妊活には正解もなく、感情的な平行線の議論になりがちで、自分の意見を伝えることに慣れていないのも理由の一つ。そこで、パートナーの気持ちや考えを確認し合いながら、妊活を進めていくため3つのステップをお伝えします。
※本記事は、公認心理師・臨床心理士からアドバイス・監修を受け執筆しています
妊活に対するふたりの温度差問題
仲が良かった夫婦でも、妊活におけるすれ違いは起こります
妊活中カップルのお悩みで特に多いのが、「妊活に対するふたりの温度差」です。お互い子どもが欲しいと思っていたはずなのに、妊活を始めたらふたりの温度差を感じる、という方は少なくありません。
妊活はふたりで一緒にしていくもの。足並みをそろえて取り組むためには、心と情報を準備してから話し合うことが大切です。
- 妊活を考えているものの、パートナーにどう話を切り出そうか悩む
- パートナーと妊活について話そうとしても「それでいいんじゃない?」と丸投げ
- 私だけが子どもを欲しがっているの?と不安になる
- 病院で検査だけでも受けてみようと思っているけれど、パートナーは「そこまでしなくても、そのうちできるんじゃない?」とのんびりしている
このような温度差を感じるような場合、お互いの気持ちを理解し合う必要があります。妊活においてパートナーの気持ちや考えを理解し合うための3ステップをお伝えします。
ステップ1:どうして子どもが欲しいのか整理する
ふたりで話し合う前にまず考えてみてほしいのは、「どうして子どもが欲しいのか」という自分自身の気持ちや考えです。妊活を始めるときに「そろそろ子どもが欲しいよね。妊活はじめようか」「そうだね」というやり取りをされる方は多いと思います。しかし実は、子どもが欲しい思いの背景には人それぞれ違いがあります。
たとえば「不妊治療を受けてでも子どもが欲しい」人と、「自然に授かるなら子どもが欲しいけど不妊治療は考えていない」人では、妊活のスタンスが違ってきます。このような違いを知らないまま妊活を進めると、後になってふたりの温度差を感じることになります。
妊活の具体的な話を進める前に、「私はこう思うから子どもが欲しい」と伝え合っておくことがとても大切です。伝え合うためには、自分自身の考えや気持ちを事前に整理しておく必要がありますよね。まずは、それぞれが気持ちや考えを整理する時間を作ってみてください。
こんな風に書き出してお互いに見せ合ってみましょう。
- 二人と血の繋がっている子どもを産んで家族になりたい
- 女性として生まれたからには子どもを産んでみたい
- パートナーに子どもを抱かせてあげたい
- パートナーが欲しがっているから子どもが欲しい
- 子どもができたらこんな家族になりたい
ステップ2:妊活の情報をリサーチして共有する
自分自身の気持ちや考えを夫婦で共有することが大事です
妊活の知識量は人によって差があります。あなたは知っていて当然だと思うようなことでも、パートナーは知らないかもしれません。
例えば、年齢によって受診するタイミングや推奨される妊活方法は違います。そのことを知らないでいると、こんなやり取りが起きるかもしれません。
妻「1年たっても自然に授からなかったから受診してみようかな」
夫「病院なんか行かなくても、自然に任せればいいんじゃないの?」
妻(自然に任せてなかなかできないから受診したいって言ってるのに! 本気で子どもがほしいと思ってるの?)
調べておいてほしいのは次のようなことです。
- 年齢別の妊娠率、流産率
- 受診のタイミング
- タイミング法、人工授精など妊活の種類と説明
- 受診した場合の検査の種類や費用
このとき、知識を「教える人」と「教わる人」という関係になると、その後の妊活でもこの関係が続きます。一緒に調べて教え合う協力関係を作っておきましょう。どちらが何について情報を集めるか、役割分担ができると良いですね。
ステップ3:妊活の方法を具体的に相談する
お互いの気持ちを確認し、情報共有ができたら、妊活の方法を夫婦で具体的に相談しましょう。妊活にもいろいろな方法があり、カップルによってかけられる費用や時間も違います。自分たちの妊活スタイルを話し合ってみてください。
例えばこのようなことを話し合えるといいですね。
- 排卵日の時期
- タイミングを合わせるために夫婦で工夫できること
- 不妊治療を受けるならどのステップまで考えるか
- 受診せず自然妊娠にこだわりたい
- 排卵日以外にもセックスがしたい
- 妊活を始めたら、今の生活と何がどのように変わるか
- 妊活を始めても、今の生活と変えたくないことは何か
妊活には、ふたりの気持ちや考えを確認し合う場面がたくさんあります。このステップ1~3は、妊活を始めるときだけでなく、妊活中にも繰り返し試してほしい話し合い方です。
カップルも別々の人間ですから、意見が違って当然です。意見が違う背景には、「どうして子どもが欲しいのか」という気持ちや、妊活の知識の差があります。
お互いを理解しながら、ふたりで一緒に妊活できるといいですね。
監修:公認心理師・臨床心理士 戸田さやか