新型コロナウイルスの深刻な感染拡大によって、国内外の移動を自粛せざるを得ない状況が続いている。その結果、航空会社や宿泊業など、旅行業界全体が業績悪化に陥った。その関連で、新たな残念なニュースがあった。1954(昭和29)年に旅行業を創業した旅行業の国内パイオニア企業の一つである総合物流大手の日本通運が、グループ会社の日通旅行(社員数:約310名/ホームページより)でサービスを提供している旅行業の営業を2021年3月で終了し、会社を清算することを発表したのだ(報道によれば、日通旅行の出向者とプロパー社員は親会社への転籍となるとのことである)。

コロナ禍で、特に旅行関連産業である宿泊業や飲食店、航空会社や旅行代理店などの苦戦が続いている。東京や国内主要都市で二度目の非常事態宣言が発令されているさなか、日通旅行は2021年1月18日に同年3月31日付で営業終了となることを発表した。この間、約2カ月半しかない。過去の多くの同様な事例に共通することだが、会社の存亡にかかわる大きなニュースが発表されるタイミングは、あまり時間的な猶予が残されていないことが多い。つまり、社員は大きな衝撃を受けながらも、短期間で対応を迫られることになる。

日通旅行は、ビジネストラベルの手配で業界トップクラスの実績を誇る会社であるため、同社を利用したことがあるビジネスパーソンは多いに違いない。産業界だけでなく、全国の教育機関の教育旅行等の手配でもキメの細かいサービスを提供する同社が営業を終了したニュースには各方面から落胆の声も多い。旅行に関する情報収集やフライト・宿泊の手配はインターネット上で簡単に個人が行える時代であるが、忙しいビジネスパーソンに代わって旅行スケジュールや適切なフライトの選別をし、見積もりからチケット手配まで安価な手数料で支援してくれる旅行会社は、ビジネスユースにおいてはインターネットの時代でも大切な役割を果たしてきた。それがゆえに、コロナ禍の影響で、またも世の中に必要なサービスがなくなることは無念である。
失業や不本意な異動のリスクとどう向き合うか

 

営業終了のニュースの陰にある社員たちのリアル

ビジネスが常にリスクと競争にさらされていることは言うまでもないが、経営の合理化によって企業が事業活動を終了させるニュースの陰には、同社や取引先の多くの社員が切実な問題と直面していることを忘れてはなるまい。まず心配されることは、社員が失業の危機に直面していることである。

自分の意思で転職活動を始めるのとは異なる状況であり、個人的には転職には望ましいタイミングでないという人もいることだろう。転職を実現するには、時間的な猶予もあまりない。タイミングも個人の事情を考慮すれば、決していいタイミングではないかもしれない。

1月から3月は中等・高等教育機関の受験時期であるから、子供がいる人ならば、ちょうどその時期と重なってしまったことになる。不動産購入を決断した直後で、金融機関とのローン契約をかわそうとしていた矢先であった人もいるかもしれない。転職活動の多くは、自分にとって望ましいタイミングで始めることが多いが、今回のように不測の事態で始める転職活動の場合、転職の難易度が高まることがあるから注意が必要である。

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