感染症

新型コロナウイルス感染症・インフルエンザ・風邪の違いと見分け方

【医師が解説】新型コロナウイルス感染症が続く中、風邪やインフルエンザも流行時期に入りました。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱などのよくある症状を始め、味覚障害、嗅覚障害などが起きた場合、どう判断し行動すべきでしょうか? これらの病気の違い、症状からの見分け方の可否と考え方について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

新型コロナウイルス感染症……症状から判断することは可能?

咳・発熱・鼻水などの風邪症状に悩む人

咳・発熱・鼻水・だるさなどのいわゆる風邪症状。インフルエンザや新型コロナウイルスと見分けることは可能?

ウイルスは増殖過程で変異を起こすことがあります。新型コロナウイルスも2020年12月にイギリス、南アフリカで変異ウイルスが確認され、感染力が強くなり、インドでのデルタ株によって2021年8月には日本で大流行しました。さらにオミクロン株で2022年8月に大流行し、流行ごとに感染者が増加しております。このように流行が繰り返されたことを見るとまだまだ油断はできませんが、ワクチン接種と罹患による集団免疫と治療薬によって死亡率が低下しています。今、発熱や咳症状が起こった場合、既存の風邪やインフルエンザの症状と、どう見分ければよいのでしょうか?
 

新型コロナ・インフルエンザ・風邪、それぞれの主な症状と特徴

■新型コロナウイルス感染症の主な症状・特徴
新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)は、風邪の原因にもなるコロナウイルスとは異なり、重症の肺炎を起こしやすく、死に至ることもあるウイルスです。症状がひどくなると、息苦しさ(呼吸困難)、強いだるさ(全身倦怠感)、高熱等を起こします。

しかし軽症の場合は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱などの風邪症状に似た症状のみのことも多いようです。特徴としてよく味覚障害、嗅覚障害が挙げられますが、頻度としては多くはないものの、他の疾患よりは多くみられ、症状が持続しているのが異なります。そのため、味覚障害、嗅覚障害が持続する場合は、新型コロナウイルス感染症の可能性が高くなります。また、これらの症状は同じように出るわけでなく、いずれかの症状が出たり出なかったりすることもあり、無症状者も多くいると考えられています。下痢などの消化器症状もあります。

■インフルエンザの主な症状・特徴
インフルエンザは普通の風邪とは異なり、突然高熱が出るなど症状の起こり方が急激であることが多いです。くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、高熱、全身倦怠感、筋肉痛があります。高齢者の場合は肺炎を合併するリスク、幼児から学童ではインフルエンザ脳症を起こすケースがあります。
 
■よくある風邪の主な症状・特徴
よくある風邪の症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、痰、発熱などです。発熱期間や発熱の程度はインフルエンザより軽いとされています。
 

新型コロナ・インフルエンザ・風邪の違い……症状のみでの見分け方はない

上記の通り、新型コロナウイルスもインフルエンザウイルスも風邪を引き起こす多くのウイルスも、気道に感染するため、その症状は似ています。特に初期症状だけで見分けることは難しいでしょう。また、新型コロナワクチン感染症やインフルエンザで軽症であれば、風邪を区別するのは難しいと言えます。

新型コロナウイルスにより嗅覚障害、味覚障害が起こることが報告されていますが、これらの症状がインフルエンザで起こることもあります。ただ、インフルエンザで嗅覚障害、味覚障害が見られることが多いのは高熱時ですが、新型コロナウイルスの場合は軽症例でこれらの症状が見られています。新型コロナウイルスが嗅覚神経に何らかの炎症などを起こし、神経を傷害している可能性が考えられています。欧米では味覚障害、嗅覚障害は新型コロナウイルスの初期・軽症の症状の一つとして考えられていますが、欧米人と比較すると日本人には少ないという報告もあるため、症状だけで、新型コロナかインフルエンザか風邪かを見極めるのはやはり難しいといえるでしょう。

ワクチンの効果がありますので、新型コロナウイルスワクチンを接種していれば、新型コロナウイルス感染症でない可能性が高くなりますが、ブレークスルー感染と言って、ワクチンしても感染することがありますし、ワクチンの効果も100%ではありませんので、ワクチン接種済でも安心はできません。特に変異株によってワクチンの効果が低下していることがあります。
 

突然の高熱・咳などの呼吸器症状……今、疑うべきは新型コロナ

インフルエンザは風邪よりもひどいことが多く、新型コロナウイルスに似た症状が起こりますが、現在はまだインフルエンザの患者数は非常に少ないです。インフルエンザの流行が見られない状況では、新型コロナウイルス感染症が疑われます。したがって、高熱、咳などのインフルエンザのときに経験したような呼吸器症状があれば、インフルエンザよりも新型コロナウイルス感染症が疑われると考えた方がよいでしょう。インフルエンザワクチンは新型コロナウイルスワクチンより効果が低いものの、インフルエンザワクチン済ならインフルエンザになっても軽症または感染しない可能性があるのは、新型コロナウイルス感染症と同様です。

ただし、インフルエンザが流行すると、新型コロナウイルス感染症とインフルエンザに同時にかかる可能性があります。

同時にかかると重症化する可能性があります。

インフルエンザと新型コロナの同時感染・「フルロナ」の症状・リスク
 

急な発熱や咳症状が出たら……新型コロナを疑い感染させない対策を

特に成人の場合、インフルエンザの流行が少ない状況で急な発熱や咳症状があれば、新型コロナウイルスが疑われます。もちろん、ある程度の割合で、風邪もあるでしょう。例年も冬の高熱がすべてインフルエンザではなかったのですから、急な発熱や咳症状が、すべて新型コロナウイルスとは言い切れません。そして新型コロナウイルスは80%が軽症です。糖尿病などの基礎疾患がなく、呼吸困難、高熱でない場合は、自然に治癒する可能性があります。また、10才未満の子どもでは、新型コロナウイルス感染者も少なく、クラスター発生も少ない状況ですが、成人の感染が拡大すれば、子どもの感染者も増えてしまいます。そのため、子どもの発熱や咳症状は風邪の方を疑いますが、新型コロナウイルス感染症の流行状況によっては子どもでも新型コロナウイルス感染症の可能性も考える必要があります。

やはり、発症時点で何が流行しているかによって判断することになりますので、新型コロナウイルス感染症、インフルエンザの流行状況には注意しておきましょう。

とは言え、症状だけで自己判断することは不可能です。無症状者、軽症者が多いことを念頭に、人にうつさない行動をしっかり工夫して過ごすようにしましょう。
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