皮膚・爪・髪の病気

新型コロナ後遺症で報告されている脱毛…原因・期間・治療法は?

【皮膚科医が解説】新型コロナウイルス感染症には、しもやけや蕁麻疹のような皮膚症状の他、後遺症として脱毛が起こることが報告されています。産後にも起こる「休止期脱毛」と同タイプのものと考えられます。脱毛が起こる期間、治療法・対処法、間違えやすい他の脱毛症について解説します。

野田 真史

執筆者:野田 真史

皮膚科医 / 皮膚の健康ガイド

新型コロナウイルス感染症の皮膚症状……蕁麻疹・しもやけに似た症状も

コロナ後遺症の脱毛イメージ

新型コロナウイルス感染症の後遺症として報告されている「脱毛」。どのくらいの期間続くのでしょうか?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、咳、発熱、倦怠感、嗅覚異常や味覚異常の他に、全身の皮膚への赤みや、蕁麻疹のような症状、しもやけのような症状など、さまざまな皮膚症状が出ることが報告されています。しかしこれらの皮膚症状は他の風邪を引き起こすウイルスに感染したときにも発症することがあり、必ずしも新型コロナに感染したことを示す症状とはいえません。
 
そして新型コロナウイルスによる気になる皮膚症状の一つとして、発症後に脱毛が起きる場合があることが知られています(※参考1)。後遺症でも悩む人が多いというコロナによる脱毛は、具体的にどのような症状と経過を辿るのでしょうか?
 

新型コロナウイルス後遺症の脱毛症状は産後と同じ原因か……症状と経過

新型コロナウイルス感染症の後遺症として髪が抜けたケースの報告を見る限り、「休止期脱毛 (telogen effluvium)」というタイプの症状です。このタイプの脱毛症状は、新型コロナに限らず、体に強い負担がかかったときに起こることが知られています。例えば、産後や、他の発熱を起こす疾患で起こることが知られています。

新型コロナウイルス感染症の場合も、発熱や重症度が高いほどその後に脱毛をきたしやすいと報告されています。休止期脱毛は新型コロナかどうかに関わらず一過性の症状なので、脱毛は新型コロナ感染が治癒すれば3~6カ月で回復すると報告されています。
  

新型コロナウイルスによる脱毛症状の対処法・治療法

新型コロナウイルス感染症の他の症状が治まった後も、1カ月、2カ月と抜け毛が続くと不安になってしまうかもしれませんが、休止期脱毛は半年以内に回復することが多いです。特別な治療は受けず、経過をみて問題ありません。もしも半年経っても回復しない場合は後遺症ではない他の原因も考えられますので、クリニックや病院を受診し、必要に応じて治療を検討するようにしましょう。
 

円形脱毛症や男性型脱毛と迷った場合は、皮膚科受診を

新型コロナウイルス感染症に関わる皮膚症状に関しては、まだわかっていないことが多いです。時間とともにより理解が進むことが予想されます。現時点では脱毛の原因は休止期脱毛と考えられ、その場合自然回復することが通常です。また、全体ではなく一部のみが抜けていれば「円形脱毛症」、前頭部と頭頂部の特徴的な抜け方であれば年齢なども関係する「男性型脱毛」など、他の理由も考えられます。脱毛という症状にはさまざまな原因や疾患がありますので、判断に迷った場合は皮膚科で医師の診察を受けてください。

■参考
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