お金の悩みを解決!マネープランクリニック/マイホーム購入・住宅ローンで悩むファミリー世帯

33歳会社員。新築戸建てで4000万円の住宅ローン、第1子も誕生します(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、もうすぐ第1子が生まれる33歳の会社員男性。今年、4000万円を借り入れて住宅購入、加えて第1子も誕生予定で、資金的に不安になってきたとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 第1子については資金的に問題なし

お子さん出産以降の家計ですが、奥様は安定した企業の会社員ということで産休~育休後に職場復帰をされると思いますので、それを踏まえて試算をしてみます。
 
まず現在の貯蓄ペースですが、収支の差額で8万6000円の黒字。ボーナスからは奥様の支給分の使い途が不明とのことですが、夫婦で計80万円は貯蓄できるとします。これで年間183万円。まずこれがベースとなります。
 
ただここでは、便宜上、現時点で産休に入るとし、育休までを2年間とします。その間、奥様の減収を3分の2(出産手当金、育児休業手当金)とすると月収は手取りで13万2000円。この間、生活費が変わらなければ、毎月の貯蓄は2万円ほど。また、この間の奥様のボーナスは復帰日等によって支給額が異なってきますが、ここでは考慮せず、ご主人の支給額から40万円貯蓄するとします。結果、2年間で貯蓄額は128万円。また、出産費用は出産一時金、ボーナス等でカバーできるとします。
 
職場復帰後、時短勤務等があるかもしれませんが、現状と同程度の収入を得られるとすると、年間183万円の貯蓄ペースに戻ります。このとき、ご主人35歳ですから、60歳までの25年間で4575万円。ここに、産休~育休の2年間での128万円を、さらに今ある貯蓄も加えれば、およそ4800万円。児童手当の総額が約200万円ですから、計5000万円となります。
 
ここから新たな支出を差し引きます。まず、子育て費用ですが、教育費は進路によってかかるコストは大きく変わります。一般的に、高校まで公立、大学を私立とすれば1000万~1100万円(習い事、学習塾等の学校外教育費含む)。その他の、いわゆる子育て費用にも家庭によって幅がありますが、やや多めに見てトータル2000万円とします。
 
他に大きな支出として想定されるのがクルマの買い替え。60歳までに2、3回、予算を300万円とします。他に自宅の修繕費用(外壁、屋根の再塗装など)がありますが、これは住宅ローン控除による還付金をしっかり貯めることでカバーできるとすれば、60歳で手元に残るのは2100万~2400万円ほど。さらに、奥様にはまとまった額の退職金が出るようですね。したがって、老後も含め、資金的にはほぼ問題ないと考えられます。
 

アドバイス2 60歳以降も働くことでリスク軽減をしよう

第2子希望とありますが、その場合はどうでしょう。

奥様の産休~育休期間が2年増えます。収入等の条件を同じとすれば、貯蓄の総額で238万円少なくなりますが、児童手当を受給しますので、結局収入の部分ではほぼ変わらずといったところです。
 
一方、支出ですが、子育て費用がほぼ同額なら2000万円差し引きますから、結果的に老後資金は100万~400万円+退職金となります。これで足りるかどうかについては、退職金の支給額次第とも言えますが、ここには昇給による上積みは考慮していません。子育て費用も、実際はもっと抑えられる可能性もあります。それでも、「足りなくなるリスク」は第1子と異なり、少なからずあるでしょう。
 
そのリスクを軽減する方法は2つ。1つは夫婦ともより長く働くということ。65歳まではどういう形であれ、収入を得ていく。住宅ローンの完済がご主人68歳のとき。毎月10万8000円は60歳以降、かなりの負担となるはずです。その点でも、継続して働くことを今から意識しておきましょう。
 
その住宅ローンですが、できれば早めに繰上返済したいところ。しかし、現預金が少ないこと、教育資金の用意もこれからという点で、当面は貯蓄優先とすべき。教育資金にメドがついてから、もしくは退職金で繰上返済してもいいのでは。60歳の時点でローン残高は約1000万円。退職金の金額によっては、ここで一括返済してもいいでしょう。
 

アドバイス3 世帯収入はひとつにまとめることが大切

もう1つのリスク軽減法は、貯蓄ペースのアップ、すなわち家計の見直しです。しっかり貯蓄できる家計ではありますが、通信費、家族の小遣い、雑費など、まだ見直し余地がありそうです。
 
また、40代になってからは貯蓄の一部でiDeCoを始めてもいいと思います。住宅ローンの名義がご主人で、まだ住宅ローン控除の適用期間が残っていれば、iDeCoは奥様名義に。掛金が全額所得控除の対象になるので、効率的に節税ができます。
 
保険については、奥様の共済の死亡保障額が不明ですが、少なくともご主人は不足しています。基本的に、お子さん1人であれば死亡保障1000万円は夫婦とも確保したい。お子さん2人なら倍の2000万円ずつ。保険期間20年の定期保険が同等の収入保障保険(月10万円、保険金間55歳まで)がいいでしょう。
 
それと、「夫婦の財布をまとめる予定」とのことですが、これはぜひ実践してください。大きなライフイベントがまだいろいろいと控えています。そのためのマネープランをしっかりと組み立てるには、世帯の家計状況を把握することが大前提となるからです。 
 
最後に、大変な時期ではありますが、健康には十分に留意して無事出産されるよう願っています。
 

相談者「桃太郎」さんから寄せられた感想

今回はアドバイスありがとうございました。財布は先日からひとつにしました。大丈夫そうで安心しましたが、油断、贅沢しすぎないように注意し、なるべく貯蓄に回せるようにしようと思います。保険に関しては無知であまりわからないので、保険の担当の方に相談し追加・変更しようと思います。iDeCoも調べてみます。とても参考になったので知人にも勧めたいと思います。本当にありがとうございました。

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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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