緊急事態の今、「切迫」と「ひっ迫」の正しい意味を知り生活の見直しを

新型コロナウイルスの感染拡大により、様々な事柄が切迫し不安が募る毎日です。テレビや新聞などの新型コロナウイルスを取り上げた記事の中には、この「切迫」ともうひとつ「逼迫(ひっ迫)」という言葉を頻繁に目にします。
 
テレビや新聞で頻繁に見聞きする、医療体制や病床の「ひっ迫」

新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態の今、テレビや新聞で頻繁に見聞きする、医療体制や病床の「ひっ迫」

何となく意味が分かっているようなこの二つの言葉をきちんと見直すことは、今この生活を見直すことにもつながるのかもしれません。事態を重くきちんと受けとめる意味で、あえてこの言葉のもつ意味を見直してみましょう。

辞書の小学館『デジタル大辞泉』によると、

【切迫(せっぱく)】

  1. 期日などが間近に迫ること。
  2. 緊張した状態になること。逃げ場のない追いつめられた状態になること。
  3. 呼吸や脈が、小刻みに速くなること。

【逼迫(ひっぱく)】

  1. 行き詰まって余裕のなくなること。事態が差し迫ること。
  2. 苦痛や危難が身に迫ること。

例えば、金銭などの期限が差し迫る状態には「返済期限が切迫する」、身体の状態などを表す場合には「脈が切迫」のように「切迫」が用いられ、困窮する、余裕のないような状態を表す場合には「財政がひっ迫する」「生活がひっ迫」のように「ひっ迫」が用いられているようです。

なお「逼」は常用漢字表にないため通常は「ひっ迫」というようにかな書きされます。「迫る(せまる)」と同じく、訓読みでは「逼る(せまる)」と読み、事態が差しせまる、身動きできないという意味です。この字を使った「逼塞(ひっそく)」という言葉は、迫り塞がる(ふさがる)という意味です。
 

焦眉の急! 眉が焦げるほどに火が迫る緊急事態

「切迫」「ひっ迫」と同じように時間や事態、苦痛や危難といったものが差し迫るという極めて重大な状態を表すものに「焦眉の急(しょうびのきゅう)」という言葉があります。

「焦眉」のみでも同じ意で使われますが、「焦眉の急」とはその字の通り、眉が焦げるほどに火の危険が迫っているという意味です。

 [由来] 「五灯会元―雲うん居ご舜しゅん禅師法ほっ嗣す・蔣しょう山ざん法泉禅師」に見える話から。ある僧が、蔣山(現在の江蘇省にある山)の法泉仏ぶっ慧て禅師に、「『急切』とはどのような状態のことでしょうか」と尋ねたところ、禅師は「火が眉毛を焼くときだ」と答えた、ということです。(小学館『故事成語を知る辞典』より)

「急切」とは、危険、事態が差し迫ることを指しますから、まさにこの「切迫」(「逼迫」)の状態に同じです。

言葉がどうこうというものではありませんが、しかし、厳しく苦しい状況が続いている大事な今だからこそ、この言葉の意味を重くきちんと受けとめ生活していかなければいけないときなのでしょう。火が鎮まり一日も早く穏やかな日々が戻ることを願うばかりです。

【関連記事】
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。