コロナ後に改めて考えるクルマの必要性
この数年、クルマを「所有せずに利用するサービス」としてカーシェアリングやレンタカーを利用する人が増えてきました。しかし新型コロナウィルスの流行により、他人との接触を防ぐことが日常となり、自家用車は必要ないと割り切っていても、公共交通機関の利用を避けるためにはやっぱり自分のクルマを持ちたいと考え始めた人もいるのではないでしょうか。クルマは密室空間で、感染リスクが高い場所でもあります。車内の樹脂やプラスチックに付着したウィルスは数日間、感染力を保つと言われていますので、カーシェアリングやレンタカー業界でも車内に消毒液を常備する対策が始まりました。ただ、それでも他人が使ったクルマを運転することに抵抗を感じるようになった人も多いはず。さらに、テレワークをしたいが、もはや自分のスペースは家の中にはなく、クルマの中だけが一人になれる唯一の空間だという人もいるかもしれません。
だから自分と家族だけが気兼ねなく利用できるクルマは欲しいものの、コロナ不況により家計を引き締めなければいけない昨今、クルマの維持費は最低限に抑えたいのも現実です。そこで改めて注目したいのが、クルマを月額一定の料金で利用するサブスクリプションサービスです。
クルマのサブスクリプションサービスのメリットとは?
【1】維持費の「見える化」クルマのサブスクリプションサービスの月額利用料金には以下が含まれます。
・車両本体価格
・自動車税
・車検/点検/メンテナンス費用
・自賠責保険料
利用者は他に駐車場代、ガソリン代のみを負担するイメージでクルマを利用できます。新車で購入した場合は、3年後にやってくる車検代の負担、毎年5月、GWにレジャー費用で圧迫された家計にさらに追い打ちをかけるようにやってくる自動車税など、不意打ち的に財布にダメージを与える維持費を抑えられます。
【2】他人との接触を避けられるオンライン契約
クルマが手元に来るまでの主な流れはこのようなステップです。
1. 車種などを検索・予約
2. 契約の審査
3. 必要書類の郵送
4. ディーラーで受け取り
新車を購入するときのように、試乗や見積もり書の作成、書類の提出、契約などでディーラーへ足を運ぶ必要がなく、販売スタッフとのやりとりも最低限で済みます。授乳やオムツ替えで忙しい赤ちゃんや、一瞬たりともじっとしていられない幼児を連れての来店をストレスに感じるファミリーも、ほぼ来店せずにクルマを契約できます。
【3】3年、5年、7年など契約期間を選択できる
サブスクリプションサービスの主な契約期間は3、5、7年間。契約期間の終了後は、クルマを返却するか、新しいクルマで再契約、もしくはそのクルマを買い取る、などの選択肢が用意されています。
期間限定の転勤で利用したい、免許返納を前提に「人生最後のクルマ」として利用したい、高齢の親に「運転の定年」を設定させるために、あえて利用期間を限定させたいなどのニーズにも対応できます。また、新型車が発売されると乗りたくなる、クルマを買っても数年で飽きてしまう人にもメリットがあるでしょう。周りには購入しているかサブスクを利用しているかは言わなければ分からないので「数年おきに新車を購入している」と思われたい人にもぴったりです。
逆に、サブスクリプションサービスに向かない人は、販売スタッフから詳しくクルマの説明を聞いたり質問したい人、何車種も試乗してから決めたい人、値引き交渉をしたい人、がっつり自分好みにカスタマイズをしたい人などです。クルマのサブスクでは内外装をカスタマイズするのは基本的には禁止されていることがほとんどだからです。
自動車メーカーのサブスクリプションサービスを比較
2020年6月現在、国産自動車メーカーで提供されているサブスクリプションサービスを比較してみます。●トヨタ自動車「KINTO」
【設定車種】
パッソ、ルーミー、タンク、ヤリス、アクア、カローラ、カローラツーリング、カムリ、RAIZE、C―HR、RAV4、ランドクルーザープラド、アルファード、ヴェルファイア、レクサスIS、レクサスRC、レクサスUX、レクサスLS
【RAV4をKINTOで契約した場合】
サブスク(月額×[t1] 使用年数)
3年契約:月額63800円 × 3年(36ヶ月)=¥2,296,800
5年契約:月額63800円 × 5年(60ヶ月)=¥3,828,000
7年契約:月額63800円 × 7年(84ヶ月)=¥5,359,200
(※ボーナス併用払いなし)
【新車で購入した場合】
車両本体価格 ¥3,195,500(車検代、諸費用、税金、保険料等は別途)
●日産自動車「クリックモビ」
【設定車種】
デイズ、ルークス、ノート、エクストレイル、セレナ、セレナe-Power
【セレナ ハイウェイスターVをクリックモビで契約した場合】
サブスク(月額×使用年数)
3年契約:月額62480円 × 3年(36ヶ月)=¥2,249,280
5年契約:月額54120円 × 5年(60ヶ月)=¥3,247,200
7年契約:月額49720円 × 7年(84ヶ月)=¥4,176,480
(※ボーナス併用払いなし)
【新車で購入した場合】
車両本体価格 ¥2,986,500(車検代、諸費用、税金、保険料等は別途)
●Honda「ホンダ マンスリーオーナー」
1ヶ月単位での利用OK! 季節限定スポーツや、夏と冬の数ヶ月だけ使いたい人にも! 中古車が対象のため、他社の新車サブスクサービスより価格は抑えめ。 ただし、利用拠点は埼玉県和光市「U―S elect城北」のみ(2020年5月現在)
【設定車種】
ホンダ車の中古在庫車から選択
【利用期間】
1ヶ月から最大11カ月
【2018年式フリードハイブリッドの一例】
サブスク(月額×使用月数)
11カ月契約:月額59800円 ×(11ヶ月)=¥657,800
(※ボーナス併用払いなし)
【中古車で購入した場合】
車両本体価格 ¥2,298,000(車検代、諸費用、税金、保険料等は別途)
※各サービスには事故や修理などが必要になった場合、利用者が負担する補償金が発生します。また、契約期間の途中で解約する場合にも、条件によって解約金が発生することがあります。
「愛車」として5年以上付き合うか、「移動ツール」と割り切って定額制を選ぶか?
「サブスクリプションサービス」と「新車での購入」をシミュレーションすると、新車には諸費用や税金、車検代などが加算されるとはいえ、単純計算すると5年前後で支払い総額が逆転します。何がなんでも元を取りたい、コスパの良さが優先!と考えるなら、新車で購入して10年以上、乗りつぶすまで使用する方が結局は一番コスパが良く、クルマへの愛着も必ずわいてきます。「愛車」として、トラブルがあって修理費や維持費が嵩んでも長く付き合う覚悟があるなら「購入」が賢い選択ですが、この先1年、もしくは3年だけのように、とりあえず新型コロナウィルスが落ち着くまでの期間だけクルマが欲しい人には、サブスクリプションサービスも一つの選択肢になるのではないでしょうか。
あなたにとってクルマは単なる「ツール(道具)」なのか、それとも共に人生を歩む「相棒」なのか、クルマの所有方法を選ぶ前に自分にまず問いかけてみるのも良いでしょう。
■参考リンク
トヨタ自動車「KINTO」(https://kinto-jp.com)
日産自動車「クリックモビ」(https://ws.nissan.co.jp)
Honda「ホンダ マンスリーオーナー」(https://www.honda.co.jp/monthlyowner/)