Withコロナの夏休み、短い夏をどう過ごす?
子どもたちにとって大きな楽しみでもある夏休み。限られた時間でどう過ごすのがよいのでしょうか
(一斉休校に効果があったのかは日本ではまだ検証がなされていませんが、他国の学校閉鎖が有効だったかを検証する論文では、その結論は残念ながら芳しくありません。全世界で3月18日までに休校が行われたのは107カ国。報告された15論文のうち、休校による感染拡大の予防効果が示されていたのは英国で行われたモデル研究1本のみでした。その論文で示された死亡者減少効果も2~4%のみであったと報告されています(Lancet Child Adolesc Health 2020; 4: 397–404)。一斉休校は残念ながら他の予防対策に比べて効果に乏しいという結論になってしまいそうです。ただ、ウイルスの性質がわからない状況では考えられる予防対策を試すしかなかったので、この結論は今後の対策に活かしていくしかないでしょう。)
今回はこれから始まる夏休みを楽しむ上で注意したい点を解説します。
子どもの夏休み、海水浴や屋外プールも利用時は注意を
子どもの夏休みは、日常ではできない思い出を作ったり、外で力いっぱい遊ばせたりしたいと多くの方が思われると思います。しかし今年は夏休み期間が短くなる分、旅行やレジャーの計画が限られた日数の中で集中する可能性もあります。例年とは傾向の違う交通機関の混雑や人混みの発生もあると考え、混雑の予測情報などを事前に調べておきたいものです。また、夏らしい子どもの遊びは屋外で楽しむものが多いでしょう。夏の外遊びは子どもの体力づくりや健康のためにも有益ですので、海水浴や登山などの夏のレジャーを子どもと楽しみたいと思う方も多いと思いますが、今年は海水浴場の開放自体を見合わせたり、登山の自粛を要請している場所も少なくないようです。やはり例年通りの感覚ではなく、事前に調べることが大切ですし、例年通り受け入れている場所は、例年以上に混雑するリスクもあることは念頭に入れておくべきでしょう。
海や屋外プールなどは開放的で感染リスクが低いと思われやすいのですが、更衣室などの施設を利用する場合、それらの場所では感染リスクが高くなってしまうことも忘れてはいけません。
近くでちょっとした山登りなどを楽しむ場合でも、山道が狭い場合は人とすれ違う際の会話をできればさけること、他の場所同様、咳やくしゃみの際はマスクかハンカチなどで口を覆うといった配慮が大切です。できれば手すりなどもなるべく触らないようにしたいものです。汗を拭いたりと顔を触る場合にはしっかりと手洗いをし、携帯用アルコールで手指衛生ができるようにしておきましょう。
いずれの場所も、例年通りではない工夫や注意をしながら楽しむようにしましょう。
「うつさない、うつらない」を念頭に、場所と遊び方の工夫を
夏の外遊び中のマスク着用は快適とは言えません。感染リスクの少ない屋外で混雑していなければ、マスクを外して楽しんでもよいと思います。特に2歳未満の子どもにはマスクは推奨されていません。マスクなしでの外遊びがよいでしょう。一方で、夏を迎えても新型コロナウイルスが収束していない以上、自然の中のレジャーでも1m以内で人が密接するような状態では感染リスクが高くなってしまいます。場所を上手に選ぶことが大切です。また、新型コロナウイルス感染症は、子どもの場合は軽症または無症状であることが多いと言われており、子どもの感染の多くは、大人から子どもへの感染例が多いと考えられています。しかし子どもから子どもへの感染ももちろんゼロでありませんので、マスク、手洗い、うがい、手の消毒と言った基本的な予防は大切です。誰もが人にうつす可能性も、うつされる可能性もあります。この不安がある限り、日常生活や夏の過ごし方に例年にはない制限ができてしまうことは仕方がないと言えます。制限の中でもなるべくストレスを溜めずに済むよう、子どもを上手く遊ばせられる環境を探してみてください。