名前の縦割りは縁起悪いという噂の根拠は全くない
縦割りの字だけで名前を作ることは支障ない
名づけに関する類似の話が昔からいろいろと巷に流れてはいますが、それを逐一吟味する必要は無く、全体を眺めたほうが話はわかりやすくなります。このほかにも世間では次のような話がよく流れます。
- 字画の悪い名前をつけてはいけない
- サンズイの字はやめなさい
- 花や季節をあらわす字はいけない
- 濁音は入れないほうがいい
- 冬生まれなのに夏の字を入れたらおかしい
- 一字名前はよくない
- 次男に太の字を使うのはおかしい
- 左右対称の字でなければ運が強くならない
- 「ん」で終わる名前はよくない
「好み」と「意見」をはっきり区別すること
ではこのような話が、なぜ世間に広まるのでしょうか。そのからくりをぜひ知っておくといいでしょう。それは実は「好み」と「意見」の混同によるものです。世の中には、自分の好みを「意見」として言う人が多い、ということなのです。命名の専門家は相談者の方から候補を見せられて「先生はどの名前が一番いいと思いますか?」などとよく聞かれます。しかし「名前に難点があるか無いかは意見として言えますが、好みは人によって違いますから、そこまでは立ち入れません。難点の無い名前の中から、ご自分の好みで選んでください」と申しあげます。
素人さんはこの「好み」と「意見」の区別がないのです。たとえば自分の知り合いに不運で不幸な人がいて、その人の名前が全部縦割りの字だったりしますと、何となく縦割りの字に悪いイメージが起き、自分の名前はそうではないと安心したりします。それを自分一人の感じ方、好みとして心に留めておけばいいのですが、それを一般的な事実のように思いこみ、意見のように人にしゃべりますと、根拠のない、間違った話を振りまくことになります。
とくに妊娠中の人は、いろいろ気をつけなければならないことも多い中で、不吉な言葉を耳にしただけで不安になりやすいものです。これから一人の人間を生み育てよう、という大事の前ですから、あまりに常識からはずれた話を聞かされたら、「ああ、この人はそんな好みなのだな」と、うわの空で聞き流すのが一番です。
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