牛肉の魅力……高級な分、心がワクワクする食材
他の肉よりも高価な牛肉。ごちそう感もあるので牛肉を使った料理には多くの方が心躍るのではないでしょうか
唯一の欠点は豚肉や鶏肉に比べて高価なことかもしれません。それでも食べたい牛肉の栄養素、栄養学的な魅力について解説します。
牛肉の栄養素・カロリー……鶏肉・豚肉よりも豊富な鉄分・亜鉛
まずは『日本標準食品成分表2020年版 8訂』より、牛肉の部位別のカロリーと栄養素を見てみましょう。 栄養面で特徴的なのは、豚や鶏に比べて「鉄」と「亜鉛」が多いこと。部位によって異なりますが、100gあたり赤肉が130~200kcal、脂肪つきで300kcal前後の部位が多いことがわかります。牛肉はサシと呼ばれる脂肪の筋が入るからおいしいのですが、サシの入った霜降り肉は成分表では「脂肪付き」になります。「赤肉」ではありませんので、ご注意ください。
牛肉の部位別の特徴・使い分け……最高級部位は「シャトーブリアン」
牛肉は、大きく分けても10以上の部位に分かれます。ひとくくりに「肩」と呼ばれる部位も、高級肉店ではさらに細分化して扱われており、調理方法により適した部位が選んで使われます。中でも「最高級」と言われるのは、「シャトーブリアン」と呼ばれる部位です。ワインの名前かと勘違いしそうですが、ヒレのど真ん中に位置する部位を指します。この部位は運動量が少なく、筋が少なく、やわらかく脂肪も少ないため、最高級部位であると言われています。お値段は100gで10000円から。高級ブランド牛になると100gで5万円というようなものもあるそうです。肉厚に切ってもやわらかくおいしいので、シャトーブリアンは分厚く切って、ステーキにすることが一般的です。その他は、モモやサーロインなどサシが入りやすくやわらかい部位はしゃぶしゃぶやすき焼きに、すねなど筋の多い部位は煮込みに使うなど、肉の特徴を活かしておいしく調理をしてください。
牛肉の健康効果・食べ過ぎの注意点
単一の食品のみで劇的に体調が変わることはありませんが、牛肉は鉄が多く含まれているので、若干の貧血予防効果も期待できるでしょう。また、牛肉に関しては部位ごとにこだわって食べられるおいしさがあり、また高価で少し特別感もあることから、栄養学的な面というより精神的な面での充足感が大きいようにも思います。「牛肉食べたぞ!」という満足感で、疲れた気持ちが回復した経験がある方は少なくないのではないでしょうか?牛肉で特においしいのは「脂身付き」の部分で、この部位は赤肉よりも高エネルギーになりやすいです。牛肉の栄養素で特別に注意すべき点はありませんが、カロリーの面を考えるのであれば、あまり食べすぎないよう注意しましょう。
牛肉を調理するときのコツや注意点・美味しく食べるコツ、おすすめの食べ方
筋の多い肉を煮込む時は別ですが、茹でたり焼いたりする際に火を通し過ぎると硬くなってしまいます。一方で火が通っていないと、食中毒のリスクが高くなってしまうので、加熱の加減に注意してください。牛肉は、豚肉や鶏肉に比べて食中毒リスクが低いと言われてはいますが、牛刺しなどで食中毒が出ています。美味しい食べ方としては、- サシの入った柔らかい肉を薄切りにして「すき焼き」「しゃぶしゃぶ」
- モモ、サーロインなどのやわらかい赤肉を厚切りにして「ステーキ」
- 肩の筋の多い部分で「煮込み料理」
- さまざまな部位の味わいがしっかり楽しめる「焼き肉」
牛肉は「心の栄養」にも! お財布と相談しながらぜひ食卓に
牛肉は豚や鶏などに比べると鉄分が多く、貧血予防に良いと言われています。一方で、牛肉は豚や鶏に比べて生産過程のコストが高いことから、先述した通り販売価格も高く、購入をためらうシーンもあるかもしれません。しかし1か月に1回でも2回でも、たまにはぜいたくをして、牛肉を食べることは、「心の栄養」としても有効でしょう。お財布と相談しながら、上手に牛肉を食卓に取り入れてください。■参考
- お肉丸わかり図鑑(農林水産省)
- 牛まるぎゅう
- 日本食品標準成分表2020年版(八訂)(文部科学省)