どうやったら家計の立て直しができますか?

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、第2子の出産を控えて、貯蓄がないことに悩む32歳の主婦の方。住宅ローンに加え、親への借金返済もあり、将来のマネープランが見通せないとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。※マネープランクリニックに相談したい方はコチラのリンクからご応募ください(相談は無料です)

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親への借金もあり悩みます

親への借金もあり悩みます(写真はイメージです)


■相談者
すたみなさん(仮名)
女性/専業主婦/32歳
神奈川県/持ち家・一戸建て
 
■家族構成
夫(会社員/36歳)、子ども(2歳)
 
■相談内容
第2子が生まれるのに、貯蓄がゼロ。親への借金もあります。教育費もそうですが、貯蓄ができたとしても、借金の返済と住宅ローン支払い(繰上返済)、家のリフォーム資金等。どれを優先していけばよいのか、それ以前にまず貯蓄ができるのか。主人は今の会社をやめて独立したいようですが、将来が不安すぎて仕方ありません。どうやって家計を立て直せばよいか、ご教示いただけますと幸いです。
 
■家計収支データ
相談者「すたみな」さんの家計収支データ

相談者「すたみな」さんの家計収支データ



■家計収支データ補足
(1)住宅ローンの内容
購入年/2018年
借入額/2990万円
返済期間/35年
金利タイプ/変動、0.695%
 
(2)加入保険の保障内容
[夫]
・先進医療保険=毎月の保険料3299円
・変額終身保険(10年・2025年払込終了、死亡保障200万円)=毎月の保険料1万円
・変額有期保険(88歳まで払込、死亡保障230万円)=毎月の保険料3022円※老後資金用
・変額年金保険=保険料一括払済(100万円)

[妻]
・先進医療保険=毎月の保険料1600円
・変額終身保険(10年・2025年払込終了、死亡保障200万円)=毎月の保険料1万円
・変額有期保険(88歳まで払込、死亡保障230万円)=毎月の保険料3060円※老後資金用
・養老保険(36歳満期、満期金100万円、死亡保障500万円)=毎月の保険料7600円※満期がきたら両親への返済に充てる
 
(3)雑費の内訳
・こども費1万円  ・衣料費5000円   ・日用品1万5000円  
・交際費5000円  ・美容費1万円    ・医療費3000円  
・交通費2万円   ・特別支出3万円 ・予備費1万円  
・親への返済 1万4000円 ・住民税積立 1万5000円など。
交通費はうち1万7000円が夫の通勤費用。住民税は給与から天引きされていないため。特別支出は帰省費用の積立が目的。予備費は生活費がかかった月の補填目的。ともに余った分は貯蓄。
 
(4)親への借金
残高560万円
 
(5)収支の差額
貯蓄には回っていない。今までは、たまにちょっと良い衣服を購入したり、国内旅行に行っていたので、そのお金に消えていったと思われます。
 
(6)妻の働き方について
後々働くことは考えているが、具体的な時期は未定。健康面に不安もあり、働いたとしても扶養内でパート等の短時間勤務で正社員は考えていない。
 
(7)子どもの進路について
高校、大学は私立に通う可能性あり。
 
(8)定年と退職金について
定年、退職金ともになし。
 
(9)コロナウイルスの影響
給与は基本給(40万円)+歩合制です。コロナの仕事への影響で今後の給与は少なくなります。コロナが収束するまでは影響はありそうです。
 
■FP深野康彦の3つのアドバイス
アドバイス1 2年間を貯蓄のための「強化期間」とする
アドバイス2 親御さんの返済はしばらく待ってもらう
アドバイス3 住宅ローン完済のためには65歳以降も働く
 

アドバイス1 2年間を貯蓄のための「強化期間」とする

現状としての課題は、いかに貯蓄を増やしていくか。児童手当も含めた月2万円を貯蓄に回していますが、これは教育資金となりますから、原則、それ以外の目的では手を付けない貯蓄となります。つまり、すたみなさんも言われているとおり、余裕資金は実質ゼロとなりますので、ここを一刻も早く改善したいところです。
 
では、どうやって家計を立て直せば、貯蓄ペースが上がるでしょうか。第2子出産を控え、しばらくは世帯収入のアップは望めませんので、生活費を抑えていくしかありません。しかも、かなり本気で取り組んでほしいと思います。本気とは、我慢を強いることです。しかし、まずは2年間。この間を強化期間として、家族で協力しながら頑張ってみてください。
 
では、具体的にどう家計を見直すか。

まず、毎月の生活費で手を付けるとすれば「雑費」となります。「月14万円」を計上されていて、ご主人にボーナスがないことを考慮すれば、「予備費」「特別支出」といった費目を作り、臨時の出費等に対処することは賢明だと思います。ただ、それが余れば、貯蓄に回すことになるでしょうが、実際の貯蓄はお子さん用に貯めている分だけですから、毎月14万円の雑費は結果的にすべて支出に回っていることになります。
 
雑費のうち、住民税の積立分や通勤費、医療費等は削れないでしょうが、それ以外は優先順位の低いものから、意識的にコストを下げていくしかありません。例えば14万円を10万円以内に収めると決めて、その予算内でやりくりする。地道な作業ですが、何に使ったのかを細かく検証し、必要性の低いものは支出しないということを繰り返し行う必要があります。

