昔ながらの“おばあちゃんの知恵袋”としても伝えられてきたこの拭き技は、ハウスクリーニング研修の「基本的な技術」として教わりました。そんな暮らしの勉強・実践と取材を25年以上重ねてきた家事アドバイザーの毎田 祥子が、大掃除にも役立つ拭きワザの極意をご紹介します。
拭き掃除のキホンは面を『コの字』に進む
①上から、コの字を描くように進み、一段降りてまたコの字を描くようにと繰り返して下まで拭きます
②両端を上から下へ一方通行で拭き下ろします。
残った汚れはそこだけ一方向に繰り返し拭き、しつこい汚れはグルグル拭きで!
<『コの字』拭き掃除の流れ>
- スタート地点は左上。雑巾を構えてコの字を描くように、まず一方向に横に拭き進み
- 雑巾の縦半分の長さほど下へ降りて
- そこから反対方向に拭き進みます。コの字の横棒2本は隙間なくくっつくように
- また雑巾の縦半分ほど降り、同じくコの字に拭く
- これを繰り返し、下まで一面を拭く
- 今度は、右端と左端を上から下へ、これも一方通行で拭く
これが一連の基本動作です。なぜ一方通行にするのかというと、いま進んだところを戻ると雑巾から抜けた毛羽や拭き取った汚れが面に再付着してしまうから。往復拭きをすると何度拭いても綺麗になりませんが、一方通行ならその心配はありません。
なお注意すべきは、柔らかい素材で拭くこと、また力を入れすぎないこと。お恥ずかしながら、私は昔、スポンジのザラザラ面を使い、思いっきりゴシゴシ拭いてしまい傷だらけにしたことが! 傷ついた面は汚れが付着しやすく、逆に手間ヒマの倍増です(涙)。
窓も鏡も床も棚も壁だって……家の中はたくさんの“面”でできている!
それで落ちないしつこい汚れはは『ぐるぐる』攻め!
『コの字』を描く拭き掃除をしても残った汚れは、大きく2種類あります。- 一方通行で拭いたときに残った筋状の汚れ。棚や机に多い
- 水や油を含んだ液状のものがポトンと落ちたまま、あるいは、垂れ下がりながら固まった汚れ。鏡や壁、窓などに多い
『コの字』を描く拭き掃除をしても残った丸型や垂れ下がり型の汚れ
- ポトンと落ちて広がった“丸型汚れ”は、外縁から中心へグルグルと円を描くように拭いて汚れを落とします
- “垂れ下がり汚れ”は垂れ部分に溜まって固まっているので、下から上に楕円を描くように拭くと取れやすいです
それでも落ちない強情!?な汚れには、洗剤をつけてラップやキッチンペーパー等で覆ってしばらく湿布してから、再度ぐるぐる拭きをしてみましょう。
(慣れてくると、拭くときに手に伝わる感触で、面から盛り上がっている汚れの塊がわかるようになってくるので、“そこだけ攻める”というマニアックな達成感も味わえます。このテクニックは鍋やフライパンなど調理器具の汚れにも使えてクセになりますよ!)
キレイの決め手は『乾拭き仕上げ』
鏡だけでなく、蛇口や洗面台、洗面ボウル、奥に見える金属のバーも、磨けば光るところをピカッとさせると印象が大幅にアップ。気持ちも運も上がります!
この時、細かく残った筋状の汚れを見つけたら乾拭きで拭きとることができるはずです。これで、つやピカ仕上げのでき上がり! クリアになった面を見ると気分もすっきりします。
綺麗になった面は日常の「ついで掃除」で楽にキープ!
せっかく綺麗になった面です。汚れは溜めるとこびり付いて取りにくくなるので、楽にキープできるといいですね。例えば洗面室の鏡は、練り歯磨きが散ったり手洗いや洗顔の水しぶきが飛んだりして、もう今晩には汚れるでしょう。私は、「ついで拭き習慣」でキープを目指しています。歯磨きや洗顔のついでに、顔や手を拭いたタオルを使って鏡をさっとひと拭きし、そのタオルは洗濯かごに入れて、つやピカよし!と。これなら洗剤も要りません。
もちろん、“気になったときに集中して拭き掃除をする派”でも問題ありません。どちらが良いかは自分のライフスタイルで決めてくださいね。
コの字&ぐるぐる拭きを身につけたら、掃除がとても楽になります。 “おばあちゃんの知恵袋”やプロの技には、覚えておくと一生楽になることがたくさんあるのです。