受験生と大学がお互いじっくり選ぶ「総合型選抜(旧AO入試)」
総合型選抜(旧AO入試)は大学と受験生のお見合い
お互いに選ぶかどうかを判断する機会は、一回きりではなく段階を経て複数回あります。大学に受験生の考え方、入学後の目標やビジョンを充分に知ってもらった上で、受験生も大学のことを知り、選考を進めるか辞退するかを慎重に決めることができるのです。
大学・学部がどんなことを提供していて、どんな学生に来て欲しくて、来てくれた学生にどんなふうになってもらいたいかという考えを知るには、大学のホームページなどで示されている「アドミッションポリシー」を見ればわかります。総合型選抜では、このアドミッションポリシーをじっくり読んで、自分に合いそうな大学・学部を探す必要があります。そのため、合致すれば大学・学部選びを失敗をする可能性が限りなく低い入試といえるのです。
さらに、総合型選抜のメリットにはもっと深いものがあります。それは、入試の準備を通じて人生プランを立てられる点です。総合型選抜を受けるには、自分がどんなことが好きで、どんなときに喜びを感じて、どんな人生を歩んでいきたいのかを改めて考えることになります。これは就職活動にも通ずるものがありますよね。
人は何かきっかけがないと、改めてこれからどんな人生を送っていきたいのかをじっくり考えることがほとんどありません。総合型選抜の準備は、これからどんな人生を送っていきたいのかを真剣に考えるまたとない機会になるでしょう。
総合型選抜に必要なのは「意欲」「目標」「思考力・表現力」
総合型選抜では「志望理由書」「活動報告書」に加えて、小論文や面接、そして“意欲”などが総合的に評価される
このように総合型選抜では「志望理由書」「活動報告書」に加えて、書類・論文重視型では「小論文」によって学部・学科にへの適性が、また面接によって入学後の意欲などが総合的に評価されます。
また、一般入試や推薦入試は受験時点での評価であるのに対して、総合型選抜は「入学後に伸びそうな人物か」を見極められます。現時点の学力に自信がない人でも、これからの準備次第で合格できる大学・学部があるということです。
ただし、これまでの総合型選抜には学力試験がなく、学校の成績基準も緩やかだったのですが、近年では学力の基準を新たに設ける大学も増えています。国立大は、総合型選抜であっても大学入学共通テスト(旧センター試験)を課しているところが多くあります。
なお、総合型選抜では入学意欲も選抜基準になっていることが多く、その大学のその学部だけを受験するという「専願」がほとんどです。 そこで、どの大学・学部を受験するかを早めに決定し、対策を始めるのが合格のポイントになります。
高1から高3の5月までは志望大学・学部探しと情報収集を
総合型選抜の受け付けは、早い大学だと高3の6月からスタートします。そこで逆算すると、高3の5月までには志望大学・学部を決めておきたいということです。学部・学科選びは職業選びともいえるため、まず大学卒業後にどんな仕事に就きたいかを考えましょう。将来の方向性が定まってはじめて学部・学科、そして大学を選ぶことが可能になるからです。大学の選び方は、学部・学科が決まりさえすれば、そう難しくはありません。関心のある学部・学科が設置されている大学は限られているので自然と絞られてくるからです。
6月からスタートするエントリーまでにどれだけ自分の将来の進路を深く考え、情報収集できるかで総合型選抜の合否が9割決まるといっても過言ではありません。
なぜなら、その過程で考えたこと、調べたことが、エントリー時に提出する「志望理由書」の内容の深さにつながり、その「志望理由書」の内容が「活動報告書」や面接での受け答えの内容につながっていくからです。
高3の6~9月にエントリー開始、8~12月に合格発表
早い大学は高3の6月から受け付けがスタートしますが、多くの大学は9月以降から始まります。そして推薦入学が始まる11月までに合格が発表されるという日程が一般的です。年間を通して、複数回入試を実施する大学も多く、なかには3月まで総合型選抜の募集が続く大学もあります。総合型選抜にエントリー後、事前面談、予備面談、本面談など複数回面談をおこない、入学を許可されると、合格内定=事実上の合格をもらうことができます。あとは入学金の納入や、必要書類を提出するなどの大学への入学手続きを進めるだけです。
総合型選抜のための準備は自身の人生計画立案
総合型選抜のための準備は、自身の人生プランを真剣に考える期間
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