アフターコロナの世界と小学校プログラミング教育必修化の意外な関係、これから求められる子供の教育についてお伝えします。

コロナ禍でリモートでの学業の必要性が叫ばれている。「小学校プログラミング教育必修化」とリモート化にはどんな関係があるのだろうか
 

2020年は「小学校プログラミング教育必修化」スタートの年度です。新型コロナウイルス感染症の広がりによる全国的な休校措置がなければ、今ごろ教育現場からのさまざまな声が話題になっているはずでした。そして、そのプログラミング教育導入への声は、どちらかと言えば、否定的なものが多かったことでしょう。

しかし、新型コロナウイルスによって私たちを取り巻く状況は一変しました。そこで、「アフターコロナの世界」と「小学校プログラミング教育必修化」の意外な関係、さらにはこれから求められる子供の教育についてお伝えします。
 

新型コロナウイルスが変えた日本人のITリテラシー

新型コロナウイルス感染症が広がる前は、「リモートワーク」「Zoom会議」「オンライン飲み会」などの言葉はまだ一般的ではありませんでした。それが今や2020年の流行語大賞に選ばれる勢いで日本国民の間に浸透しています。

新型コロナウイルスは、世界的に見て進んでいるとは言えない日本人のITリテラシー(知識や経験)を一気に高めたと考えていいでしょう。ITを介在する事業への関心も高まりました。ITで完結できるビジネスと、対面を避けられないビジネスで、大きく明暗が分かれたからです。

教育の場も、大きく変化しました。教育業界はその他の業界に比べてIT化が遅れていました。しかし、全国的な休校期間中に、学習アプリの映像授業や国立科学博物館の「おうちで体験!かはくVR」など、多くのデジタルコンテンツが開発されて、無料提供されました。
(国立科学博物館「おうちで体験!かはくVR」)

そして、これまでデジタルの教育を、「アナログのやむを得ない代替」としか考えていなかった人たちも、デジタルコンテンツを積極的に使い始めています。これは、小学校プログラミング教育必修化が決定された当時、「プログラミングなんかよりも大事なことがあるはず」と主張していた教育関係者や子供の保護者の意識が変わるきっかけになりました。
 

小学校のプログラミング教育は「論理思考」を学ぶもの

ところで、そもそも小学校の「プログラミング教育」とはどんなものでしょうか。

文科省ではプログラミング教育の狙いを次のように説明しています。
 

【知識及び技能】身近な生活でコンピュータが活用されていることや、問題の解決には必要な手順があることに気付くこと。
【思考力、判断力、表現力等】発達の段階に即して、「プログラミング的思考」を育成すること。
【学びに向かう力、人間性等】発達の段階に即して、コンピュータの働きを、よりよい人生や社会づくりに生かそうとする態度を涵養すること。
(文部科学省『小学校プログラミング教育の手引(第三版)』/令和2年2月


これらの内容は「プログラミング的思考」という言葉に集約できます。「プログラミング的思考」とは、ひと言で言い表すと「論理思考」です。

プログラミングと聞くと、プログラマーが英数字や記号の羅列をパソコンに入力しているイメージがあるかもしれません。でも、小学校のプログラミング教育は、そのようなプログラミング技術を習得するのではなく、プログラミング的思考を学んで、他の教科、ひいては人生や社会に生かすことをめざしているのです。
 

各科目の横断的な出題に対応できる「プログラミング的思考」

「プログラミング的思考」、すなわち「論理思考」は、新しい言葉でなく、昔から教育の場で子供たちに促してきたものだと思われる方も多いことでしょう。その通りです。

国語や算数などの教科も、じつはすべて、論理思考を身につけるための「素材」に過ぎません。論理思考を学ぶ素材が日本語であれば「国語」、数字であれば「算数」、科学であれば「理科」、地理や歴史であれば「社会」という科目に分類されるだけで、根本は同じです。

登場人物の心情読解も、理科実験や社会現象の因果関係を理解するのも、論理思考が必要です。

さらに言えば、近年の入試において、各科目の横断的な出題が増えています。塾の講師であれば、国語の論説文に関数の話が出てきたり、英語長文の中に重力の話が出てきたりして、慌てて専門外の知識を仕入れるという経験があるはずです。

このように、科目横断的な問題を解くのにも、論理思考が必要であることはよく知られている事実です。そこで、簡単に言えば、「プログラミング的思考を学べばすべての科目に活きるよね!」という発想になるのです。
 

アフターコロナの令和時代に求められる「パラシュート勉強法」

従来の学校の勉強は、広く深く学ぶために、知識の「インプット」を積み上げました。ケアレスミスもしないように気をつけなければなりません。

つまり、「ミスをせずに『正解』を出す能力」を身につけることが目的でした。

ところが、プログラミング技術を習得するための勉強法は、その対極にあります。

システムをつくるために、とりあえずやってみる、エラーが出る、エラーを分析してやり直すという試行錯誤は、「アウトプット」の繰り返しです。プログラミング言語を暗記する必要はなく、必要なときにその都度ググります。また、システムエラーをどんどん出すことで、「このようにコードを書くとダメ」ということが分かり、次はどう書けばいいのかを学びます。

このように、目的をかなえるために必要なときに必要な情報だけを取り入れてアウトプットし、試行錯誤を繰り返す学び方を「パラシュート勉強法」と言います。

コロナ禍を期に、あらゆる物事がテクノロジーを中心に急速に変化・加速していくアフターコロナの世界で求められるのは、このプログラミング的思考や勉強法なのではないでしょうか。これは子供の教育に限った話ではなく、私たち大人も取り入れる必要があるのかもしれません。