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Zoomって本当に大丈夫? 危険性や気になるセキュリティ対策は?

コロナ禍の影響でビデオ会議サービスZoomの利用者が急増しました。2020年3月にZoom爆撃などのセキュリティ問題が出ましたが、現在、Zoomを利用するリスクはあるのでしょうか?Zoomの基本からオススメのセキュリティ設定まで解説します。

柳谷 智宣

執筆者:柳谷 智宣

スマートフォンガイド

コロナ禍で利用者が急増したZoom

新型コロナウイルスの影響でテレワークが急速に広まり、打ち合わせや会議を行うためにビデオ会議サービスの利用者も爆発的に増えました。これまでは一部のビジネスパーソンが遠隔地の人と話すために利用されていたのですが、今ではちょっとした打ち合わせや雑談、実家への顔見せ、プライベートの飲み会にまで利用されるようになりました。

ビデオ・Web会議サービスはたくさんありますが、oricon MEが実施した「オリコン顧客満足度調査 2020年10月」によると、その中でもWeb会議ツール部門で顧客満足度第1位になっているのが「Zoom(ズーム)」です。

Zoomは2011年にアメリカで創業したビデオ会議サービスです。ビジネス向けのサービスですが、最大40分まで無料で利用できるうえ、接続操作が簡単なので、多くのユーザーに利用されていました。2019年に上場し、現在の時価総額は15兆円以上にもなっています。
ビジネスからプライベートまで人気のビデオ会議サービス「Zoom」。

ビジネスからプライベートまで人気のビデオ会議サービス「Zoom」

Zoomの利用方法は簡単!

会議を開催する場合は、アカウントの登録が必要ですが、前述の通り無料で作成できます。一番簡単な方法では、会議に参加するだけなら、アカウント登録しなくてもOKです。会議を作成し、会議室の招待リンクを相手に教えてクリックしてもらえばいいのです。

これだけで、パソコンやスマートフォンで相手の顔を見ながら会話できるのです。音質はとてもよく、途切れることもほとんどありません。インターネットに接続していれば、電話代もなしです。
「新規ミーティング」をクリックするだけで、即ビデオ会議を開催できます。

「新規ミーティング」をクリックするだけで、即ビデオ会議を開催できます

サイバー攻撃「Zoom爆撃」など、気になるセキュリティの問題は

良いことずくめに聞こえますが、実は2020年3月に「Zoom爆撃」という言葉がニュースになりました。ロックダウンにより休校になった学校は、Zoomを使ってオンライン授業を行っていましたが、関係のない第三者がZoomに乱入し、暴言を吐いたり怪しい動画を再生したりしたのです。

これは、URLさえクリックすれば誰でも入れるように設定したうえ、そのURLをネットで共有したからです。筆者も記事用にテストでZoom会議を開催し、その招待URLをTwitterで投稿したところ、1分も経たずに外国人が乱入してきて英語で何かわめき散らしました。
TwitterにURLを投稿してすぐに第三者が乱入してきました。

TwitterにURLを投稿してすぐに第三者が乱入してきました

他にもいくつかセキュリティに関しての問題が立て続けに露呈しました。

ビジネスでは極秘情報を扱うので、通信は暗号化されていなければなりません。当然、Zoomも暗号化していると謳っていたのですが、実は暗号化を復号化する鍵をZoomが持っていたのです。やる気になれば、通信の内容を覗くことができたのです。

他にも、iOS版のZoomアプリを利用する際に、情報がFacebookに送信されていました。ZoomはFacebookログイン機能に対応しているのですが、そこに不具合があり、情報が送信されていたのです。Facebookログインを使っていない人どころか、Facebookユーザーではなくても送信されていたのです。Windows版とMac版のZoomアプリにも別の脆弱性が発見されました。

また、Zoomを利用する際は近くのサーバーにアクセスするようになっていますが、うまく接続できない場合、別のサーバーにアクセスを試みます。その際、中国のサーバーにアクセスする可能性があり、中国以外の国で大問題になりました。万一の際、中国政府がデータを見る可能性があるからです。

強化されたZoomのセキュリティ機能

Zoomは4月1日から90日間、新機能を開発しているリソースをセキュリティ機能の強化に集中させると発表し、全力で対応に当たりました。

まず、アプリがアップデートされ強力な暗号システムが導入されました。iOS版、Windows版、Mac版のアプリの不具合も修正されました。通信経路の問題も修正され、中国以外の国からは中国のZoomサーバーにアクセスしないようになりました。
4月1日、Zoom CEOのEric S. Yuanが90日間の取り組みをブログに投稿しました。

4月1日、Zoom CEOのEric S. Yuanが90日間の取り組みをブログに投稿しました
 

Zoom爆撃も対応されました。まず、待合室機能がデフォルトで有効になったのです。URLをクリックしてもすぐには参加できず、待機室のリストから管理者が許可する必要があります。このおかげで、乱入は防げます。間違って入ってきた人を強制的に排除したり、予定したメンバーが参加したらそれ以上人が来ないようにロックしたりできます。
Zoomの設定画面で待機室が有効になっていることを確認しましょう。

Zoomの設定画面で待機室が有効になっていることを確認しましょう

確かに問題はあったのですが、現在は対応済みとなっています。きちんと運用すれば、安全にコミュニケーションが取れるのです。Zoomはビジネスはもちろん、プライベートでも活用できます。

結局、Zoomは大丈夫? 使うときの注意点は?

新型コロナウイルスの影響でなかなか実家に戻れない、という人も多いかと思います。その際、Zoomで顔を見ながら話すのはとてもよいコミュニケーションになります。デジタルに疎いシニアの方にデジタルツールを使ってもらうのはハードルが高いですが、Zoomであれば比較的簡単に使えます。

注意すべきは、ビデオ会議のURLを誰でも見られるところに投稿しないことと、標準設定のまま待機室は有効にしておくことです。後は、最新版のZoomアプリを利用していれば、情報の転送や第三者の乱入などは防止できます。

URLをクリックしただけではログインできず、パスワード入力を必須にしたり、あらかじめ登録したメールアドレスを求めることも可能です。必要に応じて、セキュリティレベルを上げるとよいでしょう。

今でも、Zoom禁止の企業や団体はあるのですが、基本的にはもう安全に利用できます。ビジネスはもちろん、プライベートでも安心して使えます。有料契約をしない限り、無料で使い続けられます。家族や友人とのコミュニケーションに活用しましょう。

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