳時点で一括繰り上げ返済してもいいでしょう。加えて、お子さんの教育費を1200万円としましたが、お子さんの進路によっては、教育費に上積みしてもいいでしょう。
 
以上のように、現在の貯蓄ペースで試算してみると、ご相談者の希望は叶いますし、心配することもありません。ただし、ここまでの試算は、貯蓄を確実に継続してできることを前提としています。貯蓄力が高い家計ですが気を抜くことなく、貯蓄の管理をしていくようにしてください。
 
教育費は別管理で貯蓄をしていく、車の買い換え費用は別の口座に預けるなど、目的に合わせて貯蓄口座を使い分けるなどの工夫をするといいでしょう。特に新居を購入したばかりは、いろいろな出費がかさみます。引っ越しに伴う費用を100万円と考えているとのことですので、その範囲内で収まるようにするなど、注意するようにしてくださいね。
 

アドバイス3 iDeCoを増額して節税も図ること

現在の家計については、特に見直しが必要なことはありません。しいていえば、ご主人の保険を減額してもいいかもしれません。住宅ローンに付帯の団体信用生命保険に加入予定とのことですから、その分は差し引くことができます。死亡保障は2000~3000万円あれば大丈夫でしょう。その他の保険は、このままでいいでしょう。
 
最後に、iDeCoについてです。現在、毎月の貯蓄8万円のうち1万2000円をiDeCoで運用しているとのことですが、ご主人は会社の企業年金があるのでしょうか? もし企業年金があれば問題ありませんが、企業年金がない場合は、上限が月2万3000円です。iDeCoは掛金が全額所得控除できますので、掛金を増やせるなら、上限まで利用するといいでしょう。
 
ご相談者もパート収入があります。今はご主人の扶養の範囲内の働き方だと思いますが、働き方を見直して所得を増やすのであれば、iDeCoの活用を検討してみてください。所得が増えても所得控除を受けることで節税することが可能になります。掛金の上限は月2万3000円ですが、無理のない範囲で検討してみてもいいでしょう。加えて、厚生年金に加入できれば、将来の公的年金の受給額が増えますので、働き方とあわせて考えてみてください。もちろん、現状維持でも将来的な金銭的な不安はありませんので、ご主人とよくご相談なさってください。
 

相談者「ぴよ」さんから寄せられた感想

深野先生、このたびは貴重なアドバイスをいただき、ありがとうございました。私自身の働き方としては今のままでも大丈夫とのことで安心いたしました。子どもや愛犬に手がかからなくなった際には、また主人とも話し合い、働き方を変えてみるなど柔軟に対応できるようにしたいと思います。また、主人の会社には企業年金がありますので、今後私の働き方を変えた際には、私自身のiDeCo加入も検討したいと思います。最後に、深野先生からお褒めの言葉をいただいたこと、大変嬉しく思います。気を緩めることなく、住宅ローンの60歳までの完済を目指して頑張りつつ、これまでなかなかしてこなかった旅行も社会情勢が落ち着きましたら楽しんでいきたいと思います。このたびは本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは…… 
深野 康彦さん  
  
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。著作に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子


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