子育て

校則がある理由とは? 理不尽ではと疑問を感じたら

校則がある理由とは? 理不尽、おかしいのではと疑問を感じたらどう向き合うべきなのでしょうか。スカートや靴下の長さ、髪型や下着の色など、学校生活に関わる様々な部分が「校則」として決められていることがあります。中には、時代に合わないようなものも見られます。

鈴木 邦明

執筆者:鈴木 邦明

子育て・教育ガイド

校則がある理由とは……本来あるべき姿って?

校則がある理由とは

この校則、おかしいと疑問を感じたら

文部科学省によると、校則とは「児童生徒が健全な学校生活を営み、より良く成長・発達していくため、各学校の責任と判断の下にそれぞれ定められる一定の決まり」とされています。

生徒の生活に関わる様々な部分について決められている校則は、学校によっても様々ですが、具体的には、
  • 外見・身だしなみに関して……スカートや靴下の長さ、髪型、下着の色など
  • プライベートに関して……異性との交際、放課後や休日の行動制限など
  • 所持品・趣味などに関して……携帯や音楽機器の所持、ゲームに取り組む時間など
といったようなものが見られます。

中学校や高等学校では、生徒手帳の中に校則が書かれています。小学校の場合は「校則」という呼び方はせず「学校の決まり」などの名称(学校によって呼び方が違う)で、4月に配られることが多いです。

校則の中には、時代に合わないと思うようなものも見られ、子どもがおかしいと疑問に思うことも出てくるでしょう。そんな時、校則とどう向き合ったらよいでしょう。校則の本来あるべき姿について考えていきたいと思います。
 

なぜ校則はあるのか?

現在のような校則が作られたことには、昭和の社会構造の影響が大きく関係しています。高度経済成長の時代では、効率良く、高品質のものを大量に作り上げることが求められました。そのため、個性などよりも「規律」が重視されました。今まで以上に他の人と調和が取れることが求められる時代であったからです。

学校教育にも、こういった面が強く影響を及ぼしていました。また、校内暴力なども今と比べると激しく、子どもを力で抑えるような指導が各地で行われていました。

このような状況における、学校の指導の拠り所になっていたものが「校則」です。教師としては、その都度、物事の是非を子ども達に説得するのは大変です。学校という組織として決めた、校則という形のものを作ることで、子どもを指導しやすくしたのです。そのため生活の細かな部分まで校則として規定されているようなケースがあるのが現状です。
 

茶髪はなぜ禁止? 校則に疑問を感じたら

小学校高学年から中学校、高校と成長する中で、子どもが校則に対して疑問を持つこともでてくるでしょう。様々な校則は、子どもの立場から見ると理不尽だと感じるものがあることも事実です。

ただ、多くの人が気持ち良く暮らすためのルールがまとめられているという側面もあります。

例えば、髪型(茶髪やパーマなど)や服装などについての校則は、何のためにあるのかというと、人の外見と内面の善しあしの関係、非行を防ぐ効果などについてははっきりした根拠はありません。

しかし、髪型などが華美になり過ぎると、盛り場などにおいて非合法な商売に関わる人に声を掛けられるなど、トラブルに巻き込まれる場合もあります。そのため、規則としてどこかで線引きする必要が出てくるのです。髪を染めることについては、どの色までは良く、どの色からは良くないということが示しにくいため、「髪を染める」こと自体を禁止としているということが現状でしょう。
子どもが校則に疑問を持った時は、物事の見方について学ぶ成長の機会にも

子どもが校則に疑問を持った時は、物事の見方について学ぶ成長の機会にも

子どもが校則に疑問をもった時、大人は成長の機会につながるような心掛けをしたいものです。校則への疑問は、子どもが物事を多面的に見ることができるチャンスでもあります。自分の立場のみならず、逆の立場、違った立場から物事を見るきっかけとなります。

校則がある存在意義については、一般的に次の4つが示されています。
  1. 集団の秩序を守る
  2. 危険を回避する
  3. 平等を守る
  4. 子どもの心の揺れを見つける
このようなことを踏まえて、子どもと一緒に色々なことを考えていくと良いでしょう。

例えば、「なぜ、そのような校則があるのだと思う?」という親の声掛けは、とても意味あるものです。子どもは自分の立場から、その正当性を強く主張することでしょう。ただそれは、児童・生徒の立場からの見解です。もし学校側、大人の側から見ることができれば、考え方も変わる可能性があります。

「多面的に物事を見る」ということは、校則の是非以外においても、子どもの成長に影響を与えます。他の人のアドバイスなどを受け入れやすくなりますし、選択肢を多く持つことにもつながります。将来、働き出した際、創造的な仕事をする上で必須な能力でもあります。
 

校則を自分たちでより良いものへ

様々な校則の中には、昔に作られ、今の時代には合わないものがあることも事実です。

中には、時代の変化とともに、子どもと一緒により良い形へと校則を変えていった学校もあります。例えば、高知県安芸郡奈半利町にある町立奈半利中学校では、20年以上も前から、校則の見直しに生徒が参加する取り組みが行われています。これまで長い時間をかけて、生徒からの要求で多くの校則が見直され、靴の色、コートやパーカーの着用などが自由とされています。この中学校では、校則を変えることに保護者も参画しています。生徒、保護者、教員の三者が一緒になって話し合いをし、より良いものを作り上げていっているのです。

校則について疑問に思うことがあれば、生徒会などが中心となって、校則を変えていく活動も、子どもにとって将来に大いに役立つことでしょう。
校則を自分たちでより良いものへ

校則を自分たちでより良いものへ

日本の社会においては、これまで「集団」というものがとても大事にされてきました。「仲間意識」という呼び方もできるものです。それには良い面もあるのですが、「出る杭は打たれる」のように悪い面があることも確かです。

現在は、子どもの権利条約によって、子どもの基本的人権を守ることが求められています。昔からある校則の中には、そういった点で改善が必要なものもあるでしょう。現代の社会状況に合わせ校則をより良いものに変えていく、ただ日本の社会の良さも失わないものにするバランス感覚を大人(教師や親など)が持っていくことが求められるのではないか、と私は考えます。

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