31歳からの恋愛相談室・特別企画「あの著者と、恋愛のはなし」:アルテイシアさんにインタビュー
31歳からの恋愛相談室・特別企画「あの著者と、恋愛のはなし」:アルテイシアさんにインタビュー
それでも、女性ならではの生きにくさに屈することなく、自分らしく人生を満喫するためにはどうしたらいいか、『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』の著者であるアルテイシアさんに伺いました。
■アルテイシア・プロフィール
『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』書影
twitter:@artesia59
女は他人と理解・共感しあい、深くつながれるのが強み
女は他人と理解・共感しあい、深くつながれるのが強み
「ジェンダー・ギャップ指数」121位は伊達じゃない!ここはまさにヘル(地獄)ジャパン!!と日々実感しますね。セクハラや性差別など、モヤることが本当に多くて。
それでも女同士でおしゃべりしていると、女に生まれて良かった~~~と、しみじみ思います。
―――たとえここがヘルジャパンでも、女に生まれて良かった!と思えるのですね。意外に思われる方も多いと思うのですが、それはなぜでしょうか。
女性はおしゃべりでストレス発散できるのが強みですよね。悩みや弱音を打ち明け、「わかるよ」「つらいよね」と共感しあうことは、ものすごく癒しの効果がある。
女子会をやると8時間くらいしゃべり続けて、翌日は喉がガサガサになるけど、天龍源一郎ボイスで「女に生まれて良かった!!」と寿いでます(笑)。
男性は、その点が難しいですよね。本音をさらけ出して、語り合うことが苦手な人が多い。
一般的に、男性は「知識」は語れても、「感情」を言葉にするのは苦手なのだろうなと感じます。男なら弱音を吐くな、ライバルを蹴落とせ!的な、ジェンダーロールの抑圧が強くあるんでしょうね。
だから私はもし「男性になれるけど、どうする?」と言われても、「だが断る!」と即答します(笑)。
ヘルジャパンで生きづらくても、仲間がいて、本音をさらけ出して共感し合えるほうがいい。なにより、女同士のおしゃべりは最高に楽しいから。
いくつになっても、どんな環境でも、女友達は作れる
いくつになっても、どんな環境でも、女友達は作れる
私も20代は「私って友達がいないな」と悩んだりしました。でも40代の今は、友達に恵まれているな、ありがたいなと思ってます。
今そうなれた理由は、一緒にいて楽しい人、居心地のいい人と仲良くして、そうじゃない人とは距離を置くようにしてきたから。
「友達は季節に咲く花のようなもの」、これは作家・深沢七郎氏の言葉なのですが、友達は距離が近づくこともあれば疎遠になってしまうこともある。時とともに考え方や価値観は変わっていくから。それで結局、そのときどきの自分に合う人が残るんですよね。
疎遠になる友達がでるのは寂しいけど、仕方のないこと。また縁が復活することもあるし、なるべく固執しないようにしています。
ちなみに、友達作りの一番のコツは「自分から誘うこと」ですね。
―――それはけっこう、難易度が高いかもしれません……!
断られたらどうしよう、迷惑がられたらどうしよう、とか考えてしまいますよね。
私はLINEやFacebookでグループを作って、そこにメッセージを投稿しています。特定の一人にメッセージを送るより、複数宛てのほうがハードルが低いですよね。「◯月◯日、女子会しませんか?」と呼びかけると、1人や2人ぐらいは来てくれるので(笑)。
私は「バレンタインにチョコレートを交換する会」とか「クリスマスに讃美歌を歌う会」とか企画してます。
キリスト教の女子校出身なので、同級生たちと讃美歌を歌うんだけど、みんな唇が裂けないようにリップを塗りまくってる(笑)。それでキリストの誕生を祝う歌を合唱しながら、酸欠で息も絶え絶えになってます。
そんなふうに恒例行事を作ってしまうと、自然に集まりやすくなると思います。
友達が多い人というと、魅力的な人とか、面白い人とか思われがちだけど、実際は「自分から誘う人」なんですよ。というのも、日本人は「誘われ待ち」の人が多いから。
私も9割は自分から誘っていて、「たまには誘ってよ!」と思うけど(笑)。友達を作りたい人は「自分から誘うぞ!」と割り切りましょう。それでどんどん誘ってるうちに、誘うことにも慣れていきますから。
特別なきっかけがなくても、ちょっとした知り合いレベルだったとしても、さくっと気軽に誘えばいいと思う。その方が相手も気軽にOKしやすいし。
20年の付き合いの女友達がいるんですが、彼女はもともと「20代のころに付き合ってた元彼の男友達の彼女」だったんですよ。みんなで飲んだときに「好きだな、また会いたいな」と感じて、連絡先を聞いて2人で会うようになって、気づいたら20年たっていた。
お互い、当時の元彼は生きてるか死んでるかもわからないけど(笑)、彼女とはいまだにずっと仲良しです。
他にも、美容室で担当してくれた女の子が「私、大衆演劇が好きなんです!」と熱く語っていたから「私も興味ある、もしよかったら連れてって」とナンパして。彼女も推しの劇団を布教したいから、大喜びで連れてってくれました(笑)。それ以来、たまにご飯を食べにいく関係です。
―――女性のナンパ、けっこうなさっているんですね(笑)。
相手が男性だと「俺のこと狙ってる……?」とか誤解されたら、面倒くさいじゃないですか(笑)。女同士だと、そういう点も気楽に声をかけやすいと思います。
私の友達の定義は「自分が相手を好きで、会いたいかどうか」なんですよ。付き合いの長さや会う頻度は関係ない。たとえ数年に一度しか会わなくても、自分が「好きだな、会いたいな」と思う人は友達、というふうに思ってます。
「価値観」ベースでつながった友情は強い!
