「平熱が高い」「低い」は個人差? 人それぞれ異なる体温

平熱の平均は?

「平熱が人よりも高い」「低体温かも」…体温にも個人差があります

体温には個人差があり、平熱が高い人も低い人もいます。検診などで、普段と変わらず元気で何も症状がない人でも、体温を測定すると大人の場合は37度、子どもの場合は37.7度ほどあることも珍しくありません。特に予防接種を予約されている場合、受診時に37.5℃以上の熱があれば、予防接種をすることができません。しかし、数分後に再度検温をすると、37.5℃以下になることもあります。ちなみに私は平温が35度台なので、何となく熱があるように感じるときでも、実際に計ると36度台後半ということもあります。
 

日本人の平熱は「平均36.89度」だが、ばらつきも

日本人の平熱は、平均36.89度とされています。1日のうちの体温変化は、ほぼ1度以内におさまるのが普通です。日本人の平均体温値は、1957年の田坂定孝先生の研究による報告から来ています。この研究は、東京都内の10~50歳代の健康とみなされる男女3,000人余りを対象にしたもので、午前、午後、また四季を通じて、測定時に椅子に座った状態で、脇の下に水銀体温計を使って30分間測定した結果がまとめられています。この報告によると、全体の73%が36.89±0.34℃の範囲にあります。逆に言うと、25%ほどの人は、36.5度以下、または37.23度以上であったということです。そのため、37度だから微熱というわけではありません。10~50歳の成人と65歳以上の高齢者の体温も異なっています。入来正躬の報告では、10~50歳の成人は36.89±0.34(平均±標準偏差)度、65歳以上の高齢者では36.66±0.42度でした。

人によって平熱に違いがある理由

平熱には個人差があるため、普段から自分の体温を知っておくことは大切です。体温に個人差がある原因としては、皮下脂肪の量、汗のかき具合、皮膚の血管の走行の違いなどが影響するためです。年齢によっても差があります。

子どもは代謝が盛んですので、大人よりも体温は高めですし、高齢者は代謝が落ち、筋肉の低下、皮下脂肪の減少、皮膚の機能低下により体温は低めになります。

また、同じ個人でも体温には日内変動があるため、1日の中でも異なってきます。体温は活動の影響を受けますので、寝ている間は下がっていますし、日中活動している時には上がります。食事、食後の代謝、睡眠時の安静、日中の運動によっても変わってきます。特に運動後や食後には体温は高めになります。さらに外気の影響も受けますので、気温の変化によっても変わります。
 

「平熱が低い(平熱が高い)」と健康に悪い?

「平熱は低いのは健康に悪いので、平熱を上げよう」といった健康法もあるようですが、人の体温には個人差があり、多少高くても低くてもその個々人に合った体温であるわけですから、無理に上げたり、下げたりする必要もないでしょう。外部刺激による一時的な体温上昇は自律神経に影響することもあります。

体温の高さ、低さと健康との関係にはさまざまなことが言われているようですが、通常の範囲であれば、わずかな差をあまり気にする必要はありません。

一般的に42度を超えると、タンパク質が変性し、酵素が働かなくなってしまいますので、体温は42度以下で保たれる必要があります。鳥の体温は42度と高温ですが、これは飛ぶという動作に対してエネルギーを必要としているためだと考えられています。

体温が下がりすぎると代謝は低下してしますが、これは35度台くらいでは該当しません。健康や命に関わる低体温は、内臓の体温である深部体温が32度になるような体温です。深部体温が32度になると脳の代謝が半分から1/3程度になってしまい、意識がなくなっていきます。深部体温が23度になると死に至りますが、まだ救命可能なレベルです。13.7度未満になると回復不能な死に至ります。体温を維持することは非常に重要です。
 
■低体温に対するスイス段階的評価モデル
1段階 意識清明、震え                                                        32から35度
2段階 意識障害、震えなし                                                  28から31度
3段階 意識なし、震えなし、生命徴候あり                             24から27度
4段階 生命徴候なし                                                           23度以下
Brown DJ, Brugger H, Boyd J, Paal P. Accidental hypothermia. N Engl J Med. 2012;367:1930–1938. doi: 10.1056/NEJMra1114208

「体温(平熱)が低い」「高い」と気にされる方もいらっしゃいますが、その多くの方は35度台か37度台でしょう。これらは心配ありません。医療機関を受診した方がよいのは、平熱が41度以上、35度未満といった場合です。
 

検温や体温報告による入店・参加制限……平熱が高い人はどう対処すべきか

また、新型コロナウイルス感染症による新しい生活様式の中で、入店や参加などの際に検温や体温報告が必要な場面も増えてきました。平熱が平均よりも高めな方は、ちょっとした場面で困ることもあるかもしれません。

病気などはないのに平熱が高い方は、普段の体温をつけておき、平熱が高めであることを示せるようにしておくとよいかもしれません。家族や知人にも普段から熱が高めであることを伝えておき、必要な際には発熱ではないことを一緒に伝えてもらうといったことも、ちょっとした場面で役に立つかもしれません。

また、暑い場所にいた後や運動直後は一時的に体温上昇してしまうことがあるので、落ち着いてから10~15分後に測定するなどの工夫をするのもよいでしょう。
 

大切なのは日常の健康管理! 体温計の数字だけに振り回されないために

現在、日本人の大人の平均体温として考えられているものは、あくまで1957年の調査の統計における平均です。一部には高い人、低い人がいます。今後、環境の変化で気温が上昇することで、体温の平均も多少上がっていく可能性もあります。

また、子どもの体温は高めなので、元気であればわずかな体温の変化をあまり気にする必要はないと思います。

大切なのは、自分の通常の体温を正しく知っておくことです。そして、体温測定だけにとらわれず、規則正しい生活、適度な運動、十分な睡眠をすること。基本的な体調管理をそれぞれがしておくことが、体温計の数字ばかりを気にするよりも重要なのです。
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