手元に資金が余れば「たまにちょっと良い衣服を購入したり国内旅行に行っていた」と、すたみなさん自身が気付いている支出もあります。その点で、節約がしやすい部分もあるはずです。
 
他の支出では、通信費の契約の変更などでもっと下げることができるのでは。食費も外食費に1万5000円が発生していますが、ここもある程度カットできるかもしれません。加えて、必要性はあるでしょうが、帰省も2年間なら削減の対象にしてもいいと思います。
 

アドバイス2 親御さんの返済はしばらく待ってもらう

あわせて、可能なら親御さんへの返済も待ってもらう。残高がまだ560万円もありますから頼みづらいかもしれませんが、少なくとも、すたみなさんが働き始めるまでは毎月の返済はストップする。4年後に満期となる養老保険の満期金もその返済に充てるとのことですから、親御さんも納得されるのではないでしょうか。
 
次に保険の見直しですが、手を付けたいのはやはり、ご夫婦で加入されている変額終身保険。老後に向けた資産づくりはもちろん大事です。そのために運用は効果的であることも事実ですし、そういった発想も持つべきだと考えます。しかし、それにより現状、貯蓄ができないのであれば、本末転倒と言わざるを得ません。解約せず、払済保険にすれば、それ以降の保険料の支払いはなくなり、これまで支払った保険料分は活かされます。変額有期保険も同様に払済保険にすることをおススメします。この先、家計に余裕ができれば、節税効果もあるiDeCoを利用して、運用による老後資金づくりを始めればいいでしょう。
 
一方、ご主人の死亡保障は不足気味となります。持ち家ですが、0歳と2歳のお子さんがいる状況では、少なくとも2000万円は新たに確保したいところ。保険期間の20年の定期保険か、保険期間55歳まで月10万円の収入保障保険のどちらか。前者であれば月の保険料は4000円ほど、後者であれば2000円台前半です。
 

 アドバイス3 住宅ローン完済のためには65歳以降も働く

こういった支出削減を実践していけば、毎月少なくとも10万円、その気になれば13万~14万円の家計黒字も無理ではないと思います。逆に言えば、それだけ貯蓄できる余力が今の家計にはあるということ。仮に14万円なら年間168万円、強化期間とした2年間で336万円。第2子の児童手当分を除いても、新たにこれだけ貯蓄ができるのです。
 
3年目以降は、貯蓄体質が身に付いていますから、帰省を再開されても、月10万円前後の黒字は十分可能。その貯蓄ペースを維持すれば、ご主人39歳から60歳までの21年間で、2520万円。
加えて、下のお子さんが6歳になってから、すたみなさんがパートで働くとします。月8万円とすれば、それだけで年間96万円。そこから、親御さんの返済再開分を差し引いて、約80万円。これを60歳まで22年間継続すると1760万円。さらに、下のお子さんの児童手当が総額で約200万円。これに先の2年間で作った貯蓄と、今ある貯蓄を合算すれば、合計でおよそ4900万円となります。
 
お子さん2人の教育費ですが、ともに高校、大学を私立とすれば、今の水準でかかる費用は1100万~1200万円。これに教育費以外の子育て費用も加算して、2人で3500万円程度すれば、それでもまだ1400万円余ります。まとまった支出としては、あとはクルマの買い替えでしょうか。60歳まで3回するとして、予算500万円とすると、60歳のときに手元には900万円(他に、払済保険にした変額保険の解約返戻金)が残ります。
 
もちろん、これはあくまで試算に過ぎません。残る資金はもっと少ない(例えば住宅の修繕費用の発生など)かもしれませんし、もっと増えているかもしれません。ともあれ、意識を持って家計管理をしていけば、お子さん2人の教育資金を十分用意できることは確かです。
 
ただ、先の試算どおりだと、老後資金については、途中、運用で増やしとしても、不足することは考えられます。とくに住宅ローンの支払いがご主人69歳まで続くことが、大きな家計負担となるでしょう。対策としては、より長く働いて収入を得ること。65歳以降も働く意識が必要です。
 
加えて、教育資金の準備にメドが立てば、少額でもいいので、無理のない範囲で繰上返済をして、少しでも返済期間を短縮していくことが有効となります。
 
ご主人の独立については、そうすべきかどうかはわかりません。ただ、まとまった独立資金が必要なら、それを自己資金でまかなうだけの余裕は、今はありません。借り入れについても、すでに住宅ローンという数千万円の負債を背負っているのですから、これ以上増やすことは、相当なリスクだと考えてください。
 

相談者「すたみな」さんから寄せられた感想

このままでは不安だと思っていましたが、先生のアドバイスを拝見し、危機感を持つことができました。家計の立て直しについて具体的なアドバイスをいただけたのでまずは2年間の強化期間、早速取り組んでいきます。主人とも保険の見直しや独立について再度話し合おうと思います。いただいたアドバイス通りに実行しても老後資金が不足する可能性が高いので、私も扶養内でと言わず、正社員で働くことも視野に入れていきます。本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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