毎日家に家族がいる……家族との時間がストレスに?
家族みんなが毎日家に……お互いストレスが溜まっていないでしょうか?
こうしたなか、お互いにイライラが募り、険悪ムードになってしまう家族もあるでしょう。逆に子どもが「昼間のパパ/ママ」の働きぶりを垣間見て親を見直したり、だんらんが増えてコミュニケーションが進む家族もあるかもしれません。今回は、非常時に試される「家族力」についてお話ししたいと思います。
一緒の時間が増えてストレス増? 家族のイライラの原因は
大事な家族でも、普段は自然と、適度な距離を保っているものです。それが突然、一つ屋根の下で連日過ごすことになると、お互いの嫌なところが目につきやすくなり、どうしてもイライラした気持ちが涌いてしまいます。家族それぞれが抱えやすいストレスの例を挙げてみましょう。■妻→夫への在宅ストレス
- 在宅ワークで時間のゆとりがありそうなのに、家事や育児を全く手伝わない
- 「料理がまずい」「家事のやり方が雑」などと家のことに口を出す
- 「休憩」と言っては、平日の昼間からソファで寝そべる姿に幻滅
- 在宅ワークは休みではないのだから、仕事の邪魔をしないでほしい
- 妻はイライラ、子どもはギャーギャーで一日中落ち着かない
- 顔を合わせると用事を言いつけられるので、休憩中も安らげない
- 一日中話しかけてくるので疲れる。適当に返事をするとキレる
- 勉強もせずにゲーム三昧。生活習慣の乱れも心配
- とにかく言うことを聞かない。感染予防への関心も薄くて不安になる
- いつもイライラして叱ってばかり
- 分かっているのに、何度も同じことを注意してくる
- 話し相手が親しかいなくて、正直、家にいるのには飽きた……
- 調理担当者(多くのケースで母親)は、1日3食の準備が負担
- 家が狭い場合は「家庭内人口密度」が上がり、物理的にも窮屈
- とにかくいつも誰かがしゃべっているのでうるさい
今問われる「家族力」……イライラ軽減に有効な3ポイント
それぞれがストレスを感じるのは仕方のないことですが、これらの思いをそのままぶつけあうと、お互いを傷つけて家庭内の雰囲気が最悪になってしまいます。関係が悪化すると会話もなくなり、家庭崩壊に向かってしまうかもしれません。こうした危機を避けるために有効な、3つの考え方のポイントをご紹介します。
1. リフレーミングで相手の欠点を長所に変える
同じ空間にずっと一緒にいると、どうしても相手の悪いところばかりが気になってしまうもの。「ずぼらでだらしない」「言い方が冷たい」というように。しかし、こうした欠点は長所でもあるはず。これを「リフレーミング」という方法で長所として捉えてみましょう。
たとえば、「ずぼらでだらしない」をリフレーミングすると「鈍感力がある」。つまり、細かいところを気にしないということ。ずぼらである分、家族の言動への気づきも鈍く、余計なことを言われずに済んでいないでしょうか?
「言い方が冷たい」をリフレーミングすると、「主張がはっきりしている」ということ。その言われ方に傷つくのは、そもそも言われていることが「図星」だからなのでは? つまり、直すべきことをはっきり教えてくれているということです。リフレーミングについて詳しく知りたい方は、「マイナスをプラスに変える「リフレーミング」の力!」をご覧ください。
2.「くれない族」にならない。「くれている」ことを見つける
家族にはどうしても要求が大きくなりがちです。そのため「手伝ってくれない」「分かってくれない」など、ついつい「してくれない」の言葉が頭に浮かんでしまうもの。「くれない」を多用する人々のことを「くれない族」と呼びます。
いくら「くれない」と嘆いても、相手が快くそれをしてくれるようにはなりません。それよりも、相手が「してくれている」ことにもっと目を向け、そのことに感謝の言葉を伝えてみましょう。レベルが低いと感じてもダメ出しをせず、「してくれる気持ち」に感謝を向けましょう。「ゴミ出ししてくれたのね。ありがとう」「洗濯しておいてくれてありがとう」というように、当たり前のことこそ、それを自らしてくれた気持ち感謝を向けます。すると、相手は優しい気持ちになり、「返報性の原理」で同じ優しさを返したくなります。「くれない族」について詳しく知りたい方は「くれない族とは…依存心や自己への不満などの心理」を、「返報性の原理」について詳しく知りたい方は「大人の仲直りに有効な「返報性の原理」をご覧ください。
3. 家族全員が楽しめる娯楽を探す
テレビをつけても、口を開いてもコロナの話題ばかり。これでは、家庭の空気が暗くなり、神経質になります。もちろん最新のニュースをチェックし、感染予防について話し合うことも大切ですが、その話題ばかりに偏らないようにすることも大切。そこで、家族全員が楽しめる娯楽を探してみましょう。
たとえば、コメディ映画を見て大笑いするのはお勧め。先日、わが家も家のリビングで邦画『翔んで埼玉』を家族全員で鑑賞しましたが、馬鹿馬鹿しすぎて全員思わず大笑い。一瞬でも笑いを共有できると、雰囲気とコミュニケーションが明るく変わります。また、トランプや手品など、一見地味なレジャーもみんなでやると楽しいもの。テレビもなかった昔の家庭では食事の後、みんなでこうしたレジャーを楽しんでいたのです。
非常時こそ、こうしたアナログな娯楽で家族の心が一つになりやすいものです。ただし、娯楽はあくまでも娯楽。お互いのやり方や結果を批評したり、ダメ出しをしたりしないこと。一緒に笑って楽しい雰囲気を共有することが大切です。
家族力を高めるために、「一人になりたい気持ち」も大切に
以上のように、今まさに家族へのイライラに悩んでいる方は、まずは家族に思いやりを向け、家族全員で明るい雰囲気を作れるように働きかけてみましょう。とはいえやはり、たとえ家族といえども同じメンバーと四六時中同じ空間にいるのは疲れます。一人で散歩に出かけるなどして、お互いにパーソナルスペースをとることが大切です。ときには一人で車や自転車に乗り、自然が多く人の少ない場所に出かけて、ボーっとしてみるのもいいかもしれませんね。家族間で時間を調整し合い、それぞれが一人の時間を楽しめるようにしていきましょう。
同じ空間で過ごすときには家族を思いやり、そして一人になりたい自分自身も思いやることが、「家族力」を高める秘訣です。
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