未だ流行入りが見られない2020/2021インフルエンザの流行状況

2021年インフルエンザの流行状況は?例年との比較で分かること

今年はインフルエンザの陽性者が減少している

新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続く中、今期はインフルエンザの患者数が例年にないほど少ないことが話題になっています。1月半ばの現在でもまだ流行入りしていないのは、私も日々の診療でインフルエンザの迅速検査を行うことがありますが、陽性のケースがありません。そしてインフルエンザだけでなく、発熱で受診されるお子さんの数自体、例年に比べかなり少ないのが現状です。
 

例年の0.1%以下!? インフルエンザの流行比較……例年と2020秋以降

インフルエンザ過去10年間との比較グラフ

インフルエンザの過去10年間との比較グラフ(感染症情報センターより引用)

厚生労働省によると、2021年1月11日から1月17日のインフルエンザ罹患者数は全国でわずか65人。昨年の同時期が90,811人だったことを考えると、この少なさがどれほどインパクトのあるものかわかるかと思います。

また、その前の期間までの集計を見ても、2020年8月31日(第36週)から12月20日(第51週)の16週間の総患者数は、全国で453人。昨年同時期の16週間の総患者数は、全国で328,125人でした(詳しくは国立感染症研究所の「インフルエンザの流行状況」をご覧ください)。
 

インフルエンザ罹患数が少ない理由・原因

秋が来る前は新型コロナウイルスとインフルエンザのW流行を心配する声もあったほどで、今期これほどまでインフルエンザの感染者が少ない原因は、まだはっきりとわかっていません。

あくまでも個人的見解ですが、国内の流行状況については、季節が逆(日本の夏の期間に冬を迎える)南半球の流行状況も影響しているのではないかと思います。南半球でも2020年の冬にあたる期間はインフルエンザ罹患数は少なかったため、南半球からの人を介したインフルエンザ流入自体が少ないのではないでしょうか。また、現在は海外からの渡航も制限されているため、いっそう国外からの流入が抑えられる傾向が強まっているとも考えられます。

しかしこう考えても「南半球でもインフルエンザが少なかったのはなぜか?」という疑問は残ります。ウイルス学では、あるウイルスが体内の細胞に感染していると、他のウイルスが感染しにくくなる「ウイルス干渉」の可能性なども指摘されており、さまざまな仮説が挙げられていますが、やはり新型コロナウイルス感染症対策として、手洗いやマスク着用などの行動が徹底されたことは大きいのではないでしょうか。インフルエンザの予防接種を受けた人が多かったことも関係しているかもしれませんが、ワクチンのないRSウイルス感染症も今年は少ないことを考えると、予防接種の効果だけで激減したとは言えません。やはり、手洗い、マスクなどの感染対策の徹底が要素として大きいのではないかと思います。
 

インフルエンザ等の感染対策は、個々人の対策と意識が重要

人と人との距離を取るなどの感染対策をしっかりとすれば、飛沫感染や接触感染によって広がる感染症は減らすことが可能です。インフルエンザがこれまでいかに簡単に人から人に感染し、毎年流行していたか、改めて認識させられたのではないかと思います。

風邪を含め、感染予防には、手洗い・うがい・マスクが重要です。多くの人が手で触る物を消毒することなども有効ですが、一人一人が罹らないように予防を徹底すること。「感染させない・感染しない」という基本的な対策が重要です。体調が悪いときには無理せず休むことも大切なことでしょう。

私は医師という職業柄、これまでも常に感染リスクは高い環境にいます。これまでも冬になると通勤中はマスクをし、仕事中も診察衣でマスクをしていました。帰宅時にはすぐに手を洗い、うがいをし、インナーに着替えていましたし、インドアですので元々人混みも好みません。そのためコロナ禍でもあまり生活に変化がありませんが、幸いまだ新型コロナウイルスには罹患していません。

どんなに気を付けていても運悪く感染してしまうケースもあるかもしれませんが、まずは一人一人が自分にできる感染対策をしっかり行い、インフルエンザや風邪だけでなく、新型コロナウイルス感染症も含む感染症拡大を止めていきましょう。

■参考
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