お金の悩みを解決!マネープランクリニック/50代以上の家庭のお金悩み相談

夫が55歳でリタイアをして、住宅ローンを支払いながら大学院まで進学させられる?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、夫があと数年で定年退職となるが、子どもは大学院進学を希望しているという50歳のパート主婦の方からのご相談です。ファイナンシャルプランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 現在の貯蓄ペースが続く限り、何の問題もない

結論から申し上げると、現在の貯蓄のペースを継続していけば、金銭的に困ることは生涯ありません。
 
現在、毎月の貯蓄が20万円ですが、家計収支を見ると、4万~5万円の余裕があります。仮に、毎月23万円貯蓄できるとすると、年間で276万円です。これにボーナスから定期預金60万円、給与天引きの財形貯蓄20万円、会社の持株積立6万円で年間86万円。合計362万円の貯蓄ができています。ご主人が定年退職する8年後までに、2896万円貯めることができます。現在の貯蓄約2100万円を加えると、約5000万円です。
 
さらに、ご主人の退職金が2000万円、個人年金600万円、あんパンさんの個人年金が300万円ありますから、生涯にわたって得られる金融資産は、7900万円となります。
 
これだけの金融資産があれば、老後の生活を心配する必要はまったくないと言っていいでしょう。
 

アドバイス2 住宅ローンは定年時に完済。大きな出費もまかなえる

この先、大きな出費は、住宅ローンの返済、車の買い替え、お子さんの学費です。
 
まず、住宅ローンに関しては、ご主人が定年退職するタイミングで一括繰り上げ返済をしてもいいでしょう。おそらく、住宅ローンの残りは1400万円程度ではないでしょうか。
 
車の買い換えは、年齢からすると、あと2回程度。1回200万円として400万円です。
 
学費は残り大学1年分と大学院の2年分。ご相談文に書かれているように、毎月9万円として年間108万円。3年で324万円。これに入学金と学費の不足分が40万円とのことですから、約400万円とすると、今後の大きな出費の合計は2200万円です。
 
先に説明した金融資産7900万円から差し引くと、残りは5700万円となり、これが夫婦の老後資金となるわけですが、いかがでしょうか?
 

アドバイス3 夫定年の55歳以降も年金のみでOK。家計を俯瞰してみる習慣を

ご主人が55歳以降の収入は、あんパンさんのみとなりますが、その時点では、住宅ローンの返済はなくなり、お子さんの教育費もなくなっています。毎月の支出は多く見積もっても15万円程度に抑えられているでしょう。収支トントンの生活ができれば、貯蓄から取り崩すことなく生活できます。

あんパンさんが定年退職になり、公的年金の受給が始まると、毎月7万円ほどの不足となり、年間で約100万円は貯蓄から取り崩さないといけませんが、それも、ご主人が65歳になるまでの間です。ご主人が公的年金、企業年金の受け取りが始まれば、年金のみでまかなうことができるでしょう。
 
なので、貯蓄からの取り崩しがあったとしても金融資産は5000万円以上は残り、ご主人が65歳以降は、生活費として取り崩す必要はなく、まるまるゆとり資金として使えることになります。
 
こうして見てくると、今現在の問題は、奨学金を借りていることと、家計の見直しとなります。
 
奨学金については、返済義務のない給付型であれば問題ありませんが、貸付型であればお子さんが返済していかなければなりません。大学院進学にあたっても、学費を自分で出すとお子さんが言っているようですが、金銭的に無理はないので、全額出してあげてもいいのではないでしょうか。教育に関しては、口出しはできませんが、大学院費用を親が負担しても、まったく問題ないことは、説明してきたとおりです。
 
家計の見直しについては、保険は夫婦ともに医療保険のみで十分なので、ご主人の生命保険は払い済みまたは、解約でも問題ありません。がん保険はどうしても気になるようでしたら、このままでもいいですが、十分な金融資産がありますから、割り切れるようなら、解約でOKです。
 
最後に、家計管理はしっかりされていると思われ、無駄な出費は少なく、堅実な家計だと思います。しかしながら、お金の出どころが、ご主人とあんパンさんで分担されているため、細かいところには目が届くけれど、抜け落ちてしまうところがあります。今回のように全体を俯瞰してみることで、生涯で得られる金融資産、大きな出費、老後資金といったことが見えてくるように思います。
 
これを機に、ご夫婦で一度話し合ってみてください。金銭的な問題はありませんから、少し肩の力を抜いて、お子さんの応援をしてあげてください。
 

相談者「あんパン」さんから寄せられた感想

かねてから、よく拝見させていただいている深野先生にまさか直接ご診断いただけるなんて本当に有り難く夢のようです。感謝しかありません。細かい診断ありがとうございます。まだまだ働き盛りの夫がリタイアをするなんて大丈夫だろうか?と不安ばかりが先行しておりましたが、今回の回答で安心いたしました。また子どもにも夫が退職する可能性があると伝えたため、無理してバイト代を貯金しているようですが、深野先生のアドバイス通りこちらが負担しようと思います。
住宅ローンは一部のみ繰り上げ返済かまたは団信がついているので夫が退職後も返済を続けていく方がよいのかと悩んでいましたが、深野先生から退職時に完済するというアドバイスをいただき目から鱗でしたが、改めて夫婦で話し合ってみようと思いました。

保険についても医療保険だけで大丈夫とのことで驚きましたが、見直しをするいいきっかけになりました。また家計についても夫婦の出どころが違うのが私も以前から気になっていて、私が管理したいと何度か提案しましたが、夫曰く私が益々お金を使わせてくれなくなり、更なる厳しい家計管理になるのが嫌みたいなので現在の状態になっています。今回のように生涯での収入、大きな出費を計算していただき全体像が見えました。また生涯お金で困ることはないとのことなので、これからは少しだけ気楽にやっていこうと思います。深野先生、本当にありがとうございました。これからも一ファンとして先生の掲載を楽しみに拝見します。どうぞお身体を気をつけられて更なるご活躍を心からお祈り申し上げます。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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