お金の悩みを解決!マネープランクリニック/子どもが欲しいがお金のことが不安な人の悩み相談

31歳専業主婦、貯金200万円。過去にうつ病にかかり、子どもを持っても、私一人では育てていく自信がない(2ページ目)

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。今回のご相談者は、自身が働けないため、子どもを持つことに悩む31歳の主婦の方。夫に万が一のことがあった場合、育てていく自信がないということがその理由とのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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アドバイス1 専業主婦のままでも資金的に子育ては十分可能

まず、現状での試算をしてみましょう。

毎月の貯蓄は5万円。ボーナスからはNISA、つみたてNISA、iDeCoで84万4000円。それ以外に、ボーナスから10万~20 万円は貯蓄に回りそうですから、仮に計100万円とすると、年間貯蓄(一部投資)額は160万円となります。
 
これをご主人が定年となる今後29年間継続すると4640万円(投資商品も元本のみで試算)。また、奨学金の返還がご主人35歳のときに終了しますので、それも貯蓄に回したとすると、さらに318万円加算されますから、計4958万円。ご主人の昇給を考慮しなくても、今ある貯蓄等と合わせて、定年時に5100万円ほどの金融資産を用意できます。
 
では、お子さんが生まれた場合はどうでしょうか。

子育て費用でもっとも金額が大きいコストが教育費ですが、それも進路によって幅があります。ポン子さんが想定されているオール公立とすれば、今の水準で大学卒業まで700万円台前半(進学塾、習い事の平均的費用も含む)。大学のみが私立の場合、文系と理系で違いはありますが、ともあれ多めに見積もって1000万円としてみます。なお、大学費用については「奨学金利用も止むなし」とのことですが、ここではとりあえず親負担として試算をしてみます。
 
加えて、お子さんの食費や被服代、お小遣い等の費用も発生します。これも生活の仕方等でその額は大きく異なりますが、ざっくり500万円としても、子育て費用の総額は1500万円。これに、新たな収入として児童手当(総額約200万円)を加算すると、結果、先に示した定年時までの資産は3700万円となります。
 
老後資金は原則、公的年金の不足分を、それまで用意した資金と退職金でカバーしていくという考え方となりますが、結論として、お子さん1人なら、ほぼ問題はありません。ポン子さんが専業主婦のままでも、老後まで資金的にほぼ問題ないと考えていいでしょう。
 
65歳で90歳まで月5万円不足なら1500万円、100歳までなら2100万円。これに、老後の予備費(医療費、介護費用など)や定年~65歳までの収入減(無収入もしくはアルバイト程度)を考慮しても、資金的に困ることは考えにくいからです。
 
住宅については「老後に資産があれば中古住宅を購入してもいいかもしれない」とのことですが、2000万円程度ならローンを組まず、定年時に無理なく現金で購入できます。住宅の維持コスト(固定資産税、修繕費用、マンションなら管理費等)を加えても、総費用は賃貸住宅に住み続けるのと同額か、住む期間によっては抑えられるでしょう。
 

アドバイス2 お子さん2人なら「妻の収入」を条件にしたい

では、お子さんが2人ならどうでしょう。

単純に子育て費用1500万円を差し引くと、定年時の資金は2200万円。まったくきびしい金額ではないですが、不安もあります。公務員ということで収入も退職金も安定していますが、30年近く先の退職金額については不確定要素となります。賃貸に住み続けると、生涯続く家賃負担も気になる点。また、子育て費用についても、1500万円では足りなくなる可能性は、1人より2人の方が高くなります。
 
したがって、あくまで「リスクをより抑える」という意味で、お子さん2人をご希望なら、ポン子さんが働くことが条件と考えてください。扶養の範囲で構いません。月収8万円なら15年で1440万円。ちょうど子育て費用がカバーできる金額です。月収5万円でも900万円になりますが、これでもマネープラン全体としては大きなプラスです。
 
職歴、経験がないことを気にされていますが、それは気にすることはありません。パート・アルバイトであれば、働く機会は得られると思います。ともあれ、2人目のお子さんについては、まだ時間はあります。自身の体調を見ながら、ご夫婦で考えてみてください。

アドバイス3 遺族年金を考えれば、新たな死亡保障は2000万円程度

最後に、ご主人の死亡保障について。お子さん1人であれば、子育て費用をカバーするという意味で、死亡保障2000万円を新たに確保すればいいでしょう。定期保険なら保険期間20年で、ご主人の年齢なら保険料は月3000円前後。同等の収入保障保険(月額10万円、保険期間25年)なら月額2000円程度。これが目安です。
 
この保障額では不安に思うかもしれません。もちろん、保障は大きいほど安心でしょう。しかし、仮にご主人に万が一のことがあった場合、遺族年金を受給できます。まず、お子さんが18歳となる年度末まで、遺族基礎年金が月額で約8万4000円(子ども1人の場合)。同年金の受給終了後は、老齢基礎年金が支給される65歳までは中高齢寡婦加算(遺族基礎年金の4分の3)が支給されます。 また、これに加え、遺族厚生年金が5万円前後(現在のご主人の収入から類推)、一生涯支給されます。遺族年金は非課税、という点もこの制度の大きなメリットです。
 
それと、ポン子さんの辛い生い立ちや健康面を思えば、人一倍不安を抱く気持ちも仕方ないと思います。ご主人が元気で働き続ける保証は、もちろん100%ではありません。しかし、将来はネガティブな要素ばかりではないはずです。お子さんのためにも明るく、豊かな未来を家族全員で作っていく。その気持ちを持って、今できることを頑張られてはどうでしょう。
 
もうひとつ、資産運用について。やや投資に偏っている気もします。とくに、今後お子さんをということであれば、今は現預金を増やしたいところ。ボーナスから年間50万円を充てているNISAですが、しばらく10万円程度に下げる。そして、40万円に預貯金に回せば、毎月の5万円と合わせて年間100万円(ボーナスの余りの貯蓄分は考慮せず)。このくらいの貯蓄ペースが望ましいと思います。
 

相談者「ポン子」さんから寄せられた感想

今まではただぼんやりとした将来への不安があったのですが、こうしてしっかり計算した数字で見せていただくと、何をどのくらい対策したらいいのか具体的に分かり、非常に参考になりました。

周りからは「今の時代、奥さんも無理してでも働いた方がいい」と言われてしまうのですが、専業主婦での子育てもやっていけそうだと分かり、安心いたしました。夫婦共々、とても勉強になりました。深野先生、親身にアドバイスをくださり本当にありがとうございました。


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教えてくれたのは……
深野 康彦さん
 
 

 


マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。近著に『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』(明日香出版社)、『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』(ダイヤモンド社)など

取材・文/清水京武


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