人材育成・社員教育

日本通運が旅行業から撤退! 先が読めない時代に、失業や不本意な異動のリスクとどう向き合うか(4ページ目)

コロナ禍で、特に旅行関連産業である宿泊業や飲食店、航空会社や旅行代理店などの苦戦が続いている。もしも失業や不本意な異動で転職を考えた場合、転職の難易度は実際どうなのか。今後のキャリア形成のポイントとは。人材コンサルタントの小松俊明が考察する。

小松 俊明

執筆者:小松 俊明

転職のノウハウ・外資転職ガイド

今の時代、10年先を見越して準備を進めておく

会社が清算されるニュースや企業の業績不振のニュースは後を絶たないが、そのほとんどは自分とは縁のない話である。しかし、それがいつの日か他人ごとではなくなり、自分の身にも起きることを覚悟しておく必要がある。

自分の周りで永遠に何もトラブルが起きないということはない。それはまるで災害や事故のようなものであり、常に世界のどこかで繰り返し起きているものだから、避けられるものではない。となれば、ビジネスパーソンは、考えうる危機的な状況から自分の身を守る方法について、日頃からよく考えておくのが一番いいということになる。つまり、それは変化に備えておくということである。

失業や不本意な異動は突然起きるからこそ、そのダメージは大きい。例えば実力主義が浸透した外資系企業で働く人にとって、想定できる変化はたくさんある。やり手の社長が突然海外本社から更迭されるかもしれない。そうなったとき、自分にどのような影響が考えられるか、起きてから考えるよりも、そうなったらどうするというオプションを考えるのである。

稼ぎのいい時こそ、生活レベルを変えるべきではないという教訓がある。近い将来、必ず稼ぎが下がるときが来るから、その時に苦労しないように、自分の生活設計は、瞬間的な稼ぎのレベルとは切り離して、別の基準で行うほうがいい。

もちろん人によって人生に起きる出来事は異なり、何でもうまくいっているように見える人もいるし、実際、今が最高潮に調子に乗っている人と比べれば、自分がいかに行き詰っているか、伸び悩んでいるか、そのことが頭を離れなくなるものだ。誰にも共通しているのは、全ての人は年を取るということであり、時間の経過は平等に訪れている。だからこそ、10年くらい先の自分を意識する習慣は、自分を変化に強くするのである。

若くても、健康に気を遣うことは正解である。例えば健康に悪いと分かっている習慣を今すぐやめなければ、その懸念は知らないうちに消えてなくなるのではなくて、忘れたころにまるで目覚まし時計のように大きく鳴り響く時が来るのである。

先が読めない時代であるからこそ、先を読む努力をしたいものだ。それはものすごく先のことでなくていい。たった10年だけ、先を見ながら日々の行動を見直し、これから迎えるかもしれない数々の変化に対して、一つひとつ順序だてて対処していけるよう備えておきたいものである。

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