お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マネープランクリニック・ラジオ番組『2020年の家計防衛』

コロナで住宅ローン返済ができなくなった人はどうする?【2020年の家計防衛】

All About『マネープランクリニック』でアドバイスをするFP深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが、コロナの影響で住宅ローン返済が難しくなってしまった人の対策について解説します。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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本記事はAll Aboutマネーの連載『マネープランクリニック』の音声番組『2020年の家計防衛』で収録された、ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんの対談をテキストで起こした内容です。※音声で聴きたい方はこちらから

All About『マネープランクリニック』でアドバイスをするFP深野康彦さんとマネーライターの清水京武さんが、コロナの影響で住宅ローン返済が難しくなってしまった人の対策について解説します(収録は2020年4月)。

 

住宅ローンは払うのが厳しくなったら、返済プランの変更を金融機関に相談すること

深野康彦さん: 皆さんこんにちは。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦です。

清水京武さん:こんにちは。マネーライターの清水です。今回もコロナウイルスの影響で遠隔による収録になっています。若干聞きづらい点もあると思いますが、ご了承お願いします。今回は住宅ローンがテーマです。収入が下がったりボーナスがなくなったり減額になったりして住宅ローンが返せなくなる、家計負担になるというケースがかなり考えられます。

深野さん: 実は、もう出ていると言ってもおかしくないですね。国が1人当たり一律10万円の給付金を支給することが決定されました。もちろんこれも有り難いですが、これだけで収入減を補うというのは難しいですよね。やはり住宅ローンをどう返済していくかは考えなくてはいけません。住宅ローンは払うのが厳しくなったら、返済プランの変更を金融機関に相談していただきたいです。その場合のポイントは、例えば今月の支払いができなかったとなる前、できればきちんと一度も遅れなく返済している間に事情を話したほうが、心証が良くなります。

必ずしもそうだとは言い切れませんが、やはり銀行としても延滞が発生してから来られるよりも、事前に来てくれたほうが有り難いわけです。 この先の収入見通しを数カ月分見て、危ないなと思った時には思い立ったが吉日で金融機関に相談に行ってください。

実はこれ、リーマンショック時にもあったんです。それと同じことが約12年たってまたやってきた感じですね。返済プランの変更とは簡単に言うと、返済期間を長くして毎月の返済額を少なくするということです。 例えば全期間固定の住宅ローンである「フラット35」というものがあります。大多数の金融機関が扱っている、昔の住宅金融公庫に代わる住宅金融支援機構が提供している35年間固定のものですね。

この場合、実は最長15年間返済を延長することができるんです。 住宅ローンの場合は返済額に借入金元本と利息部分がありますよね。さらに失業者等の場合は、その元本部分の返済を最長3年間据え置くことができます。つまりその3年間は、利息だけを返していけばよいという特例なんです。返済期間を延長した場合当然毎月の返済額が少なくなるので、家計の収支はキャッシュフローで非常に楽になりますよね。 ただし延長した期間にも利息はかかってしまいます。ですから、当然完済した際の総返済額は増えてしまうという点は注意してください。

清水さん:返済期間が長くなればそれだけ支払う期間が長いわけですから、当然その支払い利息は増えていくということを頭に入れておく必要があるのですね。
 

どうしたら返済が続けられるかを考えて手続きを

深野さん: 例えば住宅ローンをボーナス併用払いにしているとか、返済プランでは元金均等返済にしているということがあると思います。ボーナス併用払いの人はボーナスの割合を減らしたり、毎月払いのみにしたりとか。元金均等返済の人は毎月の返済額は少なめになりますよね。そういう変更なども相談して、金融機関から審査が下りれば可能です。 とにかく延滞が始まる前の余裕なうちに金融機関に出向いて、事情を話した上で担当の人と相談して、どうしたら返済が続けられるかを考えて手続きしていただきたいです。

清水さん:返済プランの変更は一つの方法として有効だということですが、場合によっては変更することでコストがかかることも考えられると思いますが……。

深野さん: 確かに銀行でこういう返済プランの変更をする場合は手数料が発生するのですが、実は一部の銀行での条件変更では、手数料無料にしているんです。手数料がかかったとしても非常に高いコストではないので、払ってでも条件変更したほうが有利になるケースがあるわけです。ここで言う「有利」とは、キャッシュフローが楽になるということですね。返済が厳しいのであれば、手数料の有無に関わらずやったほうがいいと思いますよ。

清水さん:先ほどフラット35で全期間固定というのが大きな特徴という話がありました。金利だけを見ると、変動金利に比べて1%程高いですよね。変動金利に変えたほうが安くなるのでは?という発想も出てくると思うのですが、そのあたりはどうなのでしょうか?

深野さん :この場合銀行のスタンスですが、実は今の住宅ローン金利というものは二重金利と言ってもおかしくありません。変動金利なら、今だと約2.475%の金利です。これは店頭表示ですが、実際の融資の際の金利は、例えばそれぞれの家計の収支状況によって変わります。

例えば、店頭表示から金利を1.5%引いてあげようとか、実際は条件を満たすことによって、金利は店頭表示からディスカウントされるんです。その意味では、確かにフラット35全期間固定の金利よりは低いです。 ただし今回の条件変更の場合は、好条件が出る可能性は低いかなと思います。

「返済が滞りそうなので……」ということで、プラスよりもマイナスの要素ですよね。好条件のものが出てくるのであれば変動金利という選択肢はあり得るかもしれませんが、それが出てこないのならあえて変動にする必要はない気がします。 あともう一つ、今言った店頭表示から割り引かれている部分に関してですが、きちんと返済が行われていることが前提でその後も割り引かれるわけです。例えば途中で収入が大幅に減少して返せなくなってしまったということになると、場合によっては好条件が剥奪される可能性もあります。

そうするとむしろ今の借入れ金利より高い金利になってしまう可能性もあるんです。特に新型コロナウイルスという想定外のリスクに、我々は見舞われているわけです。仮に変動金利で低くなったとしても、もし今後途中で払えなくなるということが起きて、好条件の一種である特約がなくなるリスクを考えると、私は変動金利に変えることはやめたほうがいいと思います。

清水さん:ともあれ住宅ローンに関しては、まず早めの行動が非常に大切だということをおっしゃっていますよね。支払いを滞納することがないように、その前に金融機関に相談することが大きなポイントだと、心に留めておきたいですね。

深野さん: 例えば今回つつがなく返せる人もいますよね。知識として知っておいていただきたいのですが、この先また金利が低くなって住宅ローンを借り換えることがありますよね。その時もやはり滞納がないということが条件になります。滞納してしまうと好条件を引き出すことが難しくなるので、そうならないように注意していただきたいです。

清水さん:借り換えも含めて、滞納は非常にマイナス要素になるということなのですね。厳しいと思った方は、ぜひ早めに行動していただければと思います。先生、今回もありがとうございました!

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