「価値観」ベースでつながった友情は強い!
周りの人と無理に仲良くする必要はないと思います。学校や会社のように、たまたま同じ場所にいることから始まるつながりは、いろんな価値観の人がごちゃ混ぜで、合わない人がいるのも当然ですから。
それよりも、オンラインでの友達作りがおすすめです。オンラインなら価値観ベースでつながれるから、マッチしやすいですよね。
ツイッターなどのSNSなら、同じ趣味や興味を持つ人を探せるし、その人のツイートを読んでいけば価値観や考え方もわかるし。
それで「合いそうだな」と思ったら、リプやDMを送ってみればいいと思う。オンラインなら、人見知りでも話しやすいですよね。会社のように利害関係もないし、むしろ本音を話しやすい、という声をよく聞きます。
―――オンラインで友達ができれば、心強いですね。
私もそうだし、周りの女子もツイッターで友達を作ってる子が多いですよ。同じ作品を好きとか、フェミニズムに興味があるとか、それでつながってリアルでも会うようになったりとか。
私が主催しているオンラインサロン「アルテイシアの大人の女子校」も、メンバー同士すごく仲が良いんですよ。
私の本やコラムを読んで好きになってくれた人たちなので、価値観マッチングしやすいんでしょうね。「ここなら安心して毒親やフェミニズムの話もできるし、恋愛経験がないこともオープンに話せる」という声が寄せられます。
―――友達がいたらいたで、どうしても自分と比べてモヤモヤしてしまう、なんてこともあると思います。アルテイシアさんは、そういったご経験はありませんか?
もちろん、ありましたよ!自分が売れてないとき、売れてるエッセイストに対して、ねたみ、ひがみ、そねみ、うらみ、でガールズバンドを組める状態だった(笑)。
がんばっても欲しいものが手に入らないとき、他人を羨んでしまうのは、自然な感情ですよね。
「友達と比べて嫉妬してしまう、そんな自分は性格が悪いと落ち込む」という女子は多いけど、それは性格が悪いんじゃなく、今がつらい状況だから。状況が変われば、感じ方も変わります。
だから自分を責めずに、自分にとっての幸せは何だろう?どうやったら満たされるだろう?と考えたほうが、ラクになれる気がします。
―――自分にとっての幸せを見つけるのも、なかなか難しい作業かと思われます。
そういうときは、「MUST(~しなきゃ)」と「WANT(~したい)」を整理するといいです。そこがごっちゃになってる人は多いですよね。
たとえば「結婚したいけど、婚活がうまくいかなくて悩んでる」という女子にカウンセリングすると「そうか!私は『結婚しなきゃ』を『結婚したい』と勘違いしてたんだ」と気づいたりする。「私、本当は男性と一生暮らしたいわけじゃない。親や周りに言われて、そう思い込んでただけなんだ」とわかってスッキリしたりとか。
MUSTの声が大きくなると、WANTの声が聞こえなくなる。なので自分の心と向き合って、整理してほしいなと思います。
そのためのコツは、「今2兆円あったらどうするか?」を考えてみること。
たとえば私は広告会社を辞める前、ものすごく悩んだんですよ。学生時代から入りたかった会社だし、仕事自体は嫌いじゃないし……って。でも2兆円あったら、秒で辞めてた(笑)。つまり「辞めたい」がWANTであり、本音だったんですよね。ちなみに今の物書きの仕事は、2兆円あっても続けたいです。
―――ヘルジャパンを生きる女性のライフハックが見えてきた気がします。『離婚しそうな私が結婚を続けている理由』にも、役立つライフハックがたくさん載っていますよね。
毒親の送り方コラム、子宮全摘コラム、借金騒動コラムにも「具体的なマニュアルとして使える」との声をいただきました。少しでも、皆さんの人生のお役に立てると嬉しいです!
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『離婚しそうな私が結婚を続けている29の理由』
オタク格闘家と友情結婚した後も、母の変死、父の自殺、弟の失踪、借金騒動、子宮摘出と波乱だらけ。でも変人だけどタフで優しい夫のおかげで、毒親の呪いから脱出。楽しく生きられるようになった著者による、不謹慎だけど大爆笑の人生賛歌エッセイ。
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