子育て

ゲーム依存に陥る子、適切に付き合える子…親の関わり方の決定的違い

昨今、子育ての悩みで圧倒的に増えていているのがゲーム依存……ゲーム機との付き合い方です。ゲーム機で遊ぶことがいけないのではなく、適切な関わりができないことが問題です。ゲームと上手く付き合える子になるための、親のサポートで大切なことをお伝えします。

田宮 由美

執筆者:田宮 由美

子育てガイド

ゲーム依存に陥る子、適切に付き合える子……親の関わり方は?

子育ての悩みで、圧倒的に増えていているのがゲーム機との付き合い方

子育ての悩みで、圧倒的に増えていているのがゲーム機との付き合い方

今の子どもは生まれた時から、ゲーム機の存在を身近にしています。それと同時に子育ての悩みで、圧倒的に増えていているのがゲーム機との付き合い方です。

現代のゲームは、2人で遊ぶ対戦型、数人のグループで遊べるパーティーゲームなどのタイプがあったり、インターネットに接続できたりと遊び方の幅がより広くなっています。

コンパクトで手軽に持ち運べ、どこでも簡単に楽しめるゲーム機なのですが、その反面、ゲームをする時間や頻度を自ら制御できない依存症も問題となり、世界保健機関(WHO)は2019年にゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を国際疾病として正式に認定しました。

子どもがゲーム機と適切に付き合えるようにするには、親はどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。ゲーム機が及ぼす影響、与えるときの注意点を幼児・小学生に分けて説明します。
 
<目次>
 

ゲーム機を与えるきっかけは、子どもが欲しがったとき

ゲーム機を与えるきっかけは、子どもが興味をもったとき

ゲーム機を与えるきっかけは、子どもが興味をもったとき

最近は、プログラミングを学べるようなゲームも出てきており、小学校の授業に役立たせるため、また情報端末機器に慣れさせるために、親がゲーム機を与えることもあるようです。

ですが、ゲーム機を与えるきっかけは「子どもが欲しがったとき」がほとんどのケースのようです。小学校や保育園・幼稚園でゲームの話題が出るようになれば、子どもは興味をもち、欲しがるようになるでしょう。そうなると親は「話題に入っていけるように」「友達と一緒に遊べるように」と与えるきっかけになることが多いようです。
 

ゲーム機の影響、メリットとデメリット

ゲームは、娯楽として楽しい時間を過ごしたり、友達と会話をするきっかけになったりします。そしてプログラミングを学べるようなゲームなどは勉強に役立つこともあるでしょう。また様々な研究により、反射能力や瞬時に注意を切り替える能力が高まるなどともいわれています。

このようなメリットがある一方、ゲームを長時間続けることにより、視力が低下するなどのデメリットも指摘されています。また格闘系などゲームの内容によっては、相手を攻撃することや暴力に抵抗がなくなり、実生活においても言動が粗暴になることも危惧されています。

そして、あまりにも熱中しすぎて、ゲームを止めなければならない時も止められず、自制がきかない状態に陥ることもあります。そうなると勉強時間が減り、学力の低下を招き、食事や就寝時間も不規則になり、子どもの健やかな成長の妨げになります。
 
ではゲーム機を与えるとき、どのようなことに注意をすればよいのでしょうか。小学生・幼児の年代別に説明します。
 

小学生にゲームを与える場合の3つの注意点

小学生にゲーム機を与える場合、最初にルールを決めてきちんと守れるように親がサポートすることが大切です。

■注意点1:使用する時間・場所などのルールを決める
ゲーム機を使用する時間や場所を決めます。例えば「1日1時間以内」「ゲーム機はリビングでのみ遊び、自分の部屋には持ち込まない」「宿題を済ませてから遊ぶ」など、各家庭の状況によって、ゲーム機で遊ぶルールを決めるとよいでしょう。
 
■注意点2:ルールを可視化する
子どもはゲームを始めると、時間も忘れて没頭するでしょう。そのため、始める時間を書き入れる用紙を作って記入するなどの工夫をするとよいでしょう。

使用時間や場所を書き記した用紙を目立つところに貼っておくのもいいですね。親が子どもにルールを促すときに分かりやすく、子どもも守りやすくなるでしょう。
 
■注意点3:ルールは親子一緒に決める
これらのルールは、親が一方的に決めるのではなく、子ども主導の話し合いによって決めましょう。親から押し付けられるルールよりも、自分で納得しながら決めると、守りやすくなるものです。そして、もしルールを守れなかった場合、どうするかも話し合っておきましょう。
 

