前回は、メモリに関する数字の意味を解説してきましたので、今回はメモリの転送速度や最大搭載容量といった観点から、メモリを選ぶ際のポイントを紹介しいきます。
数字が大きい方が高性能だが…
基本的に上位のメモリは下位の規格を包括しているので、たとえばパソコンの指定がDDR2-533であっても、DDR2-667やDDR2-800の上位メモリを使うことはできます。しかし、そういった場合は、メモリが持っている本来の性能を発揮することができず、下位の規格のメモリとして扱われてしまいます。つまり、PC2-6400(DDR2-667)のメモリをDDR2-533対応のパソコンで使用すると、メモリ自体は6.4GBの転送速度を持っているのに、実際は4.2GBの転送速度でしか使えないわけです。いわば宝の持ち腐れですね。
しかしながら、PC2700(DDR333)などのメモリは、現在流通量が少なくなっていますが、PC3200(DDR400)のメモリは多く流通しています。
DDR333対応のパソコンでは、当然、PC2700(DDR333)のメモリを使うのが良いのですが、すでに手に入りにくくなっていますので、そういった場合は、PC3200(DDR400)のメモリを代用しても構いません。市場流通量の関係で、場合によっては、上位のメモリの方がかえって安く売られていることもあります。
原則、パソコンの対応しているメモリを増設して、流通量や価格など、場合によっては上位のメモリを増設しても良いでしょう。
ただし、先ほども記載しましたが、DDRとDDR2とでは互換性がないので、DDRを使っているパソコンでDDR2メモリを使うことはできませんし、逆も同様に、DDR2メモリを使っているパソコンでDDRメモリを使うことはできません。また下位の規格を包括しているとはいえ、パソコンによっては動作しない場合もあります。この点は要注意です。メモリを増設する際は必ずメーカーに確認することをおすすめします。
デュアルチャンネル転送対応とは
現在の多くのパソコンでは、デュアルチャンネル(デュアルチャネル)対応(転送対応)となっています。
これは、「同じ規格・同じ容量のメモリを2枚1組で使用することにより転送効率を高めて転送速度を向上させるしくみ」のことです。
たとえば、前回例にとったVAIO type Lシリーズのパソコンのカタログで、メモリのところを見ますと、
メインメモリー(標準/最大) 1GB(512MB×2)/2GB(DDR2 SDRAM、DDR2 667対応(667MHz動作) デュアルチャンネル転送対応)・(ビデオメモリー共有) |
となっていますから、DDR2-667で512MBのメモリを2枚(合計1GB)で使用する場合と、DDR2-667で1GBのメモリを2枚(合計2GB)で使用する場合でのみ、デュアルチャンネル転送となり、転送速度が向上します。
ただし、必ず2枚1組にしなければいけないと言うことではありません。
512MBのメモリと1GBのメモリと言う組み合わせでも動作はしますが、こう言った場合はデュアルチャンネル転送とはならず、転送速度を高めることができないだけです。
また、同じメーカー、同じショップから購入した同規格、同容量のメモリであっても、チップの構成によってデュアルチャネルにならない場合もありますから、デュアルチャネルを活用し高速化したい場合は、同規格同容量のメモリを2枚1組で購入した方が良いでしょう。
昨今のメモリは、基本的にデュアルチャネルに対応していますので、基本的には、同じ規格で同じ容量のメモリを2枚1組で使う方が良いのですが、ノートパソコンのオンボードメモリの容量など、組み合わせによっては、デュアルチャンネル転送を意識すると大容量のメモリが搭載できない場合もあります。そういった場合は、デュアルチャンネル転送にこだわらなくても良いでしょう。
特にグラフィッカーの皆さんでしたら、デュアルチャンネルよりも大容量の方が、メモリの増設のメリットが感じられます。
次は、最大搭載容量が大きくても意味がない、といった注意点について解説しています。次のページへ>>