3月23日、LINEは日本国内における個人情報の取り扱いを強化していくと発表した。

一部報道で、LINEでやりとりされている個人情報に中国からアクセスできる状態であったことが明らかになった。また、トーク上の画像や動画などを韓国のデータセンターで保管しているという。本来、ユーザーにこうした情報を明示すべきであったが、LINEでは具体的な国名を明示していなかった。

現状、海外の企業に業務委託することは個人情報保護法には抵触しない。また、LINEでは個人情報が流出したり、詐欺に悪用されたりなどの事実はないとしている。LINEの出沢剛社長は「法的にどうこうという問題ではない。ユーザーが気持ち悪いと感じるなど、ユーザーへの配慮が足りなかった」と釈明した。
LINEの池邉智洋上級役員(左)、出澤剛社長(中央)、舛田淳CSMO(右)。3月23日の会見にて

LINEの池邉智洋上級役員(左)、出澤剛社長(中央)、舛田淳CSMO(右)。3月23日の会見にて

中国からのアクセスの何が問題なのか

そもそも、中国から日本の個人情報にアクセスできるのが、なぜ問題視されるのか。中国では数年前から「国家情報法」という法律によって、民間企業が扱うデータが中国政府に渡るリスクが存在する。アメリカのトランプ政権が通信機器メーカーのファーウェイやTikTokを敵視し続けてきたのも、「アメリカ国民の個人情報が脅かされ、国家安全保障にも影響を及ぼす」という強い懸念があったからだ。

数年前まで、LINEだけでなく、多くのインターネット企業は開発や顧客管理などの業務委託を中国の企業に依頼してきた。中国であれば低コストでの開発、運用が可能となるからだ。

LINEでは日本だけでなく、韓国、台湾、ベトナム、タイ、インドネシア、中国と世界に7つの開発拠点を持っている。

かなり前から中国企業での開発を続けていたが、数年前に中国で国家情報法が成立。本来ならば、そのタイミングで中国企業に対する業務を見直す必要があった。しかし、LINEはそれを怠ってしまった。出沢社長は「(中国での開発を)長く続けてきたが、2017年から18年の潮目の変化など、我々として見落としていた」と素直に落ち度を認める。
LINEの出沢剛社長

LINEの出沢剛社長

LINEでは3月23日現在、プライバシー性の高い個人情報に関して、中国からのアクセスを遮断した。

普段我々が使っているLINEのトークに関しては通常は「Letter Sealing」と呼ばれる暗号化がされており、ユーザーの端末間においては、LINEのシステム開発者であっても中身を確認することができない。

トークのテキストに関しては日本のデータセンターで管理されているが、動画や画像に関しては韓国のデータセンターで保存されている。LINEでは2021年6月までに画像や動画データを日本国内のデータセンターに移転する計画だ。

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