幼児にゲーム機を与える場合の3つの注意点

ルールは、親が一方的に決めるのではなく、子ども主導で話し合いによって決めましょう

ルールは、親が一方的に決めるのではなく、子ども主導で話し合いによって決めましょう

ゲーム機を渡して遊ばせているとおとなしくしていることが多いため、親が家事などで忙しい時につい与えてしまいがちです。やむを得ない場合もあるかもしれませんが、基本的には親の都合でゲーム機を与えないようにしましょう。

■注意点1:手の届く場所に置かない
ゲーム機は子どもの手の届くところには置かず、見えない場所に片づけておきましょう。そして遊ぶときのみ渡すようにしましょう。

■注意点2:その都度、簡単な約束ごとを伝える
ゲーム機を渡す時にその都度、約束をしましょう。例えば「夕ご飯までゲームで遊んでいてもいいよ」「お友達と遊んでいるときだけにしようね」「このお部屋の中で遊びましょう」などです。いきなり「もう、ゲームは終わりにしなさい」と頭ごなしに言われても、突然中断されることに子どもは納得しません。ゲーム機を渡すその都度、時間や場所を約束するとよいでしょう。
 
■注意点3:ゲームをしている途中に声をかける
子どもがゲームをしている最中に「おもしろい?」「今、どんな場面?」など少し声をかけたり、ゲーム機をのぞき込んだりして興味を示しましょう。
 

約束を破った時、罰を与えるのはNG!

ゲーム機に関する約束事を破った時に「ゲーム機、没収」「1週間ゲーム禁止」など、罰を与えることはないでしょうか。これはとてもよくない対処法だと思ってください。

子どもは当然、大好きなゲーム機を取り上げられたのですから、反抗的な態度を取ります。そこで親は「ルールを守らなかったあなたが悪いんでしょ!」と更に叱責することにもつながります。

「ゲーム機を与えるときにルールは子ども自身が決めたのだから、罰はあってよいのでは」と思われる方もおられるかもしれません。ですがルールを守れなかった時の約束をきちんと守れる子どもは、本来の約束も守ることができるでしょう。
 
罰を与える対処法は親子関係に溝をつくり、やがて子どもは親に隠れてゲームをするようになります。幼児や小学校低学年くらいまでは、親がある程度コントロールできるでしょう。ですが高学年、中学生になると、行動範囲も広がり、親の目の届かない所での行動が増えます。そうなれば自制がきかないほど、ゲームに熱中してしまうことも起こるかもしれません。

ルールを守れなった時は、「お手伝い」「お母さんの肩たたき」など、親子が能動的に触れ合い、関われるようなことの方がよいでしょう。親はそのあたりも上手にサポートしながら、ルールを決めましょう。
 

親のすべきことは、子どもがルールを守るサポート

ゲーム機使用のルールを守れるように、ゲーム以外の楽しい体験を増やすことも大切です

ゲーム機使用のルールを守れるように、ゲーム以外の楽しい体験を増やすことも大切です

大切なのは、子どもがルールや約束を破ったときに罰を与えることではなく、守ったときに認めて褒めることです。これは非常に大事なことなのですが、見逃されていることが多いです。守ることができたときは、しっかり「今日も守ることができたね」と、ルール通りゲーム機と向きあえたことを認めて褒めましょう。そして「お母さん嬉しいわ」と気持ちも伝えるとよいでしょう。

子どもが親と一緒にルールを決めて約束をするときは、守る意思があったはずです。何かを始めるのは比較的容易にできますが、何かを持続させることは難しいもので、これは大人にも言えることでしょう。まして子どもが楽しく遊んでいることを規制するルールや約束なのですから、持続させるのは強い意志が必要です。子どもなりに毎日、一生懸命ルールを守っているのですから、親はそのことに目を向けましょう。
 
親がするべきことは、破った時の叱責ではなく、決めたルールを守れるようにサポートしていくことです。


子どもの遊びも時代と共に変わってきます。ゲーム機で遊ぶことがいけないのではなく、適切な関わりができないことがいけないのです。親は子どもに「あなたがゲーム機とうまく付き合っていこうとしている意志を応援しているよ」と気持ちが伝わるように関わってください。
 
そして一緒に公園や図書館へ行く、体を動かして遊ぶ、絵を描く、造形をするなど、ゲーム以外の楽しい体験を増やすことも大切です。そして子どもが自制しながらゲーム機と付き合い、上手に活用して遊ぶようにサポートしていきましょう。


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※乳幼児の発育には個人差があります。記事内容は全ての乳幼児への有効性を保証するものではありません。気になる徴候が見られる場合は、自己判断せず、必ず医療機関に相談してください。

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