グラフィッカーに適したパネルは?
次にモニタ選びで知っておきたいのが、液晶モニタのパネルの種類です。
液晶モニタを量販店などで見たとき、表面がテカテカしているものや、見た目にざらつきがあるもの、ちょっと発色が弱いかなというものなど、様々なモニタが見られると思います。それは、液晶モニタのパネルの種類、そして表面処理による違いが、見え方を変えているのです。
現在発売されている液晶モニタのパネルの種類は、以下の3つに大別されます。
- IPS方式
- VA方式
- TN方式
それぞれのパネルに、下記のような特徴があります。
RDT261WH(BK) 三菱 |
IPS方式パネル
- 鮮やかな発色で、コントラストが強い。視野角も広く、斜めから見ても色が変わることはない。写真画像の表示に適しているが動画表示には弱く、オーバードライブ機能が付いていない場合は残像感を感じる。
- 比較的安価なIPS液晶パネルの場合は、表面にざらつきが見られる場合がある。
FlexScan S2411W EIZO 株式会社ナナオ |
- 視野角が広くどの角度から見ても変色しない。IPSに比べると、やや落ち着いた発色、コントラストで、イラストの表示に適している。
- IPS方式同様、動画表示には弱いため、動画をストレスなく見る場合にはオーバードライブ機能は必須。
TN方式
- 表面がテカテカ、一見すると見栄えの良い安価なモニタ。視野角が狭い。15インチ程度の大きさではあまり気にならないが、大画面になると、モニタ正面から見ても四辺はでは変色して見える場合がある。
- IPS方式やVA方式に比べて非常に安価で、動画に強いので、テレビ機能が付いたパソコンなどで多用されたが、グラフィック表示には不向き。
このように、液晶モニタと言っても、パネルによってまったく見え方が違います。ぱっと見の見栄えだけで判断してしまいますと、実際、長時間モニタとにらめっこをした際に泣きを見る場合があります。
画像編集やイラスト作成など、グラフィッカーが使うモニタでしたら、IPS方式かVA方式のパネルを使った液晶モニタにしましょう。
色域の広さや色合わせにもこだわりたい
ちょっと前までしたら、液晶モニタの表示色域の「狭さ」から、液晶モニタの導入に踏み切れないグラフィッカーも多くいました。実際、CRTモニタと比べますと、表示色域は、液晶モニタの方が狭く、表示されない色も存在します。
しかしながら昨今の液晶モニタの場合、AdobeRGBの色域をほぼカバーするモニタが、20万円以下の価格でも買えるようになってきました。また、色合わせ(キャリブレーション)機能を標準搭載したモニタも、20万円以下の価格で買えるようになっています。これらの価格帯のモニタは、グラフィック表示を前提としたモニタですから、グラフィッカーの方でも「使える」モニタです。
もちろん、20万円以上、さらには50万円を超えるクラスで、広大な色域表示と厳密なキャリブレーションが可能なプロ用モニタも存在しますから、予算があれば検討する必要があるでしょう。
ただ、そこまでの予算がなくても、綺麗なグラフィック表示を望む場合は、IPS方式、VA方式、AdobeRGB、色合わせ(キャリブレーション)と言ったキーワードを頭に入れて比較検討すれば良いと思います。
動画の機能も強化されたVista時代。ハイビジョン映像も含めて楽しむためには、モニタ選びにさらに注意が必要です。
次回はこのようなことも含めて、失敗しないモニタ選びについて解説します。