お金の悩みを解決!マネープランクリニック/早期リタイア・セミリタイアしたい人のお金の悩み相談

51歳貯蓄1億円。13歳上の方と結婚しました。あと2年ほどでフルリタイアしたいのですが可能ですか?(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は50歳で結婚して、あと2年ほどでフルリタイアをしたいという自営業の女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 2年後を待たず、すぐにフルリタイアしても大丈夫

ご結婚、おめでとうございます。お互いに自立しながら支え合う関係、素敵ですね。現在は、それぞれの生活費は自分でまかなっているとのことですので、その前提で、ゆきさんの今後の金融資産がどう推移していくのか、見ていくことにしましょう。
 
結論から言えば、2年後のフルリタイアを待たずして、今すぐリタイアしても、今後、経済的に困ることはないでしょう。健康に不安があるということですから、体調次第で、いつまで働くかを考えてみてもいいでしょう。ここでは、ご相談文にあるとおりに、2年後にフルリタイアするとして計算してみます。
 
2年後の53歳時にフルリタイアすると、公的年金の受給が始まる65歳まで12年あります。この間、年間の収入は、家賃収入が12万円で年間144万円、年間支出が約200万円ですから、年間56万円が不足します。12年で約680万円を金融資産から取り崩すことになります。53歳時点での金融資産は、投資用不動産の評価額5000万円を除いた5700万円に、51歳から2年間での貯蓄840万円が加わり、6540万円です。ここから680万円を取り崩すことになっても、65歳時点で5860万円が残っていることになります。
 
もしも、今すぐにフルリタイアすると、2年分の不足額112万円と2年分の貯蓄がなくなりますが、それで、65歳時点で約4900万円残ります。65歳以降は公的年金、家賃収入があることから、65歳時点でこれだけの金融資産があれば、まったく問題ないのではないでしょうか。ご実家の建て替え費用の負担も問題ないでしょう。
 
ちなみに、フルリタイア後は、国民年金保険料を払い続けてもいいですし、現在までの加入歴に基づいた年金額でも問題ありません。フルリタイアのタイミングで保険料の支払いをやめてもいいでしょう。また、iDeCoについては、収入が減った場合、節税効果がなくなりますので、減額してもいいでしょう。つみたてNISAは継続できるようなら、このままで大丈夫です。
 

アドバイス2 不動産も含めて、ご自身の相続対策を

65歳からは、公的年金の10万円と家賃収入がおそらく22万円。月の収入が32万円ありますから、現在のようなコンパクトな生活をされている限り、毎月貯蓄もできることになります。
 
生活費で見直す点は、ありませんが、医療保険は不要といえば不要です。何かあっても医療費は貯蓄から十分まかなうことができるので、気持ちとして割り切ることができるなら、解約してもいいでしょう。ただ健康面の不安が続くようでしたら、無理に解約しなくても、このまま継続で大丈夫です。
 
また、不動産については、入居者が続く限り、このまま所有でいいでしょう。ただ、入居が途絶えるようなことが続けば、老後の収入に影響が出てきますので、契約状況を考えながら、売却のタイミングは考えてもいいいかもしれません。
 
金融資産についてもですが、ゆきさんに万一のことがあった場合、所有不動産をどうするかも、考えておいてほしいことです。順番からすれば、ゆきさんが一人になる可能性が高いわけですから、その時点で相続財産がたくさんあっても、相続する人がいなければ、国庫に没収となってしまいます。投資の割合も高いので、徐々に現金化していくこと、国内銀行に資金を移していくことも、必要かもしれません。
 

アドバイス3 ご主人との生活を大事に、有意義なお金の使い方を

そういう意味では、これまで堅実な生活を送られていたと思われますが、これからの生活は、ご主人との楽しみのために、使ってもいいのではないでしょうか。
 
毎月の温泉旅行、海外旅行にぜひお出かけください。ご主人の経済的なことがわかりませんが、少なくともゆきさんの65歳からの収入があれば、2人の生活費で困ることはないでしょう。それまでの間は、年間どれくらいなら旅行費用を出しても大丈夫か、予算組みしてみるといいでしょう。
 
仮に、毎月10万円を旅行など楽しみのために使うとして、年間120万円、65歳までに1440万円です。アドバイス1で試算したように65歳時点で5860万円ありますから、ここから差し引いても4420万円残っています。
 
このように予算組みして、65歳時点でいくら残れば安心か、その後の家賃収入は見込みどおりか、毎月の支出はどうなるかなど、予測を立てておけば、さらに安心でしょう。貯蓄から取り崩すことに不安を感じるのは、こうした想定をしないで、漠然とお金が出ていくことに不安を感じるからです。
 
ぜひ、ご主人も交えて、今後のお二人の生活や楽しみのことを、相談されてください。健康で楽しい日々を送れるよう、願っています。
 

相談者「ゆき」さんから寄せられた感想

深野先生、的確なアドバイスをありがとうございます。将来に対して漠然とした不安がいつもありましたが、深野先生から、リタイアしても大丈夫!というアドバイスを頂き、とても嬉しく、心強い気持ちでいっぱいです。不動産の相続についても、まだ先のことと思わず、この先遺言書を遺すなど、考えていこうと思います。老後の貯蓄の取り崩しに関しても、計画的に考えて、不安のない、人生設計を考えていこうと思います。今回はこのような機会を与えて下さり感謝しております! ありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/伊藤加奈子



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